第7話 忍び寄るメテオ3(キャラ名版)
更に数日後。接近する惑星が肉眼でも認知できる様相になってきた。地球の各国家は恐怖に震え上がっているようである。今もエリシェ達やネデュラ達は首を縦に振っていない。相手は俺達側も死ぬのだぞと脅しに掛かっているが、そういった問題ではないのだ。
既にネデュラ達は総動員で対処可能な状態に至っている。特に実働部隊を編成し、惑星に乗り込んで軌道を変化させる事も可能としていた。彼らにとっては、この災厄は日常茶飯事の様相なのだ。だから一切恐れてないのである。
あと一歩踏み込めば、今直ぐにでも惑星の軌道を変化させる事も可能という。最悪のプランでは破壊も可能としており、実働部隊が転送装置で離脱後に破壊する流れとなっている。破片は地球や周辺をもバリアとシールドで覆う形になっているため、全てにおいて問題はない。
というか、裏情報では既に地球周辺をバリアとシールドで覆っているとの事。仮に惑星が激突しようも、バリアとシールドに阻まれ押し潰されて木っ端微塵に吹き飛ぶというのだ。実に馬鹿げてるとしか言えないが、それで地球が守られるのだから皮肉な話だろうな。
ナツミA「はぁ・・・見方次第では世紀末そのものよね。」
ミツキ「為す術無しの状況わぅ。」
喫茶店の屋上で空を見つめる面々。成層圏外では不気味なまでに迫ってくる惑星が見える。ちなみに地球の衛星の月には激突させないようにするとの事だ。ネデュラ達の手腕には脱帽するしかない。
ミスターT「主力陣は全員出払っている感じか。」
ナセリス「はい。今はエリシェ様方の身辺警護に回っています。人類全体が皆様方に注視している現状ですよ。」
カラセア「流れ的には貴方が念話でエリシェ様にゴーサインを出し、そこからネデュラ様方が実行に移るという流れになります。あちらは何時でも惑星を軌道修正ないし破壊できる様子との事です。」
ナツミA「あれだけの超大質量惑星を即座に軌道修正できますかね・・・。」
ミスターT「ん? 実に簡単じゃないか。実働部隊が乗り込んでいるのは、惑星自体を乗り物としている点だろう。つまり地球に激突の瞬間、転送装置で反対側に出せば済む事よ。」
ナツミA「ええっ?! あんなデカいのが可能なのですか・・・。」
ミスターT「ヘシュナが言うには、太陽系や銀河系すらも可能らしい。宇宙種族群の考える部分は、俺達の常識は一切当てはまらんわな。」
一服しながらも、俺自身も呆れるしかなかった。惑星の破壊は最終手段で、それ以外では軌道修正を行うのみの手法らしい。しかも曲線を描いて進ませるのではなく、転送装置の応用で移動させるというのだ。
確かにあれだけの超大質量惑星の軌道修正は不可能に近い。巡航速度がマッハを超えているため、物理的に動かすのは不可能である。特に宇宙空間は慣性の法則が地球とは異なり、一度進み出したものは逆からの力を与えない限り止められない。
ネデュラ達も超大質量惑星の軌道修正は絶対に不可能と取っていた様子。となれば、惑星自体を転送装置により移動させる、つまり地球を通過させる事が最善策となった訳だ。最悪のプランは破壊になるのだが、既に地球や月や周辺をバリアとシールドで守っている。
実質は3重の守りが施されている現状、地球が破壊される事はまずないのだ。それを伺い知った時、脱力で倒れそうになったわ。
ミツキ「今回は完全に地球人自体の考えを改めさせる演出わぅね。」
ミスターT「あまり良くない手法だがね。まあそれで世上から悲惨や不幸が少なくなるなら、あの惑星は言わば救世主とも言い切れる。目覚めるかどうかは、今現在の地球の首脳陣に掛かってくるがね。」
ナツミA「はぁ・・・何から何まで逸脱し過ぎですよ。」
俺がそうだったように、ナツミAもかなり脱力気味になっている。それまでは現状を目の当たりにして、内心は恐怖心に駆られていたようである。対してミツキはアッケラカンとしており、どうやら全てを見抜いていた様子だ。
ミツキ「ぬ? わたが全部見切っていたという事わぅか?」
ミスターT「あら、読まれたか。」
ミツキ「ふふり。まあ姉ちゃんと同じく、内心はブルっていましたよ。でもネデュラさんの全く以て動じない姿から推測し、惑星を転送装置で飛ばせばと回帰できた訳で。」
ミスターT「やはりお前さんの考えは姉を超越しているわ。」
ナツミA「本当ですよ。」
メカドッグの調整をするミツキに感嘆の目を向けるナツミA。それに笑顔で右手親指を立てて微笑む彼女。この美丈夫は本当に凄いとしか言い様がない。
そう言えばナツミA自身はミツキとは異なり、戦術的行動力が強い方になる。対してミツキは戦略的行動力が強いと言えた。外見や気質からすれば、完全に真逆と取れる。しかし実際にはその逆なのだ。
ミツキの言動が遥か先を見越したものに見えるのは、これが淵源とも言えるだろう。姉すら感嘆とさせるぐらいの力強さである。本当に素晴らしい女傑だわ。
ミツキ「全ては世上から悲惨と不幸を根絶させる戦いです。そのために現れたのが、あの惑星だと確信しています。まあぶっちゃけ、この一件が終わっても変わらないでしょうけど。」
ミスターT「そうだな。まあ良い教訓の1つにはなるだろうな。だからエリシェ達はギリギリまで追い詰めている感じだが。」
ミツキ「エリシェちゃんも見事なサドわぅ。」
ナツミA「追い込んで覚醒させる感じよねぇ。」
嫌味に聞こえる揶揄ではあるが、エリシェ達が実演しているそれは特効薬になるだろう。それだけ俺達が持っている力が現状打開の最善の策となる。今の人類には為す術がないしな。
カラセア「・・・何時もこの様な調子なのですか。」
ミスターT「ん? ミツキとナツミAの事か。ナツミAは真面目解釈のツッコミだが、ミツキは毎度ながらずっとボケてばかりいる。それで周りを鼓舞し激励しているのだから、不思議としか思えないわ。」
ナセリス「皆様方の強さの淵源は、この一念にあるのですね。」
一服しながら姉妹でメカドッグ試作機を調整する姿を見守る。その2人の生き様に、改めて感嘆しているカラセアとナセリス。今は本当の力を出せずにいるため、姉妹の真の力を目の当たりにしている感じか。それでも2人はやり手の警護者ではあるが。
ミスターT「・・・この姉妹になら、俺は生命を捧げてもいい。今の世上には燦然と輝く太陽の如く光り輝いている。」
ナセリス「心から同調致します。強さの次元を通り越していますし。それが当たり前だという事に、恐怖を通り越した安心感を感じずにはいられません。」
カラセア「皆様方が仰っていましたね。凡夫としての境涯で、何処まで人として開花できるかと。言うは簡単・行うは難し、正にそう思います。」
長年最前線で戦ってきただけに、ナツミツキ姉妹の真の実力を痛感している2人。姉妹の気質は人としての当たり前の生き様を示せる点だ。形作ったものではなく、人間が元来から持っている力を最大限発揮しているとも言い切れる。これはなかなかできるものではない。
ミスターT「まあ世界中にも姉妹の様な気質と一念を持つ強者は数多くいる。ただ今回の流れは偶々俺達に至っただけよ。それに、これは人類総意が既に持っている概念だ。」
ナセリス「本当にそう思います。先輩方や皆様方を見れば、それを遺憾なく発揮できているのを痛感していますので。」
ミスターT「もっと頑張らねば張り合いがないわ。」
一服しながら思う。世界には俺達以上に肝っ玉が据わった人物達が数多い。その方々の名代で動いている感じにもなるだろう。人間はまだまだ捨てたものじゃない。
しかしまあ、本当に空を見上げれば接近中の惑星を見れる。その一撃は地球を破壊するには十分過ぎるほどの力を有している。もしこれで4大宇宙種族の力がなければ、数日後には地球は終焉を迎えているだろう。
こうしてみると、俺も人間の1人なのだと痛感せざろう得ない。地球自体が規格外の巨大惑星なため、こうした災厄は為す術がないのだから。漠然と目の前に迫る災厄を受け入れるしかないのだろうな。
本当に4大宇宙種族の面々には頭が下がる。彼らには大きな借りができてしまったわな。これを返すには地球人が彼らを受け入れ、心からの共生の道を歩む以外にない。
第7話・4へ続く。




