第2話 歴史は繰り返す5(キャラ名版)
ミスT「・・・皮肉だわな。偽デュヴィジェが全てを教えてくれている。過去はヘシュナが悪役を演じて、それで全てを教えてくれたのと同じだわ。」
ヘシュナ「フッ、悪役は大変なのですよ。まあ今の彼女は完全に偽者なので、本物を助け出してからが勝負になりますが。」
ミツキ「力を持ち余しているから、余計に性質が悪いですからね。」
ナツミA「気質の逆転よね。」
結局、回帰する先が決まっているようなものか。いや、そこに自然と至るのは、それが生命の帰結する帰路とも言えるのだろうな。理路整然と解釈できる物事ではないが、確かに存在している力の1つである。
ミツキ「ぬぅーん! 良い意味での、歴史は繰り返す、わぅね!」
シルフィア「アハハッ、本当よね。良い意味にも悪い意味にも言い当てられる言葉だし。」
ナツミA「悪役のヘシュナさんが発端として、悪役の偽デュヴィジェさんに舞い戻ると。」
ミスT「よく考えれば、ケルマディック海溝で発見したヘシュナ達の宇宙船、あの時から既に事が始まっていた訳か。それがヘシュナ自身が意図したものではなく、自然的にそこに帰結して来たとも言えるしな。」
修行を中断し、恒例の座談会の如く座り込みの会話をする面々。今ではトラガンの風物詩とも言える。まあ淵源は、喫茶店を起点とした俺達にあるのだが。
ミュティナ「最初は、私達の護衛任務からですよね。もしあの時、マスターが引き受けていなかったとしたら、今はなかったかも知れませんし。」
ミスT「そうだな。」
ミツキ「シュームちゃんの“黒髪妖艶魔女”モードもなかったわぅ?」
シューム「あー、確かにねぇ。」
ナツミYU「むしろ、私が最初に持ち掛けた、アメリカでの依頼が発端だったのかとも。」
ミスT「確かにそうだな。俺が今の記憶で動き出したのは、ナツミツキ姉妹を守る戦いと、ウインドとダークHとの共闘からだ。その数年後に、お前さんからの依頼を受けた流れだった。」
一服しながら振り返る。当時の様相を踏まえると、物凄い駆け足で進んできた感じである。特に劇的に変わったのは、ミュティナ達の身辺警護の依頼からだ。ギガンテス一族と触れた事により、後のドラゴンハート一族やカルダオス一族へと進んでいった。
スミエ「歴史の切っ掛けは、些細な事から始まりますよ。かつて至った世界大戦も、些細な事から大きな火種へと変化していった感じですからね。」
キセルを薫らせながら語るスミエ。正に格言的言い回しである。些細な出来事から、後のデカい出来事へと発展していく。それが歴史というものだろう。
ミスT「人類は今に至るまでに、どれだけの尊い生命を失ってきたのかと思うわ。」
シルフィア「人は、歴史とは、繰り返されるもの、とね。まあでも、過ぎ去った事を悔やむより、今を見つめつつ未来をどうするかが重要よ。それが実現できるのが、私達の存在に至る訳だしね。」
ミスT「本当にそう思うわ。」
過去よりも今を見つめ、今を生きつつ未来を目指す。まあ、言うは簡単・行うは難し、だが。それでも、一歩ずつ進んでこその人生だ。その集大成が生き様に帰結してくる。膝など折ってなるものか。
ミュティナ「それに、昔は不慮の事故などで亡くなられる事がありましたが、今は私達が存在する限りは防ぎ続けますよ。そのための諸々の力ですからね。」
ヘシュナ「ですね。シュームお母様やナツミYU小母様が語られていた通り、バリアやシールドの概念により従来の戦闘方法から逸脱し、回避や生命厳守を疎かにする恐れもあります。しかし、そんなもので朽ちる警護者魂ではありません。今もこうして皆様方と切磋琢磨し続ける事が、昔以上の戦闘力を発揮する礎になりますからね。」
シューム「そうね、その通りよね。バリアやシールドの概念で守られる事により、致死に至る攻撃に対しての対応が薄らいでしまう。それは弱体化にも帰結してくるし。」
ナツミYU「肉弾戦の場合だと、少なからずダメージは負いますからね。まあでも、致死に至らないのなら、後は私達次第という事になりますので。」
シューム「よくよく考えると、警護者の道は本当に大変よね。」
俺が一服し終わったのを見計らってか、何を思ったのか膝枕状態で寝転んでくるシューム。しかし、俺の意識とは別に、無意識にその額に優しく手を添える自分がいた。正に無意識だ。
シューム「やっぱこの感じ・・・母に膝枕をして貰ってるみたい。」
ミスT「はぁ・・・そうですか。」
シューム「デュリシラちゃんから聞いたわよ。自分自身に嘘を付かず、君に接しだしたと。ならば、私もそれに肖らないと。」
ミツキ「ウッシッシッ♪ 女性陣からの猛攻に拍車が掛かるわぅね!」
シュームの言動とミツキの茶化しに、収まっていた殺気に満ちた目線が復活する。しかも、先程以上の凄まじいものである。と言うか、ミスT状態でもこの様相になると、もはや俺は野郎だろうが女性時だろうが関係ない感じだわ。
スミエ「フフッ、Tちゃんの気質が、見事なまでにニュートラルになっている感じと。ミツキ様のそれと何ら変わらない感じでしょう。」
ミツキ「ぬぅーん、数多くの性転換状態に至って得た力なら、まだまだ修行が足らぬ証拠わぅ。」
シルフィア「アッハッハッ! 本当よね。」
ミスT「はぁ・・・ミツキの気質には誰も敵わないんだがな。」
気質のニュートラル化か、確かに一理あるわ。だからこそ、先の殺気に満ちた目線である。それに、この気質はミツキが常に発揮しているものにもなる。ナツミAやシルフィア、スミエもしかり。無類の力を発揮する淵源は、この気質にこそあると言える。
ミツキ「ぬぅーん! この気質を、偽デュヴィジェちゃんにも叩き込んでやるわぅ!」
ナツミA「ハハッ、本当よね。」
ヘシュナ「う~ん、それが生命の次元で本物にフィードバックされるとなると、後のマスターへの言動がとんでもない事になりそうですけど。」
ミツキ「ぬっ?! Tちゃんは本物デュヴィジェちゃんから、とんでもないものを盗んだわぅ?!」
ナツミA「はぁ・・・大体分かるけど、それは一体何なのよ?」
ミツキ「貴方の心ですっ♪」
ミツキから語られる言葉に、周りは大爆笑しだした。と同時に、過去に本物デュヴィジェの心を盗んだのは間違いないため、俺へ向けられる殺気の目線が更に増してくるが・・・。
シルフィア「はぁ・・・この気質こそが、全ての難関を打開する起爆剤よね。」
ミスT「何とも。」
和気藹々な様相こそが、全ての終着点とも言えるのだろうな。それを無意識レベルで体現するミツキの手腕には、本当に脱帽させられるわ。素晴らしい女傑である。
何度も思うが、回帰する先があるのは本当に幸せな事だ。些細な事でもいい、それが大きなうねりになるのは間違いない。その繰り返しが人生であり、そして生き様へと帰結して行く。
これも何度も思うが、相手側は本当に損な行動をし続けるわ。これらの原点回帰の繰り返しにより、俺達はより一層団結力と結束力が養われてくる。それにこれらは、生命の次元から至るため、ほぼ絶対不動なまでに昇格していく。
この概念を誰よりも熟知しているのが、5大宇宙種族の面々だろう。地球人よりも得ているとも言い切れる。だからこそ、かつての悪役ヘシュナや偽者兄弟、そして偽デュヴィジェがその役を担うのだろうから。
不思議な縁としか言い様がない。この絆を、何処までも大切にしていきたいものだわ。
それから数日後、とんでもない流れになっていく。偽デュヴィジェ達は相変わらずの様相になるが、先日挙がった黒いモヤの接近が明らかになったのだ。その規模は、太陽系を遥かに上回り、天の川銀河に匹敵するもの。何時ぞやの惑星事変の比ではない。
ただ、その接近速度は惑星事変の惑星よりは遅く、数ヵ月後になるとの事。今はまだ安心できる感じか。それでも、これはもう地球人や宇宙種族の問題ではない。太陽系や天の川銀河に住む全ての生命の危機的状況とも言える。
しかし、惑星事変の惑星よりは脆弱だと推測できる。幾ら致死力が強いものだとしても、それは一種の無明から来るマイナス面の集合体だ。真逆の属性、プラス面の力をぶつければ相殺は容易であろう。
問題は、太陽系以前に天の川銀河の規模となる黒いモヤを、一体どうやって相殺ないし打ち消すかだ。まあ、一応の手立てはなくはないが・・・。
デュリシラ「宇宙大帝の紛い物が出てくれば、地球を飲み込む水性物質染みた紛い物も出てくると。貴方が理不尽・不条理な対応に怒りを露わにする意味を、ホトホト痛感させられます。」
ミスT「まあそう言いなさんな。」
怒り心頭のデュリシラの頭を優しく叩く。それに笑顔になるが、モニターへ視線を戻すと再び怒りの表情になった。それだけ、今の現状が常識を逸脱した様相という事になる。
ミュセナ「マスター、一応の対策なのですが・・・。」
ミスT「俺もあるにはあるが、一応伺おうかの。」
エリシェ「了解です。」
今回は接近がかなり先になるため、事前に準備ができる感じなのが幸いか。そこで、エリシェとミュセナがスーパーコンピューターを駆使し、その流れを演算してみた様子。デュリシラやナツミAも一役買っている。モニターに映し出されたのは、黒いモヤへの対策法だ。
全ての宇宙船団を指定の配置に着かせ、そこからバリアとシールドを極限にまで増大する。相乗効果も狙った布陣を取るため、2乗の2乗以上の力が発揮されるとの事だ。
しかし、幾らバリアとシールドが堅固であっても、シールドの外円部に位置する宇宙船団へのダメージは計り知れない。下手をしたら消滅してしまうだろう。更に問題なのは、それを無人でできない事だ。
エリシェ「この戦術は、各バリアとシールドを極大にまで拡げる必要があるので、どの宇宙船団が欠けても成功しません。1つでも消滅すれば、そこから綻びが生じて全滅します。」
ミスT「無人化ができないのは、バリアとシールドを発生させる宇宙船に、生命体を置く必要があるからか。」
ミュセナ「ええ、その通りです。従来のバリアとシールドでは、もはや対応不可能なものですし。となると、生命力自体を増幅させ、より一層バリアとシールドを堅固にさせる必要が出てきます。ただ、実際に成功できるかどうかは・・・。」
模擬的に展開した様相を見て、誰もが落胆の表情を浮かべている。先の惑星事変を超える、もはや回避不可能な災厄とも言えた。太陽系や天の川銀河の滅亡そのものである。
ミスT「他にプランはあるのか?」
エリシェ「いえ、実質的にはこれしか・・・。」
ミツキ「宇宙大帝こと偽デュヴィジェちゃんの力で、何とかして貰うのが得策わぅね。」
ナツミA「ハハッ、本当よね。まあこの場合は、先のTさんが少女さんを生き返らせる事を提示し、それができないと言い切った事に帰結します。つまり、彼女には為す術がありません。」
誰もが落胆の表情の中、一際明るさを維持しているのがナツミツキ姉妹だ。かく言う俺も、それなりの明るさは持っている感じだろうか。
ルビナ「・・・マスター、貴方のプランをお聞かせ願えれば。」
ミスT「ん? 実に簡単な方法なんだがね。ミツキ、例のものを頼む。」
ミツキ「ラジャラジャ♪」
言うか否か、ペンダント効果を駆使して、その場に電撃に見立てた黒いモヤを作り出す。先の電撃の球体の応用で、負の感情やマイナス面の力が働けば至る事が分かったのだ。それを見た一同は驚愕している。
ミツキ「見よ! この暗黒面の力の偉大さを!」
ナツミA「ボケはいいから、しっかり構えてなさいな。」
ミツキ「おういえい♪」
今度は俺が同じ電撃の応用で、同じ黒いモヤを作り出す。しかし、そこに込められている力の性質はプラスである。それをミツキの持つマイナスの力に放った。
物凄くゆっくり進むその力は、今現在も太陽系と天の川銀河に接近する黒いモヤとも言えるだろう。固唾を飲んで見守る一同の前で、2つの力がぶつかり合う。すると、意図も簡単に相殺されるのだ。
ミュセナ「こ・・これなら・・・確実に阻止できますよ!」
ミスT「先のバリアとシールド作戦は、幾ら生命力を高めても、こちら側はニュートラルの力にしかならない。プラスの要因に高めようとしても、繰り出す人物の力が弱ければ意味がない。」
エリシェ「・・・マスター、貴方は死ぬつもりでいるのですか・・・。」
ミスT「現段階では、ね。全ペンダント効果に殺気と闘気の心当てを合わせ、そこに例の電撃とこのプラスの力を乗せる。問題は規模なんだがの。」
一服しながら、何度となくミツキと同じ流れを実演し続けた。小規模のものなら、意図も簡単に相殺し合える。問題なのが、これを太陽系や天の川銀河以上に拡大させる事だ。
スミエ「生命の剣、ですか。」
ミスT「ハハッ、読まれたか。人間は誰しも、己の力をセーブして動こうとする。その概念を取り除けば、1人の人間の力は大宇宙に比例する。こんな黒いモヤ如き造作もない。」
スミエ「これ、Tちゃんの全生命力を駆使しないと、太陽系や天の川銀河以上には拡大はできないかと。」
ミスT「俺1人の命で、生命総意が助かるなら安いものだろうに。」
ミツキとの実演を終えた後、今度は電撃を混ぜないプラスの力を解放してみた。以前はコミケで繰り広げた、殺気と闘気の心当てに慈愛の一念を乗せたアレだ。各ペンダント効果もあり、凄まじいまでの力に増幅される。
ミスT「うむ、何とかなるわ。これが特効薬になる。」
ヘシュナ「・・・本当なら止めさせたいのですが、あのお方が全生命力を賭けて動かれていた手前、貴方を止める術はありませんよね。それに、今は貴方に全部委ねるしかないのが実状。偽デュヴィジェ様に関しては、全てお任せ下さい。彼女を絶対に阻止します。貴方は、貴方の生き様を貫いて下さい・・・。」
涙を流しながら、俺を抱き寄せ胸に抱くヘシュナ。物凄い力の抱擁だ。しかし、本気を出せば俺を握り潰す事になるため、彼女なりのセーブしたものだろう。
ヘシュナ「こんな・・・理不尽・不条理な事が他にありますか・・・。」
ミスT「だからこそよ。それを他の大切な生命体群に委ねるのは我慢がならん。こんな概念なんぞ、俺1人で全部叩き潰してやる。あの時・・・そう彼女に誓ったのだからな。」
自分の最後の言い回しを聞いて驚いた。自然と出てきた言葉だったのだ。彼女と言うのは、間違いなく逝去した不二の盟友だろう。
ミスT「俺の目が黒いうちは、理不尽・不条理な対応には断固として抗戦して行く。誰か1人でもいい、突破口を開く存在がいるなら、そこから続く人物が出てくる。お前さん達の様に。」
シルフィア「はぁ・・・君は何処までも利他の一念よね・・・。」
ミスT「フッ、素晴らしい師匠達に出逢えたからの。今の自分があるのも正にそれよ。」
シルフィア「了解。ヘシュナさんと同じく、あのお馬鹿さんの事は任せて頂戴な。君には全ての面で触れる事さえさせないわ。」
ミツキ「師弟の理でブイブイ言わせてやるわぅ!」
ナツミA「師弟ねぇ・・・。」
周りは悲壮感に苛まれている感じだが、俺の方は至って普通に振る舞えている。むしろ、先に命懸けと語ったが、もしかしたら助かる可能性も出てくる。己自身の生命力が、何処まで発揮できるかが勝負所だろうな。
見通しは厳しいものだが、打開できないものなど存在しない。今現在は一応の対策は存在している。ただ、現段階では、俺の生命が最大の鍵になりそうだが。
何にせよ、総意に悲しい思いなど絶対にさせてたまるか。降り掛かる理不尽・不条理の概念なんざ、全部蹴散らしてやるわ。
第3話へ続く。
偽デュヴィジェの元ネタは、宇宙戦艦ヤマトの白色彗星帝国軍はズォーダー大帝@@; 巨大な水性生物的な黒いモヤは、同宇宙戦艦ヤマトの最後の地球に迫る正に巨大水性のアレ。第4部はWOWOWにて新ヤマトを全て視聴した後に発案したので、その色が出ています@@; まあ、どちらも本質的には簡易的な悪役に過ぎませんがね。何とも(-∞-)




