表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第3部・帰結の旅路
251/544

第2話 戦艦と戦闘艦1(通常版)

 護衛対象のティエラとエシェムLの守りは、身内のレディース軍団に任せる事にした。同性故に色々と相談に応じれる部分が多々ある。特にトライアングルガンナーの女性陣は我が事の様に思ったのか、親身になって応じてくれていた。


 確かにトラガンの女性陣の大多数は、男性に虐待ないしそれ相応の酷い目に遭った面々が数多い。人の痛みを誰よりも知っているため、周りに困った人物がいれば手を差し伸べるのは定石だろう。今では彼女達の絶対不動の信念と執念である。


 あの時、潜入捜査まで行う事を決断したエリシェには脱帽だ。こういった流れを予測しての一手だったに違いない。まあ当時はそれを思わずとも、今の結果がこれなのだ。先見性があるとしか言い様がないわな。


 ともあれ、今は2人を守りつつ次なる流れを注視するしかない。悪い方に進まねば良いのだがな・・・。




(はぁ・・・同型艦計画ねぇ。)


 ウインドとダークHと行動をしだしてから数週間後。エリシェから緊急の連絡が入った。不穏な動きを予測し、ガンシップの量産を決定したのだという。しかも凄い事が分かった。どうやらレプリカ大和とレプリカ伊400をコピー化させるというのだ。


(私達が短期間で超弩級戦艦を建造できたのは、転送装置を汎用化したもので。)

(こればかりは私達も考えもしませんでした。物質を一度分子や原子レベルにまで分解し、それを再構築するのが転送装置の要因です。その情報を複製する事で殆ど同型の代物の創生が可能と。)

(それ、物質的に何か異常とか来たさないのか?)

(PCの世界の応用を生かしています。ほら、ゼロ・イチのPC標準語ですよ。)

(一言付け加えるだけで、別データになるアレわぅね。)


 転送装置の理は何度か伺っていたが、まさかそれを発展させて複製品を創生するのには驚愕するしかない。


 SFの世界、某映画“宇宙船の旅路”が顕著か。転送装置は送る物質を分子や原子レベルに分解し、送った先で再構築するシステムである。某ゲーム“戦車で大暴れ”でもそのシステムがあるが、どちらも今の人類が実際に実現するのは不可能である。


 しかしギガンテス一族・ドラゴンハート一族・カルダオス一族は得ている技術力の1つだ。そこに改修を加えたのがエリシェとラフィナである。しかもそれは非常にシンプルな応用であった。


 PCの世界では全く同じファイル名は存在できない。データ自体は全く同じでも、ファイル名自体は同じにはできないのだ。対処法としては、語末に一言加える事により別名として存在させる事だろう。現物では“ハリアーⅡ”か“ハリアーⅡ改”かの差である。


 実際には転送装置で分解し、送る側の膨大なデータを複製。それを複数に分けて再構築する流れだというのだ。確かにそれなら全く同じ物質を意図も簡単に複製し続けられる。


(・・・まてよ、となると敵側は・・・。)

(ええ、既に実現していると思います。これだけは私達は遅れを取った形になりますね。)

(先刻の大量の無人兵器群・イージス艦群など、全てはこれで大量複製生産していたと確信できます。実際にそれを行うには転送事故の要因を考えねばならないのですが。)

(独裁主義故に諸々の細かい事故は目を瞑る、か。)


 これで全ての合点が一致した。今まで大量に襲来してきた無人兵器群は、全てこの大量複製生産を行っていた事になる。でなければ無人兵器はおろか、イージス艦や飛行兵器群を意図も簡単に製造はできない。しかもこれなら物資を必要としないのだ。ただ物理法則を完全に逸脱したものになるが・・・。


(思われた法則関連ですが、私達も実際にどういったものかまでは分かりません。この技術自体は私達が生まれる遥か前から実在していましたので。)

(なるほど。実際に鉱物資源を加工して建造するガンシップ群とは異なり、大量複製生産の場合はその元となるものがないしな。それでどうやって創生するかは、もはやSFの世界に帰結してくる。)

(ゲームのプログラミング上であれば、それらは実現可能になります。膨大な数のデータの演算のみになりますし。ただそれは仮想現実のもので、現実世界で具現化するのは不可能に近いですよ。まあそれは私達地球人の常識の範疇ですが。)

(唯一幸いなのが、クローン兵を創生しない点だけですがね。完全に倫理を超越した愚行そのものですよ。)

(だろうな。)


 兵器群は言わば物そのものになるから、こういった大量複製生産は可能であろう。しかしもしそれを生命体で行った場合、どうなるかは全く以て未知数である。デュリシラが懸念した倫理を完全に逸脱している。


(“複製鏡”で複製し続けるわぅ?)

(あー、某猫型ロボットの秘密道具の1つね。確かにその応用がこの大量複製生産だろうし。)

(・・・敵がそのミラー片手に、複製している地味な姿を想像したわ・・・。)


 その場面を思い浮かべるだけで笑いが込み上げてくる。それを念話で伝達した面々も同じく笑い出していた。ミツキが挙げた要因で複製したとしたら、実にノホホンな作業であろうな。


(ハハッ。相手にもそうしたユーモラスさがあれば、全く以て変わるのですがね。)

(本当よね。ミツキちゃんやナツミAちゃんの様な娯楽度というか、その気質が少しでもあればね。)

(それがあれば争い自体、まず起きませんよね。)

(娯楽度か・・・。)


 何処でどう間違えば、その道に進むのか教えて欲しいものだわ。しかし実際には全く知らないうちに、誤った道に進んでいる可能性も十分有り得る。だから非常に怖いのだ。


(まあ何だ、本題の部分は任せる。あまり過剰に増産するのは良くないが、敵があまりにも多くを出してくるなら用いるしかない。)

(了解しました。最低限の防備は調えておきますね。)

(ここはメカドッグ部隊を創生して、ブイブイ言わせるわぅよ!)

(へぇ・・・某ゲームのメカドッグねぇ。それ、案外良い作戦かも知れないわね。)

(善悪判断センサーを内蔵させないと、何処だろうが噛み付いて来るわな。)


 最後の最後でミツキのネタでシメられた。それに周りは笑い合うも、確かに有効な戦略の1つになるだろう。メカドッグ部隊か、ある意味怖ろしそうだわ。


 しかしまあ、転送装置の発展型手法か。しかもそれを敵側はいち早く取り入れていたと。確かに短期間で無人兵器群やイージス艦・飛行兵器群を大量生産できる筈がない。物質的に不可能である。だがこの手法を使えば短期間で超絶的な軍勢が創生できる。


 となると、何時何処で誰が技術の流出をしたのかが一番気掛かりだろう。ミュティナ達を初めて護衛した時には、既に無人兵器の製造ユニットは存在していた。あれ以前から既に運用していた事になる。3大宇宙種族の技術力が絡んでいるが、当の本人達は絡んではいない。


 となれば・・・ガードラント一族か。ヘシュナ達が言うには最近出現したと言っていたが、それよりも更に前に現れて暗躍していた形になる。ただその場合は全く以て合点がいかない。ここはティエラとエシェムFの父親が絡んでいると取るのが筋か・・・。



 ちなみにレプリカ大和とレプリカ伊400の量産型の名前は、1号・2号などといった実にシンプルな呼び名にするらしい。全くの同型だとレプリカ武蔵とか合いそうだが、あえて同じ艦体に名付けるという。1番艦・2番艦といった形が合うかもな。


 そもそもこれらガンシップは大戦当時のオリジナルではない。完全アレンジであり、形だけ同型であれど名前は別物になってくる。大和や伊400という名前を使わせて頂いている形になるが、この場合はそのままの流れが無難だろう。


 大戦時の各艦艇に命名した流れを踏まえると、そこに込められた一念は非常に強いものであったのだろうな。ただ軍国主義に走った軍部群は間違った道を進んでいたが。俺達もそうならないように細心の注意を払い続ければならない。


 まあ周りにこれだけ戒めてくれる存在がいるのだ。曲がった道に進もうものなら、間違いなく蹴飛ばされるだろう・・・。その部分だけは幾分か安心はできるが、何とも・・・。


    第2話・2へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ