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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第4話 超長距離精密射撃4(キャラ名版)

シルフィア「まあさておき、今はこちらに集中しましょうか。」


 そう言うと、轟音が近付いて来だす。そちらを窺うと、あの恐怖のフライトで用いた超巨大ジャンボジェット機が着陸してきた。どうやらこの機体にデュリシラを乗せるようだ。


シルフィア「また暫く離れるけど、大丈夫そうね。」

ミスターT「凄腕のガンマンがいますし。」


 戦闘モードに入りだしたナツミYUとシューム。持参している兵装を装備すると、先程までの女性の出で立ちが消え失せていた。周りの女性陣も同じく戦闘モードに入っている。


ミスターT「・・・エリシェとラフィナもやれるのか・・・。」

エリシェ「簡単な狙撃程度しかできませんけど。」

ラフィナ「護身術ならお手の物ですよ。」


 拳銃を持つ姿の2人に驚くしかない。他の10人は戦闘のプロフェッショナルなのは窺っているが、この2人はその手の腕はないと思っていた。だが彼女達から戦闘訓練を受けていたようで、出で立ちは間違いなく警護者そのものである。


 ちなみに超巨大ジャンボジェット機には、デュリシラを始めエリシェ達が乗り込むようだ。シルフィアはハリアーⅡに乗って護衛するとか。というか、戦闘機操縦できるのか・・・。




無線(緊急事態! 不審車両が多数接近、護衛を急いで下さい!)

ミツキ「一難去って、また一難ってわぅか?!」

ナツミA「馬鹿言ってないで動きなさいな。」


 普段のノホホン雰囲気はどこへやら。ホルスターから二丁のマグナムを抜くと、凄まじい勢いで現場に急行しだすミツキ。そんな彼女の姿に溜め息を付くも、アタッシュケースから取り出したスナイパーライフルを背中に担ぐナツミA。突撃のミツキとは別の方角に向かって行った。


シルフィア「T君はどうするの?」

ミスターT「どうするも何も、地上なら絶対に負けませんよ。」


 ナツミAやミツキから、例の力の加え加減の触りを窺った。多分扱う事はできるだろう。背後にあるトレーラーに鎮座していた、大盾火器兵器を持ってみた。当時は相当な重量だったのだが、力加減のお陰で難なく持つ事ができたのだ。それに周りの女性陣は驚愕している。


ナツミYU「そ・・それを持てるのですか・・・。」

ミスターT「地上ぐらい無敵だと言わせてくれ・・・。」


 右手に本物仕様の大盾火器兵器を、左手にカーゴ仕様の大盾火器兵器を持つ。凄まじい重量だが持ててしまうのには驚くしかない。ただ機動力の方は相当激減しているが・・・。


シルフィア「ハハッ、諸々了解。私は後から離陸するから、貴方達は先に動いて頂戴な。」

一同「了解!」


 己の役割が分かると、気合いの掛け声と共に散開しだす。先程の和気藹々の姿は全くない。流石は警護者だ、戦闘となると本気モード状態は素晴らしいものがある。



 エリシェ達はデュリシラの護衛を行いつつ、超大型ジャンボジェット機に乗り込んでいく。この11人はパーティーを組んでこそ真価を発揮するみたいだ。確かにそれぞれが姉妹の様な感じである。


 ナツミYUとシュームは周辺の警護を当たっている。遠方では不審車両が接近している様子だが、ミツキが時間稼ぎをしているようだ。多分ナツミAは管制塔辺りからの超長距離射撃を狙っているのだろう。


 シルフィアは複数の自衛隊員の方々と戦闘機に乗り込みだしている。彼女はハリアーⅡに搭乗し、他の隊員はラプターとライトニングⅡを使うようだ。というか恩師が戦闘機を操れるとは・・・。


 何時の間にかいなくなっていたウインドとダークHは、無線の内容からミツキと共同戦線を張っている様子。警察庁長官自らが最前線で戦う、か。不思議な光景だが、指揮の向上には打って付けだろう。


 俺は重荷ながらも、ナツミYUとシュームの護衛に当たる。俺の本業は警護者よりも護衛者の方が性分に合う。まあどちらも同じ意味合いだが。




 準備が整ったようで、超大型ジャンボジェット機が離陸を開始しだす。遠方の不審車両側は一段と盛り上がっているが、肝心なのは護衛を成功させる事だ。今はこちらを最優先である。


 続いて恩師率いる戦闘機隊も離陸を開始。コクピット内部から俺に小さく手を振る彼女。そのまま滑走路の方へ進んでいった。本当に無敵な女傑だわ・・・。


 それぞれの機体が大空に飛び立っていく。それに身体が無意識に震え出すが、傍らにいたナツミYUとシュームに肩を軽く叩かれる。それで一瞬にして震えが止まった。見事な癒しの一撃である。



無線(・・・何だと?! 緊急事態! 至急ジャンボ機を着陸させて下さい!)

ミスターT「横槍失礼、どうしたんだ?」

無線(先程の着陸時に不審者を発見。捕縛して問い質した所、機体下部に時限式爆弾を仕掛けたとの事です!)


 慌てた声色に驚き、持参していた無線に問い掛ける。どうやらあの短時間の間に機体に時限爆弾を仕掛けられたようなのだ。となると何時爆発するかが気になるが。


ミスターT「爆発までの時間は?」

無線(16:00に爆発するようにセットされている模様。今からだと数分しかありません!)

ミスターT「・・・となると、これが最短行動か。」


 持っていた2つの大盾火器兵器を地面に置く。その中のカーゴ仕様の大盾火器兵器の内部に、新型兵器を置いてくれたとの事だ。四天王がギリギリで完成させた、超長距離精密射撃が可能なスーパースナイパーライフルという。即座に展開できるのは見事なものだ。


ミスターT「角度が厳しいか。・・・仕方がない、骨董品を足場にしよう。」


 俺の言葉で全てを察知したナツミYUとシュームが、鎮座していたTa152Hを滑走路の近くまで押していく。翼の付け根に腰を下ろし、エンジン部分にスーパースナイパーライフルを配置した。これなら十分角度を得られる。


 ちなみにTa152Hのエンジンカウル真上に獲物を直接置くと傷が付く。ここは着用している黒コートを脱いで折り畳み、それを衝撃吸収材として挟んだ。流石に骨董品に傷を付けるのは忍びない。


シルフィア(了解、全て察知したわ。機体をそちらに向かわせるから、確実に決めなさい。)

ミスターT「大丈夫、お任せを。」


 ハリアーⅡ・ラプター・ライトニングⅡから破壊しようと試みていたのだろうが、衝撃で墜落しかねない。そんな中で地上のこちらの動きを察知したのだろう。シルフィアが無線で一連の行動を促してきた。


 同時にナツミYUが無線で時限爆弾の取り付け位置を窺っている。どうやら機体下部の後尾に近い所に仕掛けてあるようだ。目視できる程度の規模だが、それだけで十分破壊力を得られるとの事。



 大空に飛び立った超大型ジャンボジェット機がこちらに向かってくる。最低高度を維持し、可能な限り減速しての進入だ。パイロットは相当の腕前である。


 スコープから目標を覗くと、しっかりと時限爆弾らしきものが取り付けられていた。問題はどうやって爆発させずに切り離すか、だが。


ミスターT「・・・ブラジャーを取り外す方法が無難かね。」

ナツミYU&シューム「な・・何を言い出すのよっ!」


 俺の意外な発言に大激怒しだすナツミYUとシューム。そんな2人に小さく微笑みながら、目標目掛けて射撃を開始。連続で2発、時間差で1発。合計3発で大丈夫だと思う。


 当然だが実弾では爆発を誘発させる。そこで予備に入っていた模擬弾を用いる事にした。ゴム製の殺傷能力がゼロのもの。発射に火薬を使う薬莢以外に爆発物は一切使われていない。これなら爆発させずに切り離せるだろう。



 最初に放たれた弾丸2発は、機体下部に付いている時限爆弾の左右に着弾。その衝撃で本体がグラ付き外れそうになる。そこに最後の1発が時限爆弾中央に着弾。飛行している機体の風圧も合わさって見事に取り外せた。


 超大型ジャンボジェット機が真上を通過後、時限爆弾は地上に落ちてくる。そこに複数の実弾の弾丸が打ち込まれ、直後大爆発して飛散した。射線上を見ると、スナイパーライフルを構えるナツミAが小さく手を振っている。見事な連携だわ。



 機体の再確認という事で、一度戻ってくる超大型ジャンボジェット機。戦闘機隊も同じく戻ってきた。あの短期間でよくぞまあこれだけの事ができたわ。


 シルフィアに有事は落ち着いて動けと常々言われてきた。実際の時限爆弾爆発時間までは分からなかったが、時間範囲内で全て決着ができたのは幸運である。


 しかし・・・Ta152Hを足場に使うとは。確かに“乗る事”はできたが、別の意味合いになってしまうとは・・・。まあ終わり良ければ全て良し、だな。



 最終点検と万全な警備体制の中、再び超大型ジャンボジェット機が離陸していった。護衛の戦闘機隊も同様である。既に妨害要素は駆逐しているため、安心して見送る事ができた。


 遥か大空まで去っていく機体郡。その彼らを一服しながら見つめ続けた。




ミツキ「ブラジャーのホックの応用わぅね!」

ミスターT「実際に触った事はないが、大凡で何とかなったよ。」


 帰路はナツミAがキャンピングカーを運転、助手席ではミツキが茶菓子を頬張っている。この2人も大型自動車免許を持っており、更に牽引と二種もあるとの事。


 俺は2人の後ろの席で、ナツミYUとシュームとでトランプで暇潰しをしている。更に後部座席ではウインドとダークHが携帯やノートパソコンで後始末に追われている。まあこれが彼女達の本職だからな、任せるとしよう。


ナツミYU「あの時、何を言い出すのかと怒りましたけど。」

シューム「まさか爆弾切り離しの作戦だったとはね。」


 彼女達が言うには、2つの留め金で装着するとの事。時限爆弾を両サイドから狙撃、不安定にさせた所を外した。茶化しも込めて言ったのだが、まさかその通りだったとはな。


ミツキ「現地で大騒ぎだったわぅよ。名付けて、ブラジャー作戦って言ってたわぅね。」

ナツミA「馬鹿みたいな感じだけど、実際にそれで多くの人が助かった訳ですし。」

ミツキ「Tちゃんの本番に対する姿勢はピカイチわぅ!」

ミスターT「自分の事だが、本当にそう思うわ。」


 あの瞬間、咄嗟に思い付いた戦術がアレだ。超長距離精密射撃はナツミAこそ真骨頂だが、俺にでもできたのには驚くしかない。


ナツミYU「でも、ブラジャーの本質を知らないようですからね。」

シューム「そうねぇ~。ここは実際に見せて触らせて取らせた方がいいかと。」

ナツミYU「大賛成です。」

ミスターT「勘弁して下さい・・・。」


 案の定の展開だ。ネタで言った程度だったが、本質を見せると豪語しだす。それに呆れる俺だが、ミツキとナツミAはエラい笑っている。う~む、要らん事を言うんじゃなかった。



 後日窺ったのだが、あの超長距離精密射撃でエリシェ達の命を救った事に大感激の彼女達。俺の事を恩人とまで言いだした。


 また警護者の間で伝説が打ち立てられた。咄嗟の判断で時限爆弾を爆発させずに切り離したというものだ。しかも飛行中の航空機に付けられているのを、である。


 そして茶化される事にもなった。名付けてブラジャー作戦となったあの依頼。強者の間ではランジェリーマスターとも言われているようだ。実に嬉しくない徒名である・・・。



 まあ実際にエリシェ達の命を救えた事に変わりない。シルフィア達を救ったあの時の様に、本当の時は本気になれる事も知れた。事前に準備が整っていたからこそではあるが。


 今後もこの生き様は貫くべきだな。人間は追い込まれてこそ真価を発揮する。それを身を以て思い知られた依頼であった。


    第5話へ続く。

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