第5話 窃盗軍団の逆襲5(キャラ名版)
アキバでの準備を整えると、早速行動を開始する面々。ナツミYUとデュヴィジェは、武装の再装備を行いつつ、ウアイラで葛西臨海公園方面へと向かって行った。パトランプ装着の緊急車両状態で、である。
俺達は残りの活動の事もあり、サラやセラ達をアキバに残して、ブリュンヒルデで本船のヴァルキュリアに戻る。全長3kmを超える飛行戦艦なため、窃盗団の様相が直ぐに把握可能である。更に以前よりも増して、装備も充実しだしていた。
ミスT「艦長役はシュームさんだったのか。」
シューム「仕方がないわよ。指令部たる喫茶店はデュリシラちゃんに任せっ切りで、ミツキちゃんとナツミAちゃんも別ルートで葛西臨海公園に向かっちゃうし。私が頭役を一番似合わない事に、君も良く知っているでしょうに。」
ミスT「何とも・・・。」
エラい怒り気味のシュームに苦笑いを浮かべるしかない。確かにシュームは頭になる存在ではない。俺達と同じ実働部隊の方が性分に合う。しかし、今は地上部隊の大多数に頭の面々がいるため、空中部隊の司令塔はシュームぐらいしかいないようなのだ。
シューム「ヘシュナちゃん達は宇宙に飛んで、全宇宙船団の再調整を行うために向かったわ。今は私達だけで何とかするしかないのよ。」
ミスT「デュヴィジェさんだけが地上に残ってくれているのみか。」
シューム「そうね。」
個人戦闘力では、現段階で最強のデュヴィジェ。あのミュティナ達を超える力を持つ女傑だ。その彼女だけ地上に残し、他の面々は宇宙に上がったようである。黒いモヤ事変は、万全の状態で挑む必要があるしな。
シューム「とりあえず、空からの監視を継続するけど、君はどうするの?」
ミスT「何処に辿り着くかによるが、先回りして待ち伏せをしてみるわ。」
シューム「その身形で、ねぇ・・・。」
ミスT「ふん、言ってろ。」
今の俺の身形に難癖を付けてくるシューム。他の面々とは異なり、彼女はコスプレをせず、実戦時の衣装を身に纏っている。しかし、その様相は黒髪魔女嬢の衣装さながらではある。バトルスーツを妖艶で華麗に着こなせるのは彼女ぐらいしかいない。
シューム「でも・・・こうして2人でいられる事こそが、幸せになるんだけどね。」
ミスT「そうだな。」
サラッと述べる言葉が胸に突き刺さる。万全を期しての黒いモヤ事変だが、俺の死への旅路は払拭できていない。他の面々もそれを気にしてか、今まで以上に準備に余念がなかった。
シューム「君が特効薬なのは分かるけど、正直な所、君を犠牲にしてまで生きたくないわ。」
ミスT「お前さんだけならば、共に最後の日を迎えるのも一理ある。しかし、これは天の川銀河にいる全生命を守る戦いにもなる。俺の個人的な概念で滅びを招いては、永遠に消えない業を背負うようなものだ。」
シューム「まあ確かにそうだけど・・・。」
躯屡聖堕のメンバーは搭乗しているが、身内だけなら彼女と俺だけしかない。だからこその本音であろう。それを素で語れるようになったデュリシラは、シュームからすれば羨ましいと思える。それだけ、今まで形作ってまで接していた証拠だろうな。
ミスT「無事全部片付いたら、みんなで葛西臨海公園でも行くか。」
シューム「フフッ、そうね。本音だと2人だけで行きたいけど、みんなで勝ち取った世界であれば、総意で集い合うべきよね。」
ミスT「・・・すまんな。」
笑顔で語るシュームに、小さく頭を下げた。実際に黒いモヤ事変での、俺の生き残れる確率は不明である。全生命力を使わねば、撃滅する事ができないかも知れないのだ。5大宇宙種族の面々は最大限の力を貸してくれているが、それでもどうなるかは全く以て不明である。
こうして、地球上での警護者としての戦いができるのは、ある意味幸せなのかも知れない。大宇宙を目の当たりにすると、地球での出来事など些細なものである。
だからと言って、何処ぞの馬の骨とも分からぬ黒いモヤなんぞに屈する訳にはいかない。俺達の双肩には、天の川銀河に生きる全生命の運命が掛かっている。ここまで首を突っ込んだのだから、最後まで徹底的に突っ走るしかない。
シューム「ところで、今回の窃盗団は逆襲との事だけど。」
ミスT「最終的には各ディーラーの経営者になるとか。それらが決まっている以上、当時の面々とは掛け離れている感じだわ。デュリシラさんが言った通り、模倣犯に過ぎない。」
シューム「窃盗団の逆襲と銘打った、模倣犯の独り善がり的な感じ、と。」
ミスT「ある意味、平和な証拠だわ。」
一服しながら愚痴ってみせた。それを聞いたシュームは小さく笑っている。更に共闘する躯屡聖堕メンバーもしかり。こうして、日常的な行動ができる事こそが平和そのものだしな。
ミスT「何にせよ、連中が愚行に走っているのは事実。確実に捕縛して、しっかり罪滅ぼしをして貰うがね。」
シューム「そこは他の面々に任せましょう。私達の使命は、目の前のヤンチャ坊主達と懲らしめるだけだからね。」
ミスT「ヤンチャ坊主か・・・。」
その言葉を聞いて、ミツキが脳裏に浮かんだのは内緒にしたい。まあ、俺の胸中はダダ洩れ状態にあるため、恐らく周りに伝わってしまっているだろう。実際に嘘偽りなく思った事になるので、隠し立てする事はしないが。
躯屡聖堕メンバー1「地上からの連絡で、窃盗団は葛西臨海公園に向かうのが濃厚との事です。」
ミスT「ふむ・・・連中の現在の場所は?」
躯屡聖堕メンバー2「数十分後に葛西駅を通過する感じです。」
ミスT「葛西駅・・・バスのロータリーがあるな。」
葛西臨海公園も広いが、埠頭近くまで接近されるのは問題がある。通過地点となる葛西駅なら、目の前に巨大バスロータリーがあるので、待ち伏せするには打って付けかも知れない。
ウインド(ほむ、では葛西駅周辺を完全閉鎖しましょうか。)
ダークH(直ぐに手配しますね。デュリシラ様は、各バス会社や各タクシー会社に一時退避指令をお願いします。)
デュリシラ(了解です、任せて下さいな。)
・・・案の定な展開だ。俺の胸中を窺い知っている面々から、即座に次の一手への布石が繰り出されていく。幸いにも、ウインドとダークHの警察庁長官コンビがいるため、交通網の閉鎖などはお手の物である。
ミスT(お前さん方、本艦の現在場所は何処だ?)
躯屡聖堕メンバー1(じ・・自分達の事ですね。えー・・・今現在は、既に葛西臨海公園へと到着しています。この巨艦の規模故に、直ぐに到着してしまいましたので。)
ミツキ(お前さ~ん、今月の支払いがまだなんだよねぇ~。)
ナツミA(それ、一体誰なのよ?)
ミツキ(念話を聞く、お前さん達全員わぅ!)
シューム(アッハッハッ!)
出たくてウズウズしていたのが痛感できる。俺の言葉に即座に反応し、ボケに変換して放つミツキである。それに周りは爆笑してしまった。かく言う俺もしかりである。本当に場を壊す事では天下無双だわ。
デュヴィジェ(と・・とりあえず、諸々の様相は把握できました。私達は先回りが難しいので、先に小父様を現地に飛ばす事にしますね。)
ミュティナ(これは私の出番でしょう。何度か赴いた事があるので、念話を通して転送装置経由で現地に飛ばす事が可能ですし。)
ルビナ(念話に乗せるなら、宇宙空間からも容易に飛ばす事が可能ですからね。)
ミスT(正に万能戦闘戦術だわな。)
ヴァルキュリアを葛西駅にまで進ませつつ、どう降りるかを模索していた。ブリュンヒルデだと、あからさまに目立ち動きを抑制させてしまう。俺だけであれば、相手は油断もせず進軍速度を遅めないだろう。
ミツキ(Tちゃんは、“竜冒険の移動魔法”を、唱えた!)
ナツミA(・・・で、結果は?)
ミツキ(ぬぅーん! この大魔王ポチミツキから、逃れられると思ったのか?)
デュリシラ(それ、某大冒険のネタですか・・・。)
ミツキ(ネタが酷くて寝たわぅね!)
ミスT(・・・この日常の様な非日常に乾杯だわ。)
再び爆笑が起こったが、俺の最後の一言で静まり返る。ただそれは、俺がこの後に待ち構える戦いへの一念ではない。
警護者としての戦いが、前途多難なのは重々承知だ。それを糧として、己の生き様に変換できる幸せの部分である。切っ掛けは些細な事から起こり得るが、また別の切っ掛けにより鎮圧する事も有り得る。
生きる事は、死ぬ事よりも難しい。この一念が湧き上がった時は、それが何だったかは不明だった。しかし今は、その一念がミツキTのものであった事が良く分かる。
そして確信した。この各ペンダントに宿る生命は、正しくミツキT自身の精神体だ。
ミスT(・・・デュヴィジェさんさ、以前俺の各ペンダントにミツキTさんの意思が宿っていると言った事があるよな。)
デュヴィジェ(はい。確かにあの感じはミツキT様でした。恐らく、今の小父様も感じられていると思いますが、そこにいらっしゃるのは彼女ですよ。)
ミスT(やはり・・・。)
各ペンダントに宿る精神体は、ミツキTのものであると断言するデュヴィジェ。今の俺には当時の事を思い出すのは不可能だが、実際に面識があるデュヴィジェなら十分把握できると思う。俺の過去読みを行ったヘシュナも同様だ。
ヘシュナ(ただ、以前ラフィナ様が仰られた通り、自我を覚醒させるのは後一押しという感じになりますけどね。黒いモヤ事変で放たれる、貴方の殺気と闘気の心当てで、確実に覚醒されるのは間違いありません。)
デュヴィジェ(不謹慎ながら、ミツキT様にお会いできるのが楽しみで仕方がないのですがね。)
ヘシュナ(フフッ、そうですね。)
不謹慎と挙げたのは、俺が死地に向かうかも知れない黒いモヤ事変の事だろう。そこでの俺の行動により、ミツキTが漠然とした精神体から完全な精神体に化ける事を期待しているのだ。
確かに一同を容易に覚醒させるに至る、殺気と闘気の心当て。それは各ペンダント効果によって、地球規模にまで広がる力を得るに至った。更にその効果により、各々が内在する力を覚醒させるにも至っている。
南極事変などの力以上のものが出るなら、各ペンダントに内在するミツキTの精神体の覚醒も容易だろう。自我がなかったディヴォルガル達を覚醒させるに至ったように。
ミスT(・・・彼女に逢える事が、俺の本当の再会という事になる訳か。)
デュヴィジェ(でしょうね。今の様相を踏まえると、大いに有り得ます。失礼ながらも、あのお方の力なら、ミツキ様すら敵わないと思いますよ。)
ミツキ(それは愚問だと思います。伺う所、姉ちゃんの病床の頃以上の劣勢に至り、そこで文字通りの死闘を演じつつも、周りを鼓舞激励し続けた。姉ちゃんですら、自身の精神力を高めるしかできなかったのに、私なんか足元にも及びませんよ。)
ナツミA(確かにね。)
エラい豪語して言い切っているミツキに、心から頷くナツミA。姉妹のあの激闘と死闘は、実際にその様相を見つめてきた。そして何とか難局を乗り越える事ができた。デュヴィジェやヘシュナが挙げる、俺が経験した過去の様相を踏まえると、ミツキTはたった1人でそれを目の当たりにした感じである。
スミエ(・・・複数の病魔に襲来され、四面楚歌以上の絶体絶命の状態でした。デュヴィジェ様とヘシュナ様はご存知ですが、あの姿は超劣勢に立たされながらも、金剛不壊の猛将の如く突き進んでいらっしゃいましたので。)
ヘシュナ(そうでしたね・・・。)
デュヴィジェ(強さを通り越して、優しさの何たるかを教えて下さいましたからね。)
念話を通して、ヘシュナが涙ぐむ様子が分かる。対して、デュヴィジェは毅然とした状態でいた。これは着飾っているのではなく、ミツキTの生き様を全て吸収したからこそのものだ。でなければ、ヘシュナと同じく涙を流していただろう。
ミスT(・・・窃盗団の方々には、心から感謝するしかないわ。こうして、原点回帰の繰り返しをさせてくれている。前は、相手が損な行動を繰り返していると思っていたが、それは傲慢な考えから出るものだろう。相手も生命体なのを忘れていた証拠だ。)
シルフィア(そうね、その通りね。以前君が言ってたけど、攻めるは誤った思想であり人ではない。そして、真の敵は理不尽・不条理の概念そのものだと。)
エリシェ(私も同じ事を伺いました。それまでだと、先にマスターが挙げた通り、相手を見下した感じで見ていました。それが間違っている事に気が付かされましたので。)
ラフィナ(今では私達、超大企業連合の永遠の指針の1つですからね。でなければ、お互いに不信が強まり内紛も起こるでしょう。永遠の誓願たる概念を汚す事になります。)
ミスT(持ちつ持たれつ投げ飛ばす、か・・・。)
ミツキが淵源、持ちつ持たれつ投げ飛ばすの概念。言わば、窃盗団の方々すら、俺達の大切な存在にも帰結してくる。もはや極論に近いが、そうでなければ永遠の負のスパイラルに陥る事になるだろう。ただ、それでも間違った行動を戒める行為だけは必要になるが。
ミツキ(私、生まれも育ちも、地球は日本♪)
ナツミA(何故に某風来坊・・・。)
ミツキ(“彼”を“取ら”さんぜ!)
ナツミA(・・・面白くないわね。)
ミスT(トラバントがトラ相手にバントをするってか?)
ミツキ(ぬぅーん! 出直してらっしゃーい!)
何ともまあ・・・。突然ボケを言うミツキに乗っかってみたが、その応酬を伺っていた身内は大爆笑している。この突拍子なく繰り出される生き様は、流石のミツキTも敵わないわ。
ただ、存在そのもので鼓舞激励をする生き様だけは、ミツキもミツキTも全く同じである。天性の才能を遺憾なく発揮する姿は、本当に心から見習うべき永遠の指針の如くだわ。
そんな彼らを、その彼らが住まう地球や太陽系に天の川銀河を守る、それが俺の使命だな。だからこその今であろう。本当に感謝に堪えないわ・・・。
第6話へ続く。
竜冒険の移動魔法はルーラですね@@; 元ネタはダイの大冒険と><; あと、某風来坊は寅さんと、最後は聖戦の系譜やトラキア776のトラバントさん><; 何とも@@;
と言うか、直接対決の話が次の話に流れてしまったのは、当時の自分の限界点(何)だったと思います@@; まあでも、警護者でも探索者でも苦労人でも、元は風来坊と同じくヒューマンドラマが目玉ですからね><; 味方サイドのキャラ会話が中心となっていますのでm(_ _)m 何ともです><;




