第1話 恐怖の暴君1(通常版)
今年1年の読了、ありがとうございましたm(_ _)m
来年もよろしくお願い致しますU≧∞≦U
ちなみに、警護者側は1日(正確には半日?)更新が早いです><;
2回目のコミックマーケットの参加後、そこにも無人兵器群が襲来してきた。南極事変などでの黒服連中や軍服連中を捕縛した形だったが、それ以外にも存在しているという事だ。
そして今回は流れが異なるかも知れない。それは新たな宇宙種族となる、ガードラント一族の出現だ。ヘシュナ達が言うには、4大宇宙種族の中で一番弱小に当たるという。ヘシュナ自身が身内の宇宙種族の中で一番弱いとされているが、その彼女を以てしても弱いという。しかしそれが事の発端となったようだ。
ギガンテス一族・ドラゴンハート一族・カルダオス一族は、その超絶的な能力に善悪判断センサーを施す事で悪用を防いでいる。彼らが生まれる遥か前からの技術らしく、今ではその経緯を窺い知る事はできない。生命体論理にもなるため、元から存在していたとも言うのだ。
問題はそこだ。ガードラント一族は一番弱い宇宙種族からか、自ら力を開拓して今の戦闘力を持つに至ったという。後聞きで分かったが、模写力が尋常じゃないらしい。当然それは3大宇宙種族のテクノロジーすらも模写できる形になる。そう、ガードラント一族の力にはあの善悪判断センサーがないのだ。
そうなれば既存の兵器群にそれらを応用する事が可能となる。エリシェやラフィナが言うには、既に日本の防衛省と技術提携をして実現させたという。装着する事で身体能力を向上化させるというものだ。ただまだ未完成らしく稼動はしていないようだが。
この力はギガンテス一族の逸脱した身体能力を具現化した形になるだろう。俺達も預かっているペンダントにより、同効果の恩恵を得られている。恩師達が素手で機械兵士を破壊したあの様相だ。常人では絶対に不可能である。
模写力が優れてるとなると、今後は超能力効果やバリア・シールドの類も編み出されると推測できる。それだけなら良いのだが、当然最悪の展開もあるだろう。黒服連中や軍服連中、仕舞いには世界各国がその力を得ようとしてくるに違いない。
そこでこちらも先手を打ち、相手側の中から揺さ振る事にした。完全なヒール役を投入し、その行動力を抑制させる形になる。適任は俺が過去に演じた“恐怖の暴君”が相応しいか。
かつてナツミツキ姉妹とナツミツキ四天王を助ける際に、敵側に潜入した事がある。その時に用いた戦術がこれだ。作戦自体は成功したが、その時の様相を6人は口を揃えて断言している。ただただ恐怖の何ものでもない、と。
そして今回は3大宇宙種族のテクノロジーの集合体たる、各ペンダントも揃っている。当時は自前の力だけで何とかなったが、今回はそこにペンダント効果も加算させる事ができる。相当なヒール役を演じれるだろう。
また身内には作戦前に述べていた。もし対峙する事がある場合は、全力で潰しに掛かると。そうでもしないと潜入作戦とは言えない。徹底的に敵役を演じ切る必要があるからだ。それに黒服連中・軍服連中・世界各国の暗躍者に、俺が味方だと完全に思わせる必要もある。
幸いと言うか、悪心を持つ事はペンダント効果が発揮しないとも言える。だがそれはバリアやシールドなどの外面的なものになるだろう。内面的という自身を強化する部分は発揮されると推測できる。ヘシュナもバリアとシールドは使えずとも、自身の精神操作などの力は問題なく使えていたとの事だ。
仮に使えなかったとしても問題ない。かねてから製造していた防弾能力のボディスーツや、最強のマグナムすらも貫通しないボディスーツも併用すれば大丈夫だろう。両手・両脚・頭部が曝される感じになるが、そこはグラブやブーツに仮面とで代用できる。
そう、恐怖の暴君の代名詞は顔を覆う仮面にある。覆面の上から用いる感じだが、全く以て悪人としか思えない様相と化すだろう。それに当時の技術力より今の技術力の方が断然優れている。
今までの全ての力を用いてでも、今回の潜入作戦は成功させねば危うい。敵側がどの様な手段を投じてくるか、十分気を付けて進まねば・・・。
「君が護衛を請け負ってくれてから、事がスムーズに運んでいる。」
「元警護者故に身辺警護は定石、抜かりはありません。」
“恐怖の暴君作戦”と題した戦術を展開しだして半年が経過。ナツミYUと久し振りに再会した依頼から2年が経過した事になる。どうやって防衛省に接近するかと悩んだが、そこはエリシェ達やシルフィアの力が利いた形だ。特に新技術を考案してからは、向こうも絶大な警護者たる存在を欲していたようだ。上手い具合に事が運んだ流れである。
「この調子なら我々の力だけで何とかなりそうだ。お主には別の護衛を任せたいと思うのだが。」
「如何様なご用命でも。」
「そうか。では私や彼の娘の護衛を依頼したい。以前は何不自由ない生活だったが、ここ最近は不穏な流れを感じずにはいられん。」
「私達の技術力を悪用する可能性も十分出てくる。私達なら何とでもなるが、娘達を盾にされた場合は厄介だ。君になら一任できる。」
「委細承知、追って詳細の提示を。直ぐに行動を開始します。」
なるほど、結局は大切な存在が足枷になる流れか。特に単独で力を持たない人物だけに、家族ほど足枷になるものはない。
俺達は警護者故に身内で保管できるほどコミュニケーションが取れている。シュームの娘・リュリアや、ナツミYUの娘・アサミとアユミは周りが守ってくれていた。ミツキ流生き様の持ちつ持たれつ投げ飛ばすが威光を放っていると言える。
対して彼らは今まではスポットを浴びずに済んでいた。ところが超絶的な技術力を持った故に、周りから注目を浴びる事になったのだ。力を持ち過ぎるとロクな事にならない典型的な例だろう。
何にせよ、今は信頼を勝ち取り続ける事が大事だ。彼らの娘達を守るのが俺の使命である。悪役を演じて進むと思うも、結局は警護者の流れからは逃れられない感じだろうな。
防衛省長官とガードラント王の娘達が過ごすのは、都心の一等地にある学園との事。何とここもナツミYUが関係している学園らしい。彼女は地元の総合学園長だが、他の学園にも顔が利くという。
こちらの動向は身内には全て把握されているようで、俺が目的の学園に赴けば彼女達がいるのは見事である。特別顧問としてナツミYUが、現役女子学生としてデュシアLが先回りしてくれていた。ただ今は全くの初対面で接すしかないが。
「父上からお聞きしています。ティエラ=ガードラントといいます。」
「エシェム=リシュナセラです。父がお世話になりました。」
「ドクターTと申します、以後お見知り置きを。」
学園には似付かわない仮面の巨漢が現れた事に、周りの学生達や教師達はかなり驚いている様子だ。対して護衛対象のティエラとエシェムLは慣れものなのか平然としている。まあ父親が父親なだけに、場違いな人物と会うのは珍しくないのだろう。
「貴方様の詳細は分かりませんが、付かず離れずを維持して頂ければ幸いです。」
「委細承知、お2人の行動を邪魔はしません。」
「すみません、ありがとう。」
正に身辺護衛そのものだ。付かず離れずは警護者に科せられた最小限の課題である。それだけ2人は警護者の存在も周知である証拠だ。ただいきなり格式ある存在に至ったためか、言動に浮き沈みが目立っている。エリシェの様な堂々とした佇まいは全く感じられない。
「初めまして、特別顧問のナツミ=ユウキと申します。こちらは補佐担当のデュシアL、特別委員長です。」
「ドクターTと申します。以後お見知り置きを。」
「よろしくお願いします。」
ティエラとエシェムLの護衛を開始して直ぐに、同学園に潜入中のナツミYUとデュシアLと出会う。非常に演技が上手いのには、流石は歴戦の警護者と感嘆してしまった。確か2人とも潜入捜査を行った事があると言っていたしな。
「先生、こちらの方をご存知で?」
「ええ、ある方面では超有名な存在よ。」
「お2人を確実に守ってくれます。」
「そうですか。」
ティエラとエシェムLも、ナツミYUとデュシアLとはあまり面識がない様子。この言動を見れば一目瞭然だろう。ただ護衛対象の2人はどうも人を信用し切れていない感じがする。父親達の今までの流れを考えれば、それなりの紆余曲折があったのは想像に難しくない。
「ではドクターT様、次の授業に向かいます。」
「了解、教室外で待機しています。」
「よろしくお願いします。」
そう言うと教室へと向かって行く2人。それにそそくさげにデュシアLも付いて行った。彼女の特別委員長は何の肩書きかは不明だが、2人に近い年齢で現役の女子学生は本当に有難い。護衛対象の2人が教室に入るのを確認すると、自然と溜め息をしてしまう。
第1話・2へ続く。
第3部の開始。相変わらずの様相ですが、徐々にメインメンバーが出揃いだします@@b
探索者側の布石が徐々に><;




