第1話 恐怖の暴君5(キャラ名版)
ティエラとエシェムLが地元の総合学園に転校してから数日後。何やら不穏な動きが出て来だした。父親達が娘達を遠方に遠ざけたのは意味があったようである。例の技術力の関連から、海外からの横槍が多発しだしたのだ。
確かに3大宇宙種族がテクノロジーは、善悪判断センサーがあるため悪用は絶対に不可能。それを簡易的に改善したのがガードラント一族のテクノロジーだ。3大宇宙種族の力と比べると微々たるものだが、それでも地球人からすれば超絶的な力である。
先の事変などで3大宇宙種族の戦闘力や技術力を思い知らされた人類。特に一部の私利私欲に走る愚物には超特化的な効果があったようだ。このテクノロジー群はノドから手が出るほど欲しいに決まっている。そこに出たのが誰でも扱えるというガードラント一族のそれである。
俺ならこのチャンスを逃す事はしない。如何なる手段を用いてでも、それらを奪取し我が物とするだろう。そして最終目標は3大宇宙種族の母船郡だ。ただ仮に手を出せたとしても、実際にそのテクノロジーを使う事は不可能であるが。
技術力が使えない場合は使わせる事を念頭に置く筈だ。となれば、ガードラント一族の力を用いての揺さ振り。これが現段階で考えられる最大の抵抗だろう。そのための横槍だと推測ができる。
ドクターT「・・・最悪の場合、そちらはどうされるおつもりで?」
防衛省長官「こちらの事は気にしないでよい。貴殿は娘達の警護を継続してくれ。」
ガードラント王「我々も黙って屈する訳にはいかないからな。」
先を見越した展開を彼らに語った。現状ならこの読みは十中八九、必ず舞い降りてくる。しかし防衛省長官もガードラント王も、腹に何を抱えているか読み難い。それらを踏まえての最悪の場合と語ったのだが。
ドクターT「了解した。ただし、1つだけハッキリと言わせて頂く。もし自分の娘達を不幸ないし傷付けるような事に至るなら、その時は貴様等を絶対に許さん。横槍を入れる連中を駆逐する前に、冷徹無慈悲なまでに徹底的に叩き潰す。その事を忘れるな。」
恐怖の暴君を演じている限り、実質どんな威圧も辞さない覚悟だ。それを態と演じてみる。ティエラとエシェムLを不幸にするようなら、先に父親達を叩き潰すと明確に述べてみた。殺気と闘気の心殺しは得意中の得意なので、それを遺憾なく発揮する。それに恐怖に震える2人。顔を青褪めながら頷くだけしかできなかった。
現状を見れば、この2人は娘達を蔑ろにしているのは確かである。それでいて愚策に走るのであれば、もはや守る意味すらもない。総意の害に至る事だけはなって欲しくないが、敵対するのならば完膚無きまでに叩き潰すだけだ。本当に人間と言うのは業深い生き物だな。
ナツミYU(そう、分かったわ。何かあったら私達で全力で守り通すわね。)
ドクターT(すまない。)
防衛省を後にして総合学園へと戻る。移動手段は今もグローブライナーだ。その最中に念話で会話を行う。俺の言動からして、周りに盗聴されている可能性が十分ある。対して念話は例の善悪判断センサーからまず無理である。これ程優れた通信手段は他にはない。
エリシェ(仰らなくても痛烈に分かります。人間を守る必要はあるのか、と。)
ドクターT(テメェの娘すらも満足に守れないのに、新たな技術力の開発を優先だとさ。全く反吐が出るわ。)
ラフィナ(それだけその力が超絶的である何よりの証拠でしょうね。私達は警護者の概念から、その力の恩恵を後から肖りました。よって追加要素的なものにしかなりません。対して彼らの場合は万策尽きた状態で、言わば簡易的でも超絶的な力を得た。愚策に走るのは間違いないと確信します。)
ドクターT(・・・今後も暴走するかも知れないが、その時はそちらで上手くやってくれ。全ての汚れ役は全部俺が引き受ける。片っ端から暴れてやるわ。)
今の警護者が調停者や裁定者の役割を演じなければならない様に、更に誰かが汚れ役を演じておかなければならない。幸いにも恐怖の暴君によるヒール役は心得ている。今こそ俺の本領発揮といこうじゃないか。
シルフィア(T君さ、根底の絶対不動の一念がなかったら危ないわよ。)
ドクターT(百も承知。足を踏み外せば暗黒面に陥るのは目に見えている。)
ミツキ(“暗黒卿の起源”はいないわぅか?!)
ナツミA(はぁ、“ワンコのそれ”ならここにいるけど。)
ミツキ(ワンコのパワーを知れー!)
何と言うか・・・。恩師の強烈な戒めの言葉への返答を、ミツキが見事なまでにボケに転換させてきた。そしてナツミAの更なるツッコミである。ネタを知るエリシェやラフィナは爆笑している。
“暗黒卿の起源”は某宇宙戦争はエピソード3で挙がった名前である。劇中の現段階の暗黒卿たる氏の師匠に当たる存在。詳細によると寝込みを襲い殺害し、その力を得たとの事だ。
俺が挙げた暗黒面の意味合いは、暗黒卿寄りの概念になるためのネタである。それを用いてきたミツキには感嘆するが、確かに非常に危うい橋を渡っている事には変わりない。同作の光面も暗黒面も、実際に現実における善悪そのものに帰結するしな。
ただこれは全く別だが、戒めてくれる存在がいるかどうかで激変してくる。暗黒卿氏は貪欲なまでに力を欲し続けた結果がその姿だ。戒めてくれる存在は誰もいなかった。阻止した存在は“仮面の弟子”氏だろう。そして彼も死去している。
そもそも“仮面の弟子”氏が暗黒面に陥ったのは、大切な存在を守りたいと思う部分に付け込まれた形だ。母親嬢が砂漠の部族群に拉致され監禁。仮面の弟子氏が助けるも直後に死去している。遣り場のない怒りは砂漠の部族群を皆殺しにするという暴挙にも出た。
そして極め付けが妻たる“王女様”だろう。出産と同時に死去する予知夢を見た仮面の弟子氏は色々な手を尽くす。師匠たる“偉大なる師匠”氏や“兄貴分の師匠”氏にも相談するが、執着心は暗黒面の兆しだと一蹴した。そこに歩み寄ったのが暗黒卿氏である。
もっとも、暗黒卿氏は仮面の弟子氏が子供の頃から目を付けていた様子であった。長い間ずっと耐え忍び、機会を経て正義の騎士の抹殺を開始したのが終盤である。
エリシェ(凄腕の騎士さんが暗黒卿さんを追い込もうとした時、仮面の弟子さんが凄腕の騎士さんの腕を光の剣で斬り落とした。そこに電撃の追撃で凄腕の騎士さんは落下死。)
ドクターT(とんでも無い事をしたと後悔する仮面の弟子氏に、静かに歩み寄る暗黒卿氏。後は罪責の念と愛しい人を救いたいという願望に付け込み、暗黒面に堕ちたと。仮面の弟子氏のその願望は分からなくないが、自らの力で切り開こうとしなかったのかと思うわ。)
ラフィナ(まあそこは映画でフィクションなので仕方がないかと。)
振り返っていた内情をエリシェとラフィナが見事な補足をしてくれた。2人とも娯楽作品を嗜んでいるだけある。大企業連合の総帥が雑学に精通している点は見事だわ。
ドクターT(大切な存在のためなら如何なる力をも利用する、か。)
ミツキ(今のTちゃんに痛烈に当てはまるわぅね。でも戒めてくれる存在がいるから、一応安心になるわぅけど。)
ナツミA(そうね。幸か不幸かは紙一重、常に揺れ動く天秤の如く。非常に危ない感じだけど。)
ドクターT(それに決定的に違う事を挙げておく。俺は総意の顔に泥を塗る真似は絶対にしない。これは生命を賭けて断言する。これがあるかどうかで雲泥の差だわな。)
シルフィア(戒めてくれる存在に、その総意の顔に泥を塗らない。T君が絶対不動の原点回帰を持つ所以がここにあるわね。)
ドクターT(それに・・・誤った道に進もうものなら、周りが何をしてくるやら・・・。)
極め付けはこれだろうな。戒めてくれる存在があり、その総意の顔に泥を塗らないとの誓願。そして総意の強烈な一念は、間違った道に進む考えすら起こさせない。ミツキが生き様たる、持ちつ持たれつ投げ飛ばす。これが究極の抑止力だろう。
ミツキ(ロストナンバー姉ちゃんが負けた理由もこれわぅね。)
ナツミA(彼の場合は油断の一念と、相手が悪かったという事よね。)
ミツキ(無限大の再生能力を誇る不屈の漢ちゃんには敵わぬわぅよ。)
ドクターT(まあ何だ、1人か1人じゃないかの差だわな。)
本当にそう思う。ここに帰結するか否かで全く変わってくる。もし仮面の弟子氏に痛烈なまでに戒めてくれる存在がいたなら、暗黒面に陥る事はなかったかも知れない。俺にはこれ程までに戒めてくれる存在がいる。後は俺次第になるが、それがあるなら負ける事などない。
シューム(何かエラい遠回りしての帰結話よね。)
ナツミYU(マスターらしいじゃないですか。その都度這い上がって突き進む。今の世上はそれすらしない輩が多いですし。)
デュリシラ(自分の力で打開しようとしない存在と。)
ミュセナ(私達も既に持つ力に奢らず、常に精進し続けたいものです。)
今では4大母親となるシューム・ナツミYU・デュリシラ・ミュセナがそれぞれに語った。いや、殆ど戒めの一撃に近いだろう。この時ほど、守るべき者がいる存在が強いと思う事はないわな。
とにかく、今はティエラとエシェムLの安全の確保を最優先だ。父親達が何を画策しているかまでは関知しない。あの様子だと悪い予感へと進むのは間違いない。まあ俺からは何をするのでもないが、二度と信用に値する存在でなくなるのは言うまでもないが。
俺が2人の娘の立場なら、完全にグレて何をするか分かったものではない。しかしあの様子だと相当我慢している事だろう。周りがそのストレスを緩和してくれる事を願うしかない。
それからも護衛は続いた。と言うか、身内総出で2人を守り出した流れだろう。とにかく彼女達の暗さをどうにかしないと、何れ過労で倒れかねない。ここは俺より身内が一番適任となる。ご足労して頂くしかない。
俺は他方面で現状把握を行い続けた。ここは国内に精通しているウインドとダークHが適任とも取れる。2人の身辺警護と題して、世上の様相を観察させて貰った。やはり特殊技術の開発が発端となり、各国からの横槍が相次いでいるようだ。
問題はそこを逆手に取り、自分達の有利な条件を提示して提携という形を取り出している。確かに一方的に技術提供を呼び掛けられるよりはマジだが、実に姑息な事をし続けるものだ。これでは何れ要らぬ火種に発展しかねない。
そこまでして、3大宇宙種族の力が欲しいのかね。ガードラント一族の力ではたかが知れているが、ギガンテス一族・ドラゴンハート一族・カルダオス一族の力は更に超越的なものだ。その力があれば世界を我が物と可能だが、実に無粋な考えである。
過去に特殊能力に善悪判断センサーを施した先駆者達。その先見性ある目線は本当に凄いとしか言い様がない。何れこうなる事を予測していたしな。それを取り払ったのがガードラント一族となり、そこに付け入ったのが私利私欲に走る人類だ。
今はとにかく、間違った方に進まないように願うしかない。
第2話へ続く。
スターウォーズ・エピソード3などのネタが横行しています><; まあ、名前は仮名という形にしましたが@@;




