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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第4部・大切なものへ
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第6話 生き様を示して1 窃盗軍団への説得(キャラ名版)

 不意に現れた窃盗団を追撃し、各々で独自の行動を展開する俺達。地上からの追撃に、空中からの急襲である。今の世上を踏まえれば、この窃盗団の逆襲は理に適っていないだろう。


 しかし、彼らの存在で日常を垣間見る事ができた。まあ、警護者の場合は日常という名の非日常にはなるが。それでも、日々を生きれる幸せを、まさか彼らから教わる事になるとは、実に皮肉な話だろうな。


 今は各々の生き様を貫き通すしかない。その機会を与えてくれた窃盗団の方々に、心から感謝すべきだろう。ただし、行った犯罪に対しては、しっかりと因果応報の理を受けて貰う。ここだけは、絶対に曲げてはならない。




 ヴァルキュリアからの転送装置により、葛西駅のバスターミナル群の近くに降り立った。そこから、葛西臨海公園に向かう環七道路に進み、品川方面を向いて待機する。


 今現在は臨時の戒厳令が引かれており、葛西駅周辺は動くものは一切ない。ただ、遠方のビル群の陰には、エラい立ち見の人物がいるが・・・。一種の特別ショーそのものだろう。


シューム「・・・現れたわね。」

ミスT「はぁ・・・無謀にも程があるわ。」


 中央道路で待つ事、数分後。品川方面から、爆音を轟かせて窃盗団が現れる。その背後は、警察車両がサイレンを鳴り響かせて追随していた。更にその中に、パトランプ装着のウアイラの姿が見え隠れしている。


ミスT「ナツミYUさん、さぞかし苛立ってるだろうな。」

シューム「フフッ、そうね。高速走行をウリとした追随を得意とするのに、相手を追い詰める走行しかできていないし。」

ミスT「後で飯でも奢ってあげてくれ。」

シューム「ハハッ、それは楽しみね。」


 俺の皮肉の言葉に小さく笑うシューム。しかし、既に臨戦態勢が整っている彼女、黒髪魔女嬢よろしくの戦闘モードである。俺の方もトリプルマデュースシールドを構え、何時でも動ける様子を示した。


 葛西駅へは、手前の陸橋を越えれば目と鼻の先である。そこに到着した窃盗団の車両に、右手のマデュースシールド内蔵のレールガンを超低出力で射出。放たれた光の弾丸は、相手車両の屋根を抉る形で貫いた。


 当然ながら、放たれた光の弾丸は、そのままでは背後の陸橋に着弾してしまう。それを胸のペンダント効果で強引に曲げ、大空へと向きを変えた。そこに別の光の弾丸が着弾し、相殺爆発を起こさせる。放ったのは、葛西臨海公園に戻り待機中のヴァルキュリアのレールガンである。


 流石の相手も、人知を超える攻撃に驚愕した様子で、バスロータリーがある近くまで進むも停止しだす。即座に車両を盾にして反撃の構えをしてきた。どうやら、護身用に武装を所持していたようである。


 その後方では、警察車両が同じく停止。同じ様に、車両を盾にした防衛網を張り巡らせる。その中に、何時の間にか停止済みのウアイラの姿が。両サイドのガルウイングドアが開いている。ナツミYUとデュヴィジェは、既に散開して挟撃を敢行しているようだ。


窃盗団1「な・・何の目的かは知らないが・・・女如きがでしゃばると痛い目を見るぞ!」

ミスT「その言葉、そっくりお返し致しますよ。そもそも、貴方達が無謀な行動をしたが故に、私達が派遣されたのですから。」


 相手の発言に、俺は女性言葉で応じてみる。それを見た傍らのシュームは、呆れ顔どころかニヤケ顔で見つめている。これには腹が立つが、見事な特効薬だと太鼓判を押してくれているのが分かった。


窃盗団2「お・・俺達を見逃してくれるなら・・・雇われ先以上の報酬を払うが・・・。」

ミスT「説得を試みるなら、もう少し据わって発言をしなさいな。そんな怖じた様相では、相手の心を動かす事など絶対にできはしませんよ。」


 今度は人工腕部のマデュースシールドを構え、完全に無人と化している窃盗団の車両にレールガンを放つ。無論、超低出力モードである。


 放たれた光の弾丸は、窃盗団の車両に着弾し、大爆発を巻き起こした。しかし、既に近場に待機済みのデュヴィジェがバリアとシールドを展開。大爆発を起こした車両を覆い隠し、その爆発と爆風を真上へと逃がしている。見事なまでの連携である。


 再び、人知を超えた行動に驚愕する窃盗団。中には、その様相に怖じて、後方の警察車両に投降しだしているのが複数いる。確かに、俺が各種の技術を持たない窃盗団の場合なら、彼らの様に投降するだろう。


 確固たる執念と信念がなければ、とてもではないが貫けない生き様。それを別の意味だが、目の当たりにさせて貰った感じである。


ミスT「・・・貴方達は、今の世上の様相をご存知ですか?」

窃盗団1「む・・無論だ・・・。」

窃盗団2「う・・宇宙の果てから襲来の・・不明な物体が終焉をもたらすと・・・。」

ミスT「そうですか・・・。」


 絶対的ではないが、彼らの心境が手に取るように分かってくる。要は死ぬ事が怖いのだ。だからこそ、それを払拭させるために行動を起こしたのだろう。ただ、その行動自体は完全に間違ったものではあったが。


デュヴィジェ「人間は何れ、必ず死を迎えます。いや、それは人間だけではなく、万物全てに言い当てられる概念でも。」


 隠密の如く、背後から現れたデュヴィジェに驚く窃盗団。手に持つ重火器を放つが、それは彼女の超能力で全て地面に叩き落されている。と言うか、超能力ではなく、例の真空波による撃墜のようだ。彼女ならではの業物だろう。


デュヴィジェ「無様な姿は止めなさい。仏の顔も三度までです。もし次におかしな真似をしたら、その時は容赦なく鉄槌を下しますよ。」

ナツミYU「お姉様は私より寛大ではないですからね。見縊らない方が良いですよ。」


 仏の顔も三度まで、ねぇ・・・。言葉では物凄いドスが利いているが、身形は金髪喪服美女嬢のコスプレのデュヴィジェである。迫力を増すなら半脱ぎの着物姿だろうな。そして、その彼女を姉と語るナツミYU。“指輪研究家”嬢のコスプレだが、まだこちらの方が迫力があるだろう。


ミスT「そこまでの実力を有しているのなら、この様な愚行を行わずとも、他の可能な行動があったでしょうに。確かに今の世上、眼前に迫る終焉を目の当たりにして、右往左往の様相をするのが普通でしょう。それでも、大切な存在を最後の瞬間まで守る事もできたはず。」

シューム「そうですね。失ってからでは、何もかも遅いのですよ。貴方達の様相だと、それぞれに大切な存在がいるのが分かります。この愚行は、その方達をも巻き込むものでも。それを考えずに動かれたのですか。」


 シュームの格言的言葉に、窃盗団の面々は黙り込んでしまう。それは俺が偽デュヴィジェに挑発的な言動をしたのとは異なり、実際に失うものの痛みを知るシュームだからこそできるものである。シングルマザーの彼女は、かつて共に過ごしたパートナーを失っているのだ。


窃盗団1「・・・我々に・・どうしろと仰るのか・・・。」

ナツミYU「行った行動の罪を償って下さい。それからでも遅くはなく、十分元の道に戻れます。」

デュヴィジェ「犯罪者というレッテルは消えませんが、永遠の生命からすれば微々たる罪業です。それよりも、その罪業を掻き消すかのような行動をすべきです。大切な存在を、他の存在を守り通すという事を。」

ミスT「最終判断は、各々方にお任せします。私達は、己が生き様を貫くのみ。ただし、貴方達が悪道に走り続けるなら・・・一切の容赦はしません。」


 手持ちの三挺マデュースシールドを構え、何時でも放てるという姿勢を示す。先程の射撃はまだまだ低出力である。最大出力で放った場合、地球の衛星たる月すらも簡単に破壊する威力を誇る。諸刃の剣そのものだが、それを操ってこそのものだろう。


ミスT「何にせよ、今は退き際が肝心だと思います。後に迫り来る災厄は、全て任せて頂きたい。どの道、私達にはそれしかできないのですから。」


 ボソッと本音を語ってみせた。俺達ですら、今度の黒いモヤはどうなるかは分からないのだ。しかし、何もせずに消滅したりはしない。最後の最後まで足掻き続けてやる。それが俺達の明確な生き様だ。


 自然と、武装解除をする窃盗団。彼らの気質からして、それが極悪でないのは明白である。眼前に迫る災厄を目の当たりにして、居た堪れなくなっての愚行であろう。彼らの心境は痛いほど良く分かる。つまり、俺達の戦いは彼らをも守る戦いに至るのだ。



ミスT「ウインドさんとダークHさんや、後を任せてもよろしいか?」

ウインド「はい、後はお任せを。」

ダークH「何時も色々とすみません。」


 後続から駆け付けて来たウインドとダークH。その彼らに全てを任せ、その場から撤退する事にした。呆気なく終わった窃盗団事変だが、彼らが心に抱く不安や恐怖は重々受け取った。これは総意の不安や恐怖にもなる。


ミスT「警護者の生き様は、全ての存在を守り通す事に帰結する、か。」

ナツミYU「何を今更と言った感じですけどね。」

ミスT「まあな。」


 迅速に後始末を終える警察群。見事なまでの手捌きである。そして直ぐにバスロータリーが通常運営を開始しだした。僅か短期間での復活劇である。


 そんな総意を見守りつつ、上空に戻ってきたヴァルキュリアへと戻る。転送装置は問題があるので、ブリュンヒルデによる運輸である。


 颯爽と現れ、颯爽と窃盗団を説得、そして颯爽と去って行く警護者群。一部始終を見ていた周りの方々は、相当呆気に取られている様子だ。しかし、これで良いのだ。


 警護者自体は表舞台に顔を出してはならない存在でもある。こうして、裏方で活躍してこそ真価を発揮するとも言える。総意の声無き声を汲み、全てのために動き続けるのだ。それが、警護者の明確な生き様だろう。


    第6話・2へ続く。

 今後も可能な限り更新を続けますm(_ _)m 頑張らねばね。


 コスプレ美女軍団による、窃盗軍団の説得。端から見れば、異様な光景でしょうね@@; しかし、実力で捻じ伏せる部分は、流石としか言い様がありません><; 中身は生粋の警護者軍団ですから(=∞=)

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