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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第4部・大切なものへ
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第6話 生き様を示して3 回帰先は何時も同じ(通常版)

(・・・不思議よね。エリシェちゃんを胸に抱く思いに、母の胸に抱かれている安堵感を覚えずにはいられない。君も私も孤児院出身で、本当の母の姿を知らないけど、この手でリュリアを初めて抱いた時と同じ感じよね。)

(慈愛の一念ですよね。先輩と同じく、私達は母親の一面もあります。しかし、マスターは全く該当しない。それなのに、私達以上の慈愛の一念を醸し出している。私は少なくとも、そこに魅入られたのかも知れません。)


 母親の一面、か。俺自身も孤児院出身で、実際の両親を知らずに生きてきた。遠縁としてはスミエがいるが、彼女自身も俺の両親の事を多く語ろうとはしない。筆舌し尽くし難い様相があったのは、想像に難しくない。先の世界大戦を生き抜いた闘士の1人だからな。


(・・・私は、恵まれ過ぎているのですよね。皆様方とは異なり、生まれた時から大財閥の社長令嬢として育ってきた。今はラフィナ様と共に、世界の盟友の生命を預かる総帥の任を拝している。背中に圧し掛かる重圧こそ異なれど、恵まれ過ぎています。)

(桜梅桃李の理、だな。)

(あ・・・すみません、確かにそうでしたね。)

(エリシェさんもラフィナさんも、俺を遥かに超える感受性と感情移入を持つ猛者だ。俺がよくお前さん達に愚痴る例のやり取りなども、同じ気質を持つ故に同期したのだろうしな。生まれや育ちは千差万別、これは生き方や生き様にも例えられる。しかし、帰結先の誓願が同じに至るのなら、万事それで良いではないか。)


 警護者の生き様自体が、ここに帰結していると言っていい。むしろ、警護者の生き様は、万人の中にこそあると思う。その中の代表として、俺達がいるに等しい。


(宇宙種族も、根幹はその誓願に近い帰結となります。もはや、生命体自体の帰結が、正にそこに至るのかも知れません。地球人の皆様方以上の久遠の時を生きてきましたが、今もその答えを得るには至っていませんから。)

(永遠の探求ですよね。むしろ、ヘシュナ様が挙げた久遠の時を生きるを思うなら、私達こそが帰結すべき概念ですよ。宇宙種族こそ警護者の生き様を、と。)

(問題あるまい。ミュティナさんもヘシュナさんも、そうして日頃から帰結してくれている。ミツキさんが生き様、持ちつ持たれつ投げ飛ばす、これに限る。)

(・・・う~ん、お兄様から敬語で呼ばれるのは、何か偲びない感じが。)

(あー、その感じでしたか。漠然と違和感を覚える敬語呼びでしたが、それは偲びなさが混ざっていたのかも知れませんね。)

(正に敬語者わぅ!)

(敬語者・・・敬語者ねぇ・・・。)


 ミツキのボケに周りは笑うも、見事に的を得たものだと関心もしている一同。こうして念話を通して、総意の思いが伝わるのも、本当に有難いものだわ。



(ところで・・・ずっとエリシェちゃんとラブラブわぅけど?)

(本当よねぇ・・・。)

(そうですねぇ・・・。)

(誰彼がは酷いかも知れないが、こうして誰かしらを胸に抱いていると本当に落ち着くわ。)


 今も胸に抱くエリシェを見て、ミツキが茶化しを入れて来る。それを伺った女性陣からは、殺気に満ちた目線を投げ付けられるのだが、俺が自然と放った言葉に黙り込んでしまった。


(あ・・いや、別に黙り込ませるための言い分じゃない。本当に・・・こう何というか。)

(フフッ、大丈夫ですよ。皆様方の悪態は、表向きのものなのは百も承知です。私もしかりですから。今は貴方の胸中の不安や恐怖を、少しでも取り除けるなら、それは私の絶対的な生き様の1つですよ。もちろん、是非とも他の方々にも差し上げて下さい。貴方だけが不安や恐怖を抱いている訳ではないのですから。)

(そうだったな・・・申し訳ない。)


 胸の中からこちらを見つめてくるエリシェに、本当の力強さを思い知らされた感じである。いや、これはミツキ流から言えば、誰もが持っている力の1つだろう。要は出すか出さないかの差になるだけだ。


(女王の壮大な愛、と。)

(あー、あの名作小説ですか。)

(むふっ♪ 今のTちゃんは主人公ちゃんそのものわぅね!)

(何とも。)


 デュリシラが挙げた“女王の壮大な愛”は、個人作家さんが創生した小説の1つだ。ただ、描写の内容が凄まじいため、その名前を聞いた女性陣の顔が、見る見る赤くなっていくのが見事である。つまり、同作を拝見した証拠だろう。かく言う俺も同じだが。


(彼の復活劇も凄いが、周りの愛情も凄まじいわな。それでも、上辺の言動を除けば、そこに親愛・慈愛・恋愛・純愛・絆があるのは間違いない。)

(うむぬ♪)

(命懸けで守り合う姿は、今のTさんにも当てはまりますよね。それに、黒いモヤの力は、正に死神とも言い切れますし。)

(・・・愛を以て制する、か。朴念仁の俺には厳しい課題だがの。)


 この点だと、ミュセナの夫ネデュラや、メルアの夫トーマスSが上手だろうな。今の俺には理解できない概念の1つである。しかし、それに近い流れは、既に周りの女性陣からありとあらゆるレクチャーを受けているとも言えるが。


(・・・つまり、そのぐらいしないと、君を振り向かせられないという事かしら。)

(へぇ・・・これはもう、究極の戦術ですよね・・・。)

(黒いモヤの撃滅前は、マジで手荒な真似は止めてくれ・・・。)


 シュームとナツミYUの言葉に反論したが、恐らくそれを狙っていたのだろう。俺が発した言葉に、周りの女性陣の目が何時になく妖しく輝きだした。つまり、口車に乗せられた訳か。


(はぁ・・・君も前途多難よね。)

(Tちゃんは昔から、女性を支える事が上手かったでしたからね。まあ、上手かったという表現は何ですが、誰よりも女性心を理解している感じでしたし。)

(それを誰よりも理解したのが、これらペンダントだろうに・・・。)


 俺の一挙手一投足を見てきた各ペンダント。それにより、俺の深層にある女性心を感じ取り、性転換状態へと至らせたのかも知れない。トラガンの女性陣を支えるための初披露だったが、それがここまで発展するとは思いも寄らなかったが。


(・・・帰結先は何時も同じ、だな。先のネタ群も踏まえると、総意を守り通すのが俺の使命そのものだ。黒いモヤを消滅させ、本当の安息を得るのも正しい選択か。)

(それがTちゃんの活力になるのなら、皆様からの一念は逃げずに受けて下さいな。)

(はぁ・・・前途多難の極みよね。)

(ウッヘッヘッヘッヘッ♪)

(何とも・・・。)


 もはや、この流れは避けられそうにない・・・。しかし、俺が役に立つのなら、その役目も必然なのだろう。と言うか、俺に彼女達を支えられるかどうかが不安だが・・・。


(持ちつ持たれつ投げ飛ばす、ですよ。)

(貴方が後に、本当にその思いを受けられるのなら、宇宙種族としての概念を提示します。地球人だと一部を除き、一夫多妻制は罷り通っていませんし。)

(ですね。それに、お兄様が貴方様になるのは、何か嬉しい感じです。)

(・・・頼むから、周りを煽るのはやめれ・・・。)


 純粋無垢の生き様を貫く宇宙種族。その彼女達が押すは、一夫多妻のアレだ。それを聞いた周りの女性陣の瞳が、一段と妖しく輝き放っている。これは、恐怖の何ものでもない。


(まあ今は、アキバでの親善活動に重視するわぅね!)

(遅れて到着すると思うので、先に向かっていて下さいな。)

(ああ、分かった。)


 再びヴァルキュリアが秋葉原上空に到着する。それを察知したミツキとナツミAが、先に現地に赴くように述べてきた。今の俺達にできるのは、こうした親善活動しかない。


(持ちつ持たれつ投げ飛ばす、か。)

(大丈夫ですよ、私達がいます。今は前を向いて進みましょう。)

(そうだの。)


 胸から解放したエリシェの頭を優しく撫でる。それに満面の笑みで見つめてくる。この美丈夫の強さには本当に感嘆するしかない。いや、身内の女性陣全員もである。ミスT状態を経て、女性の強さを日に日に学べていけているのは、実に皮肉な話であろうな。


 ただ、エリシェへの厚意を見た周りの女性陣からは、恒例の殺気に満ちた目線を投げ付けられるが。しかし、これも俺の1つの使命だろうな。


 嫉妬心を露わにしている周りの女性陣へ、深々と頭を下げた。彼女達がいなければ、俺はどうなっていたか分からないわ。



 その後、ヴァルキュリアから分離したブリュンヒルデで、秋葉原の歩行者天国に降り立つ。恒例の如く、ヲタクの方々が湧き上がるのだが、その彼らにも深々と頭を下げた。


 彼らがいてこそ、俺達警護者の存在が成り立つのだ。コミケの3回の共闘が顕著である。ここ、アキバでの4回目の共闘も然り。本当に感謝に堪えない。


 窃盗団との対決時も、アキバで行動していた身内。その彼らと合流し、再び親善活動を展開していった。まあ専ら、写真撮影やらが多かったのだが・・・。


 この日常と言う名の非日常を過ごせる事に、心から感謝したい。


    第6話・4へ続く。

 某超有名サイトさんの長編小説「女王の壮大な愛」。この作品と、もう1つの「家族愛」の両作から、多大な影響を受けたのが、風来坊の執筆の淵源です@@; あの2作品、小説は無論、コミカライズしても申し分ない作品になりそうな? ただ、あちらの描写はヤバいですが・・・><;


 今回の警護者も、ほぼ会話が中心でした@@; 自分の作品は、終盤になればなるほど、味方内で雑談が多くなりますし@@; やはり、仲間との対話こそ、絆や友情を深められる第一歩となるのでしょうね@@b

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