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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第3部・帰結の旅路
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第1話 恐怖の暴君4(キャラ名版)

ナツミYU「申し訳ないわね。現地でもご友人がいたでしょうに。」

ティエラ「いえ、大丈夫です。」

エシェムL「昔から転校を繰り返していたので。」


 ナツミYUが総括する総合学園に転校してきたティエラとエシェムL。俺の提言は簡単に通ってしまった。と言うか、今現在は娘の方まで手が回らない感じに思える。これでは暗い雰囲気になるのは言うまでもないわ。


ミツキ「にゃっはー! OBのミツキわぅー! よろしくわぅよ♪」

ナツミA「ミツキの姉、ナツミ=アンドウと言います。よろしくね。」

ドクターT「OBねぇ・・・。」


 喫茶店でのDJブースはサラとセラに任せ、専属護衛としてミツキとナツミAを派遣した。更にはトラガンの女性陣も担当してくれるとあり、本当に肩の荷が軽くなった思いである。やはり同性同士の方が気が合うに決まっているわ。


デュシアL「仮面はそのままなので?」

ドクターT「まだ取るには早いだろう。連中が何処で出てくるか分からない。」

ビアリナ「大丈夫だとは思いますが。」


 久方振りの再会に、身内の面々は大いに喜んでいる。それだけで非常に嬉しい限りだわ。ただ役割方、今後も恐怖の暴君のままでいなければならないが。


ミュティナ「ほほ、あの赤ちゃんがここまで大きくなられて。」

ルビナ「ですね。」

ヘシュナ「私はリュリア様ぐらいの頃に見掛けましたが、今では美女そのものですよ。」

ドクターT「まるで小母だな・・・。」


 ティエラの姿を見て、懐かしそうに昔を振り返る3大宇宙種族の筆頭格。ミュティナもルビナもヘシュナも、過去に彼女と会っていたようである。となると、ティエラの実年齢は相当高い感じがするが・・・。


ドクターT「これ、ティエラには兄弟・姉妹はいないのか?」

ミュティナ「残念ながらいません。だから父親方が躍起になっている訳ですよ。」

ルビナ「言い換えると、一人っ子は守る側も大変ですから。」

ヘシュナ「姉妹がいる有難みを本当に痛感します。先事では妹や一族に迷惑を掛けましたし。」

ドクターT「まあそう言うな。お前が矢面立って連中を引き付けねば、一網打尽にはできなかった。最後の喫茶店での決着もそうだが、全員集まってこそ連中も集まってきたしな。」


 一服しようも一服できない出で立ちなので我慢するしかない。今の雰囲気なら一服しながらの語りになるのだが。


ドクターT「・・・だからエシェムLを妹の様に見ている、か。」

ヘシュナ「十分あります。エシェムL様と一緒にいる時のティエラ様の表情、他の誰といても明るいものですし。」

ドクターT「ただ・・・何れミツキとナツミAがそこに加わるとは思うが。」


 ミツキの明るさにタジタジのティエラとエシェムL。しかしあれだけ頑なな表情だった2人が直ぐに変化しだしている。それだけミツキのコミュニケーション力は半端じゃないものだ。逆にその影響でも明るくならないのなら、本当に困りものだったかも知れない。


 俺もナツミツキ姉妹とナツミツキ四天王と会うまでは、ティエラやエシェムLの様に非常に暗い雰囲気だった。周りが口を揃えて言うのは、そこまで冷徹無慈悲な表情ができるのかという程に。それがあの6人と出会った事で激変したのだ。しかも殆ど一瞬で、である。


 何度も言うが、ミツキはもはや凡夫の域を超えているとも言える。しかし凡夫に変わりはないのだから本当に怖ろしい。いや、むしろそれが人間の当たり前の姿なのかも知れない。要は開花できるかできないか、ここに至るだろう。


 それに何もミツキだけが特別・特質的な存在ではない。人並み以上にその力を開花できるから、特別・特質的に見えるだけである。その淵源は敬い・労い・慈しみの一念だと確信している。この部分がなければ開花すら無理だろう。人としての当たり前の生き様が刻める彼女には、何度となく敬意を表したくなる。



ヘシュナ「分かります、その思い。ミツキ様の一念は、常人を遥かに超えた純粋無垢のものだと。」

ドクターT「そうだな。」

ヘシュナ「もっと早くにお会いできていれば、別の生き様を刻めていたのでしょうけど。」


 ヘシュナの雰囲気から、ミツキには脱帽の連続のようだ。彼女自身、その種族の特性から相手の深層心理を見抜く事に長けている。ここは妹のヘシュアや一族を以てしても成し得られないと豪語していた。単体での戦闘能力は最弱でも、一族の特殊能力に関しては最強なのだ。


デュシアL「出逢いの経緯はその人の星の流れとも言えますよ。お3方が根幹にある、大宇宙の理が正にそれでしょう。そもそも生命体として生まれ出る事すら奇跡に近いですし。」

ドクターT「だな。ガンジス川の砂を小指の爪で掬い、そこに乗った数が人として生まれる確率と。ガンジス川は大宇宙と捉えるから、どれだけ奇跡的か痛感する。それなのに、人として生まれながら私利私欲に走るカスには呆れ返るわ・・・。」


 現状ではこの一念が出ざろう得ない。人間として生まれる事自体が奇跡的であり、非常に幸運である。ところがその有難みに目を向けず私利私欲を貪り続ける。仕舞いには別の人間に迷惑を掛けるのだ。どれだけ罪深いかすらも理解していない。


ドクターT「・・・調停者に裁定者か。俺達にその大役が回ってきた事自体、奇跡的だろうな。」

ビアリナ「だからこそ、膝は折れない。ここに帰結してきますね。」

ドクターT「本当だわな。」


 何度も言うが、これら役割は実に烏滸がましい限りである。しかし誰かが担わなければならないのだ。それが偶々俺達であっただけの話。ならば、その大役を全力を以て担い切るしかないわな。


ドクターT「・・・恐怖の暴君を駆使して、愚者共を徹底的に駆逐してやる。汚れ役も全部俺が引き受ける。己が生き様を徹底的に演じ切ってみせるわ。」

ヘシュナ「及ばずながら、お力添え致しますよ。かつては悪役を演じた手前、貴方を補佐する事で罪滅ぼしができれば幸いですし。」

ルビナ「・・・普通、そこは呆れる所だと思いますが・・・。」


 俺の並々ならぬ決意に同調するヘシュナ。それをルビナやミュティナは呆れ顔で見ている。本来なら根詰めた一念やら度が過ぎた一念などと言われるだろう。しかしヘシュナは他の面々とは異なり、実際に悪役を長い間演じ切ってきた。だからこその同調であろう。特にそれが3大宇宙種族の1つである、カルダオス一族の王族だから凄いものだ。


ドクターT「リーダーが率先して最前線に立つ、だな。今はヘシュアに変わったが、前はお前が代表だった。役割問わず、頭が最前線で活躍してこそのものだろう。俺は諸手を挙げて賛同するわ。」

ヘシュナ「すみません、ありがとうございます。」

ミュティナ「あの小娘が・・・いえ、何でもありません・・・。」


 ヘシュナの様変わりの揶揄を恒例の小娘呼ばわりするミュティナ。しかし直後、遠方のミツキから強烈なまでの視線に曝される。それに恐怖に震えながら否定しだした。宇宙種族最強のギガンテス一族の筆頭格たるミュティナすらも、ミツキの前では赤子当然だろう。もはや生命の次元から逸脱している証拠である。


ヘシュナ「いえ、ミュティナ様やルビナ様が思われる部分が正しいです。実際に私が幼少の頃に、お2人とお会いした事が初めてでしたし。歳の取り方などは若干異なりますので。」

ドクターT「外見からして、年齢的に変わらない感じがするんだがの。」

ミュティナ「母が言うには、100万年以上異なるそうです。ヘシュナ様の成長力が速いという部分を除いたもので、こればかりは私には良く分かりません。」

ルビナ「生きるとは本当に難しいものです。」


 この宇宙種族して生命の理には謎が多いと言う雰囲気を出している。確かにこの次元だけは全宇宙しても謎としか捉えられないだろうな。だからこそ大切なのだ。この場に生まれ合わせられた奇跡自体、本当に幸運で感謝すべき事である。


 何度も回帰する先だが、それでも回帰する先があるのは実に幸運だ。それすらできないでいるのが愚者共であろう。その切っ掛けは生命哲学の理もあり、ミツキ・スタイルの生き様がそれに当たる。実に単純明快な概念なのだ。


 しかし実際に蓋を開ければ、やり手の学者すらも弱音を挙げる程の難しさである。いや、本当は簡単なのかも知れない。それが人間自体、この場合は凡夫自体か。それを取り巻く無明という概念が阻害しているのかもな。スミエの生き様を見れば、それを克服しようと努力しているのが痛感できる。シルフィアもミツキもナツミAもそうである。


 言うは簡単・行うは難し、だわ。それだけこの生き様は非常に困難を伴う。だから楽しいのかも知れない。それを素体で体現しているのがミツキである。姉のナツミAや歴戦の勇者たるスミエにシルフィアすらも感嘆とさせる存在だ。やはり女性は偉大だわ・・・。


    第1話・5へ続く。

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