第8話 大混乱と決着と1(キャラ名版)
不意の来訪者たる惑星の接近に、地球総意は震え上がった。4大宇宙種族の力がなければ、既に地球は崩壊していただろう。地球に住む生命全てが絶滅していたに違いない。
しかしそこは宇宙種族のテクノロジーか。この手の危機は長年対処してきたようで、呆気なく片付いたのだから拍子抜けである。惑星自体を乗り物として、それを転送装置で地球の反対側に移動させる。誰がこの手法を考えるのか教えて欲しいわ。
ただこれはミツキも俺も読んでいた事になる。実行者はギガンテス一族の大王ネデュラになるが、彼も全く同じ見解となっていた。最初は破壊を試みようとしたが、破片が降り注ぐ問題が発生する。更に同惑星を生命体と捉えるなら、破壊は殺害になるだろう。
よって、最善の策は惑星自体を強制的に移動させるという事になった。それが出来たのがギガンテス一族などが十八番、転送装置のテクノロジーである。本当に見事なものだわ。
そして明るみになったのは、超大国や大国の脆弱なまでの様相だ。そこに住む方々を守ろうとせず、惑星の接近自体を俺達が仕向けた行動だと言ってきたのだ。流石に4大宇宙種族もこればかりは真底呆れ返ったようである。
ただ、国を挙げて住む方々を守ろうとする所も存在していた。その様な気概こそが、今の世界を統治するに値する存在だろう。ここは心から頭を下げるしかない。
そこで、最終手段を取る事にした。本来ならそれぞれの国々で対処すべきものだが、微温湯に浸かり続けている愚物共を一掃する作戦を取る事にしたのだ。これは大企業連合と躯屡聖堕フリーランスが為せる最強の力だろう。
反対や反抗は避けては通れない道だが、全ては世上の安寧を願う故の帰結だ。悪役だろうが何だろうが演じ切ってやる。そのための各種の力なのだからな。
デュリシラ「ほぉほぉ・・・大いに揉めてますねぇ。」
カラセア「正に右往左往と。」
喫茶店はサーバーブースで世界の情勢を警視するデュリシラ。最近はカラセアとナセリスもコンピューター関連に目覚めだし、デュリシラ達の補佐に回っていた。根っからの努力家2人なだけに、直ぐに順応を示す部分が見事である。
ナセリス「今までどれだけ微温湯に浸かっていたかが痛感できます。ここまで酷くはないとは思っていたのですが、この様相にはホトホト呆れ返りますよ。」
ミスT「これが凡夫故の、無明から脱する事ができない業そのものだわな。」
生命哲学の理が示す、無明と言う名の最大の敵。いや、この場合は己心の魔とも言えるか。それでもこれは全ての生命に内在するものとの事だ。結局はそれぞれの面々に必ず存在する、表裏一体の避けられないものになる。
ミスT「だからと言って容赦はせんよ。愚物がいる限り、世上の安寧は掴めない。世界から悲惨と不幸を無くすには、これらが諸悪の根源だしな。」
デュリシラ「本当ですよね。」
茶菓子を漁りながらブラインドタッチを繰り広げるデュリシラ。お嬢様気質は据え置きも、まるでミツキがそこにいる感じである。言うなればナツミツキ姉妹の気質と言うべきだろう。
デュリシラ「その思われた部分、多分お2人方に感化された影響だと思います。最近は更に力強くなっていますし。」
ミスT「まあねぇ・・・あの姉妹は良い意味で変人だからの。」
俺の言葉にコンピューターと格闘中の3人が小さく笑う。姉妹の実力は日に日に強くなっているのが明確に分かる。ただそれは外面的なものではなく、内面的なものになるだろうか。つまり生命力の強さに他ならない。生命哲学の理を地で行く姉妹なのだから。
ミスT「俺自身としては、一同を支え切って寿命を全うしたいものだわ。それが今を生きる俺自身の使命だろうし。今後もお前さん達全員を守り続ける。」
カラセア「ありがとうございます。しかし守られ続けられるのも性に合いません。私達は私達なりに貴方も支えて進みますよ。」
ナセリス「デュリシラ様もそうですが、私達も貴方が大好きなのですよ。ただそれは純粋無垢の師弟の理に帰結しますが。まあ・・・女性としてのそれもご理解をして頂きたいものです。」
デュリシラ「この部分はマスターは疎いですからねぇ・・・。シューム様やナツミYU様がヤキモキする気持ちが痛感しますよ。」
ミスT「何とも。」
胸中を語りつつも、呆れ顔で俺を見つめて来る彼女達。デュリシラは気付いていたが、今やカラセアとナセリスからも好意を向けられている。それだけ彼女達を支えられてこれた証になるわな。本当に感謝に堪えない。
ミスT「まあ何だ、今後も己が生き様は貫き通して行くわ。」
デュリシラ「覆面の風来坊の真骨頂ですからね。精進し続けて下さいな。」
ミスT「委細承知。」
話の展開がどの様になろうが、結局は帰結する先に至っていく。もはやこれは俺のステータスとも言い切れる。エリシェ達には疑問を投げ掛け、共に解決する糸口を模索したりもしてる。どんな状況だろうが、絶え間ない修行の繰り返し。それがここにあるのだろうな。
それからも世界の警視は続いた。今も姿を隠している偽者共に諸悪の根源がいるが、連中が一連の騒動を巻き起こしているのもまた事実だ。煽動も煽動、世界規模の煽動に近い。
逆に先の惑星事変で陰ながら努力していた、本当の強さを持つ面々が反対攻勢を開始した。世界中の小国からの行動だが、それが徐々に拡大してるのは言うまでもない。超大国や大国の内部でも同じ気質の面々がおり、その方々の闘志にも火が付き出していた。
もはやこの勢いは止める事はできない。民を蔑ろにしてきた怒りは、全てにおいて凌駕するものになる。過去も今も全く変わらない。ただ劣勢である事には変わりはないだろう。
そこで彼らが言わば実働部隊として着目したのが、俺達警護者軍団だ。そこに帰結すれば大企業連合と躯屡聖堕フリーランスにも至っていく。世界で最大最強の力を持つのだから、自然と助け船を求めてくるのは定石になるだろう。
そして当然エリシェ達はその声に応じた。元から世界の安寧を求めて戦い続けて来たのだ。声なき苦痛の一念を汲み、総意を以て突き進む。それが大企業連合と躯屡聖堕フリーランスの真の力と言える。その実働部隊が警護者軍団となる訳だ。
待っていたと言っては烏滸がましいかも知れないが、俺達が独自に動いては世間の目が非常に厄介になる。しかし依頼があれば何でも行うのが警護者の理、それを世界も黙認している。漸くその時が来たと言っていい。
ミツキ「危ういわぅ、一触即発状態わぅよ。」
ナツミA「何時起こってもおかしくないわね。」
喫茶店にはフルメンバーが集い合っている。世界の言わば常識人方からのオファーがあり、警護者軍団から大企業連合と躯屡聖堕フリーランスが動き出した。それが超大国と大国には痛烈的な痛手になっている。となれば、最終手段は1つしかない。
ミスT「何度も言うが、絶対悪の完全無力化は大丈夫だよな?」
ミュセナ「全く以て問題ありませんよ。仮に地球上の全ての核兵器を使われたとしても、地球自体に完全無力化させる一種のバリア的なものを張り巡らせていますので。」
ミツキ「ニュークリアをクリアするわぅね!」
ミュセナ「フフッ、正にその通りです。相手側には一切の核兵器は使わせませんよ。」
ミツキのボケはさる事ながら、油断を排して全力で挑む姿勢のミュセナ。地球上の全核兵器を一斉に使われたとしても、全て完全無力化できると豪語している。まあ宇宙規模で言うなら、太陽系や銀河系をバリアやシールドで覆えるのだ。地球自体を覆う事など造作もない。
ルビナ「細菌兵器・生物兵器・生体兵器の類も全て無力化できます。恐れ多いながらも、私達がいる限りには使わせません。地球人には既存兵器しか使えないという事を思い知らせますよ。」
ミスT「はぁ・・・何とも。」
ヘシュナ「それに奥の手としての“カード”がありますので。もしその事態に至った場合はお任せを。愚者共には容赦なき鉄槌を下してやります。」
ミツキ「愚者を鉄槌でグシャッと潰してやるわぅ!」
ナツミA「ミンチも良い所よね。」
ミュセナもルビナも諸々の事変を経たからか、漸く力の使い加減を見切った様子だ。ヘシュナと同様に一切の油断を排した一撃とも言える。出し惜しみはしない、という気概が伝わってくる。そして最後はミツキのボケとナツミAのツッコミだ。それに笑い合う一同。
ミスT「力とは使ってこそ真価を発揮する、か。」
エリシェ「その度合いにもよりますが、全ては世界の安寧を勝ち取るための手段でしかありません。世上から悲惨や不幸を可能な限り取り除き続ける。それが私達の誓願ですし。」
シューム「警護者がねぇ・・・とんでもないレベルにまで至ったものよね。」
一同に簡単な茶菓子と紅茶を振舞うシューム。決戦は近いとあり、軽食などは取らない感じである。何時何処で襲撃されるか分からない現状から、完全武装状態で待機している流れだ。
ナツミYU「そう言えば、ガンシップ連合艦隊はどうなっています?」
エリシェ「日本全国の警備に回って頂いています。推測できる流れとしては、全世界からの一斉武力攻撃が懸念されますし。まあバリアとシールドの概念で無力化させますけど。」
ヘシュナ「一切合切全てお任せを。この部分は4大宇宙種族の総力を挙げて、愚者共から皆様方を厳守し続けます。」
あれだけレプリカ大和とレプリカ伊400を大量創生したのに、実際に活躍の機会は皆無の現状。しかし既存兵器群で襲来される場合は、これらガンシップ群は絶大な威力を発揮する。それに今は親玉を叩き潰せば全て決着が着く感じになる。あと一歩の所まで至っているのだ。
シルフィア「油断を排した形の宇宙種族は、生粋の戦闘種族とも言い切れるわね。」
ミュセナ「確かに。大宇宙ではそれこそ日々が激闘と死闘の繰り返しですので。」
ルビナ「一族は無論、全生命を守る気概で挑んで行きますよ。」
ギガンテス一族・ドラゴンハート一族・カルダオス一族・ガードラント一族。この4大宇宙種族は、今では完全に警護者としての一念が根付いている。調停者に裁定者の役割を演じていると言えた。それだけ彼らにとって、全生命を守る意味は物凄く重要だろう。
第8話・2へ続く。




