第3話 策士と愚者4(キャラ名版)
その後の流れは予想が付く展開だった。あのバカ父達は人類を超越する力を振りかざし、日本に戒厳令を引いたのだ。これには大反発する住民の方々、そして政府などである。しかし戦闘力が逸脱しているため反論ができずにいる。
これが連中の24時間以内と言った流れだろう。日本自体を人質に取り、こちらへの提携を促す段取りだ。いや、完全服従を狙ってくるだろう。娘達の生命か、日本全国民の生命か。これには再び激昂するヘシュナだが、今度はミュティナに見事に抑えられた。当然ミュティナの方もその怒りは重々承知である。
この流れに各国からも批難が相次ぐが、連中が持つ力の誘惑に負けた愚者どもは加担しだす愚行に出た。まあこれも予測していたものだから問題はない。むしろアレだ、これで炙り出しができるなら好都合である。
ミュセナとルビナがモラルの問題で見送っていた究極の一手、相手の心情すらも透写する超絶的な力を持ち出した。ミツキ曰く、キュリー夫人ビームだとの事。まあ放射線を含まない超精密度のレントゲンである。それで相手の心情まで読めるのは驚異的だが。
まあ今は四の五の言ってられない。下手をすれば日本以上に世界が危うくなる。それだけ力を持ち過ぎた者は全てを壊しかねない。あのバカ父達なら十分可能性は高い。
エリシェ(・・・本当に大丈夫ですかね。)
デュリシラ(大丈夫ですよ。殆ど予測できるものですし。)
今は日本の東京湾にいる。レプリカヴァルキュリアを着水させ、桟橋で動向を見守った。今回もデュリシラやミツキ達のシナリオを展開する事にしたのだ。
流れはこうだ。エリシェ・ラフィナ・ミュティナを解放する形にし、大企業連合・躯屡聖堕フリーランス・トライアングルガンナー・警護者軍団を解放した。これにより、独立部隊が再構築できた形になる。それに即座に救援要請を送ってきたのが日本政府だ。今までは表向きには協力ができなかったが、裏では絶大な信頼を寄せてくれていたようである。
そこで大々的に日本政府首脳と謁見する流れを構築した。先の彼女達を拉致する流れと殆ど同じ展開だが、今度は全く異なる流れである。
ミスターT(ご足労申し訳ないです。)
ドクターT(構わないわ。)
そう、メタモルフォーゼの力を最大限活用したのだ。性転換ペンダント効果で男女入れ替えは容易だが、他の応用になると他者の姿を描写できるようになる。俺自身はミスターT本人に戻り、ドクターTを恩師シルフィアに演じて貰う形を取った。
ラフィナ(予測ですが、これで恐らくマスターが狙撃か何かの妨害工作を受ける筈です。あの愚者達にはミスターT様ご自身の力はエリシェ様側に寄る、つまり自分達とは敵対になると。)
エリシェ(まだドクターTに加担した方が有利になりますからね。この場合だとこの謁見自体を阻止に来るでしょうし。)
ドクターT(君も危ない橋を渡るものよね。)
ミスターT(あのカス共は地球すらも糧として使おうとしている。そいつらを阻止できるなら、危険だろうが喜んで進みますよ。)
デュリシラ(それにシルフィア様・・・いえ、ドクターシルフィア様には敵の内部に侵入して頂く形になりますし。あの阿呆共と行動を共にして頂き、チャンスを窺って反転攻勢に出る流れにします。)
俺自身が複数いなければ実現できない戦略である。ここも3大宇宙種族のテクノロジーを駆使する形になるが、恩師なら潜入捜査は全く以て問題ない。俺の潜入捜査の受け売りは彼女が基礎になるからな。
シューム(でもさ、こんな簡単な形で燻り出せるものかしら。)
ナツミYU(先輩も察知した、あの愚者どもの流れからして確実に来ますよ。先輩ほどの実力はないにせよ、悪のニオイがプンプン臭ってきますし。)
デュリシラ(一歩間違えばとんでもない事に至る、と。)
どの面々も神妙な面持ちでいる。確かに今回は完全に規模が異なる。連中はほぼ日本を火の海にする事が可能な戦闘力を持っている。核兵器自体は3大宇宙種族の力で完全無力化にはできるが、既存兵器郡だけでも十分な殺傷能力もある。
ミスターT(ミツキとナツミAは引き続き2人の修行を頼む。それともしかしたらバカ父達の配下が強襲してくるかも知れない。十分注意してくれ。)
ミツキ(おういえい、全く以て大丈夫わぅよ。今は宇宙空間の母船で訓練中わぅし。)
ミスターT(・・・は?)
ヘシュナ(私の発案です。)
先の事変から現女王たるヘシュアに匹敵する風格を出しているヘシュナ。その彼女が修業中のティエラとエシェムLを含む、ナツミツキ姉妹とトラガンの女性陣は宇宙空間の母船にいるというのだ。それに我が耳を疑った。
ヘシュア(姉様からの依頼で、該当する皆様方を一時的に宇宙に上げています。相手がガードラント一族故に、転送装置の類いを使ってくると踏んだためですよ。)
ヘシュナ(ええ。まあミュセナ様とルビナ様にヘシュアが考案した、新しい技術力には敵わないとは思いますけど。)
ヘシュア(この領域まで突っ込んでくるなら、マジで撚り潰したいものですわ。)
ヘシュナ(本当よね。)
単人なら淑女そのものの言動なのだが、この姉妹が揃うとまるで身内の女性陣のような口調になるのが魅力と言うか何と言うか。ミュセナ達やルビナ達ですらこうもザックバランには至る事はない。それだけお互いを信頼し切っている証拠だわな。
ヘシュア(ともあれ、こちらの事は一切合切お任せを。今はあの小僧どもを撚り潰しましょうや。)
ミスターT(そ・・そうだな。)
ミツキ(ふふり、流石のTちゃんもヘシュアちゃんの野郎魂には敵わないわぅね!)
ナツミA(気質的にこの姉妹は男性に近いからね。シュームさんやナツミYUさんが実に顕著かと。デュリシラさんはミュセナさんと同じ気質に近いですが。)
ミスターT(はぁ・・・また性転換で女性の理を学び直したいわ・・・。)
念話を通して方々から女性を甘く見るなという一念が飛んでくる。強さの次元ではない、全てにおいて完璧なのだ。しかし態と未完成のように見せている部分に強さを垣間見る事ができる。まあ俺なりの解釈だが。結論は女性は偉大だという事だわ。
ドクターT(T君のその心構えなら、今後も十分問題ないわね。ただ油断すると首が飛ぶと思いなさいな。)
ミツキ(お前はクビわぅ!)
ナツミA(そのクビは絶対に違う。)
ミツキ(Tちゃんは男性心からクビわぅ!)
ナツミA(あー、それは一理あるわね。)
ミスターT(勘弁してくれ・・・。)
どんな状況でもボケとツッコミが炸裂するナツミツキ姉妹。それに周りは笑い合い和むのだ。緊張感が漂う現状なだけに、姉妹の癒しの一撃は本当に助かるわ。まあネタにされるのは毎度ながら俺であるが・・・何とも。
念話による雑談をしていると、そこに現れる重武装された面々。日本政府は首脳陣の代理の面々だ。一同と合流して現地に向かう流れとなる。さて・・・どうなるか。
ウインド「・・・守備に回りつつ迎撃を!」
・・・ふと意識が戻る。身体を動かそうにも動かない状況だった。良く見ると右腕と右肩に弾丸が撃ち込まれている。それを窺うとかなりの痛みが走り出した。どうやら射撃された後に一時的に気を失った感じだろう。
ミスターT「・・・予想通りの展開だわな。」
ビアリナ「だ・・大丈夫で?」
ミスターT「まあ何とか・・・。これらも全てシナリオ通りだろうに。」
俺の言葉に周りの面々はニヤリと不気味に笑みを浮かべていた。そう、態とバリアとシールドを解いた作戦に出たのだ。ただ致死に至らない箇所のみの開放だが。
過去にミツキが激昂軍服男の銃弾を人工腕部で止めた事があった。あの時のように自身のバリアとシールドを態と解除。実力で防ぐ形を見せつけたのだ。しかし今回は俺自身が倒れる姿を見せなければ意味がないと言ってきた。バカ父達を安堵させる流れを取るというものだ。その結果がこれである。
ウインド「重役は直ぐに緊急避難を。相手の出方が完全に読めません、油断なきように。」
ミスターT「・・・俺が倒れたのはしっかり伝えられているか?」
エリシェ「全く以て問題ありません。今もライブ中継でこの様相を全国に放映していますよ。」
ミスターT「本当に策士だわな・・・。」
起き上がろうとしたが、今は倒れている姿を相手に見せろとの事。致死ではないが、実際の負傷なためエラい痛みが伴ってくる。まあそれは即ち相手にも強烈な一撃を放っている証拠になるだろう。
ミスターT「・・・恩師、後は頼みます。」
ドクターT「委細承知。向こうで徹底的に暴れてやるわ。任せて頂戴な。」
ミスターT「ハハッ・・・流石です。」
再び意識が遠退きだしたのを気付いたビアリナが、鎮静剤と麻酔薬を駆使して意識を失わせる作戦に出だした。これは結構効果がデカいようで、言わば相手に死亡したと思わせるものになるという。上手くいくのかと疑問に思うが、今は彼らの腕を信じ切るしかない。
エラい騒ぎの現状を一同に任せ、静かに瞳を閉じた。その後、直ぐに意識を失っていく。さて・・・どうなるか、今は休むしかないわな・・・。
第3話・5へ続く。




