第4話 人工生命体2(キャラ名版)
シューム(この能力って、カルダオス一族全員に備わるものなの?)
ヘシュナ(恐らくそうだと思います。ただ皆様は戦闘力の方が特化されているので、特殊能力の方は私が一番強いと思われますが。)
ヘシュア(姉様の能力は一族で最強ですから。姉様でしか出せない力の1つかも知れないですよ。)
ミスターT(なるほどな。)
俺とシュームに繰り出した後のヘシュナの様子を見るも、それが自然的で当たり前の繰り出しのようで負担は掛かっていない。むしろ逆に影響し合うのか、以前よりもその能力が強くなっている感じがする。これは不測の事態としての有効打にするしかないか。
ヘシュナ(了解です。皆様方にこの強化法を施してみますね。)
ミスターT(はぁ・・・直ぐに読まれるのがな・・・。)
シューム(以前よりも増して読み易くなってるわよ。それにヘシュナちゃん自身にも相互作用があるみたいだし。ここは君が言う様に不測の事態を想定し、私達全員に施すのも戦略の1つになるわね。)
ヘシュア(私もトライしてみますよ。もし有効なら姉様にだけ負担は掛かりませんし。)
ヘシュナ(ありがとう。)
何だか凄い事になりそうな気がしてきたわ。代謝促進能力に身体再生能力の超強化か。運動性や思考力などの力も上がるのだ。生物自体の潜在能力を極限にまで高めるようである。
ミツキ(でも副作用とかないわぅかね?)
ナツミA(あるとすれば人間生命体を超えた形になるかも知れないわね。)
ミツキ(うぬぅ・・・わたは凡夫のままが良いわぅよ。)
ミスターT(ハッハッハッ! 凡夫のままが良いか、それも一理あるわな。)
ミツキの素朴な疑問に悪いと思いながらも笑ってしまった。確かにこの超強化により人知を超えた状態になれば、それは人間ではなくなるという事になりかねない。強いては凡夫でもなくなるのだ。それも一理あると思う。
ミスターT(恐らくこの場合は人間生命体自体の代謝促進だけだろう。凡夫の境涯自体は消える訳ではないだろうし、全く問題ないと思うわ。)
ミツキ(うーむ、身体自体の強化に留まるわぅか。それだけなら安心するわぅけど。)
ミュティナ(それを言うなら、お兄様の性転換を繰り返した事にも当てはまりますよ。人知を超えた様相になりますし。この場合は別物だとは思います。)
ミュセナ(生命体・・・この場合は身体・筐体かな、そこへの強化になる訳よね。生命自体への影響はないと思うし。故にミツキ様が仰った凡夫への影響などは皆無だと思います。)
ミスターT(生命哲学の理、か。生命自体は奥が深いわ。)
ミツキが危惧するそれは、自身が人間を超えた形になるという部分だろう。しかしそれは身体自体に影響するものであり、生命自体に影響を及ぼすものではないと思われる。実際に身体を操るのは精神であり生命になるため、そこまでは超強化には至らないと思う。
ヘシュナ(ミツキ様の凄さをより一層痛感しました。ミツキ様はあくまでも、生粋の人間としての生き様を刻まれたいのですね。)
ミツキ(この身体で生を受けた自体、そのままで寿命を全うしたいものです。ただし、その拘りで不測の事態を招くのも利口ではないですし。そこまで愚かではありませんよ。)
ミスターT(ミツキの概念は、あくまで人としての存在で有り続けたいというものだな。それは俺も同じだが、力があるのに使わないのは時として不幸を招く事にもなる。俺は一時的な戦闘力の強化なら良いと思うよ。)
ミツキ(そうですね。)
ヘシュナが言う様に、ミツキの純真さを痛感させられた。見事としか言い様がない。そこに彼女の強さも垣間見た感じである。
彼女はこの代謝促進能力と身体再生能力を嫌っている訳ではなかった。一時的に人としての当たり前の部分から遠退くため、その有難みを忘れる事への危惧なのだ。それは間違いなく、人としての当たり前の概念になる。
何処までも人として有り続けようとするミツキの姿勢には、人間の真の極意を垣間見た感じになる。それは即ち、己が凡夫のまま切磋琢磨するという部分に帰結する。
スミエ(人の域から超えるも、凡夫の域からは超えず。矛盾している感じですが、実は表裏一体な感じなのでしょうね。要は常にその人として有り続けようとする姿が重要でしょう。)
ミツキ(スミエさんはそれを常に心得て進まれています。私も私なりにその生き様が刻めていければと思っていますが、難しいものですよね。)
スミエ(確かに。ただ実は非常に簡単だと思いますよ。先も挙げましたが、そこに帰結する事が一番重要だと思います。その生き様を純粋なまでに貫いているのが、シルフィア様だと思いますので。)
ドクターT(師匠、買い被りですよ。)
そうか、ミツキが目指している部分はシルフィアに帰結するのか。確かに恩師は人として有り続けると同時に、それ以上の力を持っている。そしてそれに決して溺れる事なく、己を絶対に見失わないのだ。ミツキ自身が逸脱した存在だと思っていたが、その淵源はシルフィアにあった訳だな。
ミスターT(シルフィア・ミツキ・ナツミA、本当にクリソツな姉妹だわ。)
ナツミA(それぞれの個性を維持しつつ、目指す概念は同じと。私はTさんみたいに、力があるなら有効活用するクチですからね。ポチはそこに必要か不必要かを問い掛ける。重要な事の1つですよ。)
ドクターT(個々人の個性があってこその人だからね。ミツキさんが問い掛けていた部分は、非常に重要な一念と概念。でもヘシュナさんから得られる力の様相は、人を人で無くしてしまうものではないのも確かよ。それに連中の思想は地球はおろか宇宙にまで向けられている。それらを阻止するための力になる訳だし。)
ミツキ(何だか簡単な事で悩んでいたみたいです。)
ミスターT(いや、それがミツキだと思う。その部分が欠落したら、力に溺れる愚者に成り下がる。その一念を持ちつつ、力を最大限活用する。ここにこそ人としての力があると思う。)
人としての力、凡夫としての力。両者とも全く同じ位置付けだが、それでも理のレベルからすれば異なってくる。そしてその概念こそが、人を人にさせ続けるものになるのだろう。
ミスターT(最大の敵は己自身、だな。)
スミエ(そうですね。外的要因など嵐の前のロウソクそのもの。しかし内的要因は真逆に至ります。一歩間違えば堕落するのは言うまでもありません。)
ドクターT(だからこそ、戒めてくれる存在が必要不可欠になると。T君が常日頃から心懸けている部分が、皮肉にも今のミツキさんに特効薬になる訳よね。)
ナツミA(正に持ちつ持たれつ投げ飛ばす、と。)
ミスターT(本当だわな。)
何だかおかしな感じだわ。ミツキの生き様が俺達を鼓舞しているかの様に思えたら、実はその逆の場合もあったというのだから。まさかミツキ自身を支える側になれるとは驚きだわ。まだまだ俺の存在も無駄ではないわな。
ミツキ(了解です。今後は一切の不安は抱きません。ヘシュナさんからの強化法を試みてみます。)
ドクターT(そう、それでいいのよ。我武者羅に突き進め、これが意外な解決策。)
ミスターT(と言うか、お前さん達がこの強化法を受けた先が全く以て読めないんだが・・・。)
俺の言葉に周りがウンウン頷く姿が浮かんでくる。もしヘシュナの強化法が素体となる人物の戦闘力の底上げなら、ミツキやナツミAなどには超絶的に影響を及ぼすだろう。特に十八番の力の出し加減の触りが顕著だ。万能戦闘戦術がより一層開花する感じになると推測できる。
ドクターT(私も粗方落ち着いたら、その強化法を試してみたいわね。力があれば活用してこその様相だし。)
ヘシュナ(お任せを。ただどのタイミングで合流するかが悩み所ですけど。)
ミツキ(マッサージサービスを開業するわぅか?!)
ナツミA(ハハッ、そうね。漸く元のポチに戻ったわね。)
ミツキ(わたに死角は皆無わぅ!)
確かに彼女には死角は皆無だろう。ただし、凡夫故にその胸中に若干の不安や恐怖がある。それらを確認する事になった形だな。かく言う俺も全く同じである。しかし原点は据わっているため、上辺の右往左往止まりにはなるが。
ミツキを通して思い知らされた。人としての当たり前の流れが、どれだけ大切で幸せであるかという部分に。これは風邪引きなどにも当てはまる。健康な状態から不調に至って、改めて健康の有難みを痛感するのと同じだ。ヘシュナの強化法は同じ感じにもなる。
ただこの場合は受けるか受けないかで雲泥の差になる。今後は相手がどんな力を駆使して来るか全く以て不明だ。ありとあらゆる不測の事態を想定し、それらに対応していかねば非常に厳しい展開になる。
ここはヘシュナ直伝となる強化法を受けておいた方が良さそうだ。それにより不測の事態を防ぐないし軽減する事ができる。それだけ凄まじい力の1つなのだから。
第4話・3へ続く。




