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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第4部・大切なものへ
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第6話 生き様を示して4 愚痴の言い合い思い合い(通常版)

 それから数日後、黒いモヤの進軍速度が徐々に上がりだした。しかも規模も拡大している。5大宇宙種族の面々は万全の体制で準備を繰り返すが、不安や恐怖の色が隠せないでいる。


「うーむ・・・結構近付いた感じですよね。」

「天の川銀河クラスの巨大さだからな。」


 喫茶店はサーバーブースで様相を窺うデュリシラ。喫茶店本店の隣の区画では、サラとセラを筆頭に、トラガンの女性陣が2号店を展開しだしている。そちらの方が集客率は非常に高いのが見事だが。


「新規さん方は新店舗に向かって、常連さん方しかここにいないのが何とも。」

「流石に若手パワーには負けますよね。ただ・・・こうして貴方といられる時間が増える事の方が嬉しいですけど。」

「ハハッ、そうだの。」


 恥ずかしい事を言わせるなと、頬を赤くするデュリシラ。今では恋心一辺倒と言った感じで、俺に接して来てくれている。シュームやナツミYUすらも実行し辛い事を、彼女は平然と行うのだから見事だろう。いや、真の女性と言うべきか何と言うか。


「と言うか、全く変身が解けませんよね。」

「各ペンダントが貫けと言ってるようなものだしの。」

「しかも、今も自動手記人形様の衣服と。」

「劇中のお嬢の姿が、何かシックリくるんだよな。」


 野郎の時なら、正に変態まっしぐらの衣服だが、性転換状態の今なら常用しても問題ない。それに、最近はコスプレをする度に、女性度が挙がっていると周りから言われ続けている。ミスT時の姿は、全てにおいて周りに色々な波動を放つようだわ。


「言わば、メイド服は背筋を立てないと様になりませんからね。自動手記人形様の衣服も同じだと思います。普段の貴方の衣服は、言わば戦闘用のものですし。」

「あっちの方が楽ではあるんだがの。」


 実際には、ロング・ズボン・ベスト・黒コートの通例衣服の方が俺には一番性分に合う。これはミスT時でも同じである。しかし、今は自動手記人形嬢のコスプレが落ち着くのだ。


「自動手記人形ならぬ、自動警護人形と。」

「劇中のお嬢とは異なるが、警護者自体が正にそれなんだがね。」

「まあ確かに。」


 劇中の自動手記人形嬢の生き様は、正に警護者と言えるだろう。ただ、本編でしか戦う描写がない。それに、幼少の頃から戦闘兵器に育て上げられたため、感情の起伏自体が希になる。特に、愛情を求めて探求する姿は、見ていて胸が締め付けられる思いだった。


「・・・アニメにも、感情移入が激しいですよね。」

「あれらと言ったら失礼だが、あれらは制作に携わった総意の魂が込められているからな。そこに思いを馳せると、どうしてもこうなっちまう。」

「だから、一時期は各作品群を見なくなったとの事ですけど。」

「一般人として動いているなら、その感情移入すらも日常に挙げられるがな。今の俺は、死と隣り合わせの警護者の生き様を貫いている。そこに要らぬ感情を挟めば隙が生じ、危険な状態に至ってしまう。」


 一服しながら近場に座りつつ、語った言葉が何度も脳裏に過ぎりだした。


 今挙げた要らぬ感情の解釈は、実に無礼な言い回しかも知れない。周りの女性陣が色々とフォローをしてくれている事を、見事なまでに無碍にするようなものだ。それに、手前でも挙げた作品群を貶す事にも繋がりかねない。


 普段の日常の流れを、一切の邪念を除いて受け止める。難しいものだが、そうでもしないとこれらに胡座を掻いて当たり前としてしまい、敬意と感謝を忘れる事になる。それこそ、人間としての堕落した姿に至る。


 しかし、実際にその要らぬ感情は、警護者の世界では致死に至る邪念や雑念そのものだ。一切の感情を全て殺し、冷徹無慈悲なまでに行動を貫く。それこそが警護者とも言える。実に矛盾したものだが、どれが正しいなどと言った答えなど、絶対に出はしない。


 生きるとは、本当に難しいものである・・・。



 一服を終えて暫く思い耽ていると、不意に俺の両手が浮く。何事かと思うも、何時の間にか目の前にデュリシラがおり、俺の両手を胸に抱き寄せてきた。


「・・・ありがとうございます。そこまでして、私達の一念に応えようとする姿勢には、逆に貴方に強請させているかのようで偲びない思いです。でも・・・今の貴方の思い、それこそが常に己と対峙し続ける証拠でしょう。」

「いや、ロクに心を定められない、無様な奴だよ俺は・・・。」

「また自己嫌悪ですか・・・。」


 厨房で作業中のエリシェから恒例の言葉が飛んでくる。カウンターで売上伝票の計算をしているラフィナからは、戒めの殺気に満ちた目線で睨まれた。


「デュリシラ様の思いは、私達総意の一念を汲んでくれたもの。それに対しての今の言葉は貶しそのものですよ。看過できるものではありません。」

「確かに警護者には、諸々の感情は邪念や雑念そのものでしょう。しかし、それをも凌駕する実力で覆せば済む事ではないですか。これは貴方の生き様が正にそれですよ。」


 物凄い気迫で迫ってくるエリシェとラフィナ。前々からこうした愚痴を聞いて貰っているが、今回は何時になく凄まじいものになる。まるで、同じ悩みを同性から受けた事への、痛烈な返しの如く。


「・・・そうか、性転換状態故の強い一念か。」

「今のお姿は、何処からどう見てもお姉様そのものではないですか。お兄様の場合なら、一応敬意を表せますが、お姉様の場合は容赦ない一撃を放ちますよ。」

「同じく。同性故の痛烈な一撃と思って下さい。ただ・・・確かに、警護者としての観点からすれば、要らぬ邪念や雑念にはなります。その部分は重々承知できますけど。」

「フフッ、お2人の今の言葉から、貴方をどれだけ好かれているかが痛感できますね。」


 デュリシラのボソッと語った言葉に、今度は顔を真っ赤にするエリシェとラフィナ。どうやら今の一撃は、恋路によるものから発せられたようである。となると、野郎時の時は我慢してくれていた訳か。


「・・・色々とすまんな。今のお前さん達の言葉が、本音のものだろう。野郎時は気を使ってくれていたようで。」

「そりゃあまぁ・・・。」

「外見や声色により、どうしても後手になってしまいますし・・・。」

「ハハッ、本当にすまない。」


 バツが悪そうにする2人を見つめ、悪いながらも笑ってしまった。デュリシラの影響で、2人も己を全て曝け出してくれているのだ。そこに、ミスTに至っている俺への返しであろう。デュリシラが野郎時も女性時も問わず、常に俺自身を見てくれているのとは対照的に近い。


「エリシェさんもラフィナさんも、今まで俺の愚痴を何度も聞いてくれていた。その度に何度も思い返り奮起できた。この部分は流石のデュリシラさんにも無理な業物だ。」

「桜梅桃李ですよ。個々人の個性があって良いではないですか。それに、どんな様相であっても、貴方と真っ向から対峙してくれているのですよ。怒りはしませんが、お2人の一念も汲んで上げて下さい。」

「そうだな、本当にすまない。」


 今も俺の両手を胸に抱きつつ、心からの熱弁をしてくれるデュリシラ。その言葉を聞いたエリシェとラフィナが涙を流しだしている。


 デュリシラの一念は、先の吹っ切れた部分から踏まえると、見事なまでの女性そのものだ。恋路の部分では、お互いにライバルになるのだが、それをも超越する一念が彼女であろう。シュームとは全く異なる、慈母そのものである。


    第6話・5へ続く。

 雑談と言う名の会話は続く、と。最終盤となり、残りは黒いモヤの撃滅作戦のみなので、この展開が続きます@@; その瞬間までは、待ち続けるしかないのが実状ですし(設定上)。


 しかし、天の川銀河に匹敵する黒いモヤって、遥か先から向かってきているアンドロメダ銀河の様相ですかね@@; 何れ天の川銀河と衝突するとの事ですし。まあ、自分が生きている間にはなさそうなので、戦々恐々とする事はなさそうですが・・・><;

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