第5話 市街地の共闘4(通常版)
更新送れてしまいましたm(_ _)m 疲れによるグロッキーは参りますにゃ><;
「・・・結局は己自身と対峙しているに過ぎない、か。」
「目の前の相手は己心の魔の具現化ですよ。それが分かれば後は簡単、撚り潰すだけと。」
ナツミAに負けず劣らずの力を披露するミツキ。力の出し加減の触り戦法を駆使し、相手に格闘術を放つ姿が怖ろし過ぎる。機械兵士の腕を簡単に圧し折り、人間兵士に正拳突きを放ち気絶させる。その繰り出される技のどれもは、相手の力を逆利用したカウンター技なのだ。彼女自身は最大限の力を出し切っていないのだから。
「まだまだ修行が足らぬな、パダワン達よ。」
「本当にそう思うわ。全て終わったら基礎からやり直すかね。」
「ワンコを学ばねば、強くはなれないのだよ。」
「毎度ながらだけど、ワンコを学んでどうするのよ?」
「モモフ・モフ・モモフわぅ!」
「はぁ、デデン・デン・デデンな訳ね。」
「アイル・ビー・バックわぅぜぇー! ヒャッハー!」
何時になく暴走気味のミツキだが、それに伴うのか行動のどれもがエラい切れ味を醸し出している。力の出し加減の触り戦法も相まって、正に怒れる獅子そのものだ。気迫自体もライオンなどの百獣の王たる威圧感を出しているため、明確な意思がない人間兵士は見事に怖じて逃げ惑う始末である。機械兵士だけが順応的に攻撃を繰り広げるだけだ。
「・・・ミツキ様の様相はさておき、人工生命体には私達の気迫が特効薬のようですね。」
「本当だわ。完全に戦意喪失で逃げ惑っているだけだしな。」
「結局は機械兵器しか役立たないという結果が出ています。それなのにバカ父達は何故人工生命体を出したのか理解に苦しみますよ。」
「大凡は代役を兼ねた計画なのでしょう。ご自身達が偽物故に、本物に成り切ろうとしているのと同じです。ヘシュナ様の語句を用いれば愚の骨頂ですけど。」
「生命体を馬鹿にしている行為そのものですよ。」
銃槍で機械兵士を殴るや突き刺すを繰り返すヘシュナ。マデュースシールドを遥かに超える超重量火器兵器を意図も簡単に操る姿は脅威そのものである。そして確信が掴めたが、彼女は既に弱者の位置を超越している事だ。
「もう誰からもお前を弱者などとは呼ばせんよ。戦闘力は俺達警護者と互角だ。」
「本当ですよ。今までは修行を繰り返すも、力が得られなかったと仰っていました。恐らくマスターの念波に当てられ、最後の一手が開花した感じでしょうね。」
「まだまだ、これからですよ。皆様方を守るには今以上の力を得ていかねば。」
「うむぬ、それでこそ我が弟子わぅ。」
徐々に自信を付け出しているヘシュナだが、敵の猛攻に一気に劣勢に陥っていく。そこに駆け付けるはミツキとナツミA。恒例の力の出し加減の触り戦法を使い、相手を一撃の元に倒していくのだ。しかし徐々に数が多くなり出しているからか、姉妹しても押され気味だ。
こちらも加勢しようとすると、突如飛び出していく複数の面々。喫茶店内部から出現し、今正に苦戦中のヘシュナ・ミツキ・ナツミAを守りだしたのだ。連れ帰った後も今までずっと黙りを続けていた、あの4人の人工生命体である。自身の身体が傷付こうが、目の前の3人を厳守しだしている。
「あら、不意の来訪者とは。」
「おー、目覚めた感じわぅか。」
「この様相だと自我があると思うわね。」
「何らかの切っ掛けで開花した感じでしょうか。」
自身の身体がドンドン傷付いているにも関わらず、俺達も含めて全員を守りだしている。その思考がどの様なものかは不明だが、確実に分かるのは味方だという事だろう。そんな彼女達を守らねば警護者としての名が廃る。自然と4人を守る戦いに転じだしたのは言うまでもない。
「うーん、動いてはいるけど意識が希薄よね。」
「名前がないからわぅ! う~む・・・ぬぅ~ん・・・。」
「ヴィエルディア・デストロイア・フィルラウローム・ディヴォルガル、はどうだ?」
「おういえい! 即興で思い浮かぶとは、お主もやりおるわぅ♪」
「もうかなり前からだが、小説などのネタを考えるのがクセでね。その中の敵対者側の四天王の名前だ。破壊の女傑の4人のね。」
俺が4つの名前を発した途端、その4人から凄まじい覇気が放たれ出した。間隔空けずに俺の近くに近付き跪き出す。それに周りは驚いている。
「ありがとうございます。漸く人工生命体の枷から脱する事ができました。」
「どういった因果は不明ですが、私達が覚醒する切っ掛けが命名だったようで。」
「貴方様からお名前を頂戴して、本来の私達に至る事ができました。」
「本当に感謝しています。」
開いた口が塞がらないとはこの事だろうか。今までウンともスンとも言わなかった4人が、まるで女傑のような様相で語り出しているのだ。とても人工生命体とは思えない姿である。しかしそこに込められた一念、4人の意思と決意は凄まじく強い。つまりそれが本気の言葉である証拠だ。
「畏まらないでくれ。お前達は列記とした生命体の個々人だ。俺達と何ら変わらない。だからお前達はお前達の生き様を貫いてくれ。それが俺の心からの願いだよ。」
「了解致しました。私達は私達ができる生き様を貫いて参ります。」
「はぁ・・・奇跡と言うのは起きるものよね。」
「奇跡ってのは、自分の手で起こすものわぅ!」
「ハハッ、本当よね。」
完全に目覚めた4人に襲い掛かる機械兵士や人間兵士。しかし次の瞬間、その攻撃群を全て受け止めカウンター返しをしていくではないか。しかも先程までの一方的に傷付く流れでは全くない。姉妹や周りの女性陣とはいかないが、力の出し加減の触り戦法を使っているのだ。
「・・・生命とは摩訶不思議だわな。」
「だからこそ、生きるとは楽しいとなる訳で。」
「紆余曲折は人間・・・強いては生命体全てに舞い降りる感じですし。その荒波の中を掻い潜り進むからこそ意味があると。」
「まあ何だ、四の五の考えずに今は暴れるかね。」
「暴れてやれわぅー!」
先行して大暴れしている4人に追随するミツキ。そして師匠には負けられないという感じで、ティエラとエシェムLも追随していた。今では2人の師匠はナツミツキ姉妹である。と言うか2人の場合は既に警護者の理を持っていたから、ここまで開花できたのだろう。些細な事で開花する人の様相を垣間見た感じだわ。
その後も戦闘と言う名の試合は続く。ちなみに各種のペンダント効果は、3大宇宙種族の技術力の結晶とも言える。更に言えば、彼らの理がそこに凝縮されているのだ。つまり自身の一念の力次第では大いに化けるという事である。
強化法と念波を受けた面々は、ペンダント効果を最大限に活用できるに至っていた。仕舞いには武器を使わず肉弾戦で機械兵士や人間兵士を叩き伏せだした。以前は黒服連中を近場の駐車場で戦った時が記憶に新しい。完全にプロレス集団そのものである。
更に気付いたのは、強化法と念波を受けた面々の波動が他の面々にも影響を及ぼす事だ。共闘するトラガンの女性陣や躯屡聖堕メンバーの面々は、俺達の覇気に当てられて強くなっているのである。これはスミエ流で言えば、生命力同士の触発を受けての覚醒と言えるだろう。
確かにミツキが危惧していた、人としての領域を超えた存在に至る事。しかし実際には生命自体を本当の道に進ませる事により、心身一体の無駄のない動きが可能になったのだろうな。そして今も俺達は凡夫の域を出ていない。各々の苦悩を抱えつつ、それぞれの生き様を貫いているのだから。
「・・・感無量だわ。」
「敵にすら感謝の一念を出す、よね。私達が己を見失わないでいられるのは、彼らあってのものだろうし。」
「私はこの道に進んで、本当に良かったと痛感しています。」
肉弾戦では1・2位を争うぐらいの強者である両者。シュームもナツミYUも獲物で戦うよりは、体術を駆使した戦いの方が真骨頂と言えた。俺は今もトリプルマデュースシールドで大盾役を担っており、それぞれの女性陣を守りながら動いている。
「全部終わったら、お前さん達の膝枕を借りるとするわ。」
「例の睡眠の概念を欠落させる効果でしたね。私で良ければ完全に目覚めるまで、ずっとお付き合いしますよ。」
「私が言うのも何だけど、ナツミYUの膝枕は超特効薬になるからねぇ。まあここは私達で順番に面倒を見るわね。他にもやりたいという面々もいるし。」
彼女の言葉を聞いた他の女性陣の瞳が妖しく輝く。ここに集っている女性陣の殆どが、俺に好意を抱いてくれているのは痛感している。もし彼女達が良いのなら、その癒しの恩恵に与るしかない。何度も言うが、女性は本当に偉大だわ。
「むしろ性転換状態で就寝も有りわぅね!」
「はぁ・・・これ以上俺を女体化させてどうするんだ・・・。」
「そうすれば、補佐に回った女性群は全員もれなくパワーアップするわぅよ?」
「あー、確かにねぇ。ミスT状態の君に触れると、私達の女性としての力がより一層磨きが掛かってくるし。」
過去にも実例があった。俺がミスTへと変身している際に関わった女性陣は、例外漏れず女性力に磨きが掛かっていった。しかも時間が経てば経つほど、怖ろしいまでに女性へと変化していくのだ。これも性転換ペンダント効果によるものなのだろう。
「お前さん達がそれを望むなら、俺は何でもしていこうと思う。」
「ありゃ、何か前向きな感じわぅ。しかも“さん”付け敬語も入っているわぅし。」
「元来からはそんな感じなんだがね。何処でどう曲がったのか分からんが。」
この場合は自分自身を形作っていたとも言えるのだろう。確かに昔は敬語を使うのが日常的な感じだった。何時の頃からか今の言動になったのだが。
「今は目の前の課題を1つずつ攻略して行こうかね。その積み重ねが生き様の集大成となっていくしな。」
「何も難しく考える事などないのですよ。全て自然体で良いと思います。その繰り返しが人生となっていきますし。まあ人生と生き様は表裏一体ですが。」
「言うは簡単・行うは難し、だわな。」
ミツキ流で言えば、楽観主義で突き進む、だろう。ただ実際にそれを実行するとなると、意外なほど難しいものである。それを地で行えるミツキは、本当に素晴らしい女傑だわな。姉のナツミAも同じ気質だが、やはりミツキの方が一枚上手である。
「まあ何だ、後は暴れ続けるだけだわ。」
「ウッシッシッ♪ 茶菓子を追い求めるワンコは、永遠にローリングクレイジーを繰り返すのだよ。」
「ポチの場合は素で動いている感じだけどね。」
「ワンコの世界は奥が深いのさベイビー。」
「はぁ・・そうですか・・・。」
相変わらずのボケとツッコミを繰り返すも、より一層切れ味がある格闘術を展開する姉妹。十八番の力の出し加減の触り戦法が真価を発揮するのは、こういった肉弾戦に他ならない。つまり獲物を使う時より、自身だけの力で戦う時が真骨頂と言えた。正に無双である。
しかし今回は相手側が一向に尽きる気配がない。またそれぞれが動きながら暴れ続けているため、何時の間にか商店街の方へと進み出ていた。一応エリシェを介して、地元周辺は言わば暴風域に至るとは告げてある。更にミュセナの配慮でバリアとシールドを展開している。
何度も言うが、相手は本当に損な行動をし続けるわ。俺達は戦えば戦うほど団結力と結束力が強まっていくというのにな。そこに多岐多様の獲物を投入するため、良い検証実験の場ともなっている。ナツミツキ四天王の真骨頂の場とも言えた。
国外からの横槍を懸念して、各種ガンシップを展開はした。だが結局はこうした肉弾戦の戦いに集約されていく。直接対決した方が白黒ハッキリ着けるのに、相手は姑息なまでの戦略を巡らせている。本当に愚か極まりないわ。
それでも今の俺達は、それぞれにできる事をし続けるまでだ。その繰り返しが世上の安寧を勝ち取る事に帰結していく。果てしない闘争の連続だが、こんな俺が役に立つのなら嬉しい限りである。
第5話・5へ続く。




