第8話 飛行戦艦対無人兵器1(キャラ名版)
予てから挙がっていた、仮想現実の兵器が完成した。重装甲飛行戦艦ヴァルキュリアだ。本当の呼び名は“装甲戦闘飛行船ヴァルキュリア”だが、超レプリカ大和の様に5倍の規模に拡大しているから前者で良いだろう。
ちなみに超レプリカ大和と同サイズと言うが、それは下部に牽引式で連結されている母船を指し示す。上部の飛行船部分は更にデカい様相だ。つまり超レプリカ大和を飛行船で空中に浮かせていると言っていい。飛行船部分も踏まえると、実質のサイズは同船の3倍以上という様相である。正に化け物飛行戦艦だわ。
また空中空母たるブリュンヒルデ、そしてXF/A-49最新鋭戦闘攻撃機ブラックブレイドもある。3機とも実際に存在する兵器ではないが、3大宇宙種族のテクノロジーを駆使した傑作品にもなるだろう。バリアやシールドは無論、反重力エンジンが最もたるものだ。
これらをしても、13kmを超えるヘシュナの宇宙船よりは遥かに小型だ。それに根本的にテクノロジーが異なる。実際に対峙しての対決となると、善戦できるかどうかも微妙な所だ。まあレプリカ大和やレプリカ伊400よりは遥かに頼りになると言っていい。
地元で俺達を回収後、レプリカヴァルキュリア群は東京湾へと進みでた。あのまま鎮座していたらエラい迷惑だろう。まあ東京湾自体もエラい迷惑だが、直下が海上とあって幾分かは問題ない。それに被害も最小限に抑えられる。
近場は規格外の超巨大飛行戦艦が現れたとあって物凄い注目度だ。ただこれは実際にその存在を見せる事により、相手の気を引く戦略でもあると言う。黒服連中の出所が分からない以上、燻り出し作戦が一番効率がいい。
その中で目立つのは、ビアリナとルビナが改めて搭乗したブラックブレイドだわ。F-22やF-35とは全く異なる容姿の戦闘攻撃機であり、その実力は雲泥の差と言っていい。反重力エンジンを駆使した残像行動が最強の戦術で、相手のレーダーには全く映らなくなるという。
更には本家の機体と同じ衛星レーザー射撃も可能との事。若干のタイムラグはあるが、宇宙空間に鎮座中の各宇宙船団からの援護射撃とも言える。本家のは衛星軌道上にある各衛星からレーザー照射されるが、実際にその様な衛星は配置していない。軍事衛星扱いになるため、悪用される可能性も充分ある。それを懸念した結果、宇宙船団からの援護射撃に切り替えたようだ。
まあ現行兵器最強のF-22やF-35でも、衛星軌道上からの衛星レーザー射撃は絶対にできない。残像行動自体が現行兵器には成し得ない業物である。そして反重力エンジンの恩恵では、搭乗者に全く負担が掛からないのも魅力だろう。バリアやシールドも存在している。
全てにおいて超越した兵器群のこれら。裏で暗躍する連中が喉から手が出るほど欲しがるテクノロジーだという事が痛感できるわ。
ミスT「何だ、結局ブラックブレイドはビアリナとルビナ任せか。」
ミツキ「わたは地上で戦う方が性に合うわぅ。」
レプリカヴァルキュリアの甲板から地上を見つめるミツキ。俺はとてもじゃないが地上を見つめる事はできない。この超兵器の魅力で辛うじて何とかなっているが、それを除けば高所は本当に勘弁して貰いたいものだ・・・。
ナツミA「この戦闘兵器で相手に揺さ振りを与えられますかね。」
エリシェ「さあ・・・実際にどうなるかは分かりません。ただ、相手が脅威と感じれば必ず強襲してくると確信してます。そもそも私達自体が強襲対象になりますし。」
ヘシュア「でしょうね。皆様の戦闘力は宇宙種族に近いほどにまで強まっています。地球人の観点を超えた戦闘力となれば、イレギュラーとして抹殺対象に入るのは言うまでもないかと。」
ミスT「はぁ・・・真逆だと言ってやりたいわ。」
諸々が懸念する一念を伺うと、どうしても思い浮かぶ事がある。それは俺達がこうした軍備を持つ理由だ。そもそも一体全体誰が横槍を仕掛けてきているのか。それに対応するための力に至る。攻めさせたくなければ相手から止めるべきだわ。
ナツミYU「うーん、あまり発端理由まで掘り下げると収拾が付かなくなる怖れも。」
ミスT「俺は淵源から探るクチだから、原因が相手にあるならそれこそが現況だと捉えちまう。」
シューム「私も淵源を探るから、君のその観点は良く分かるわね。今現在の結果は、過去の原因が全てになるし。」
ナツミA「ただ憎しみは憎しみしか生まないので、あまり強く誇示すると危ないですけど。」
ミスT「そこは十分弁えている。だが、相手がその一念を抱くなら速攻反論してやる。難しく考える事はしたくない。」
確かに危うい考えでもある。一歩間違えばこちらが当事者になりかねない。だが相手が何をしたのかを知らしめる必要もある。可能ならば二度と同じ過ちをしないほどに戒めるのが無難なのだがな。
ミスT「しかし・・・重装甲飛行戦艦ねぇ・・・。」
エリシェ「艦体だけで超レプリカ大和と同サイズ。気球部分はその3倍以上のサイズと。規格外の飛行戦艦でしょう。ただ重荷なのには変わりませんが、バリアとシールドと反重力機構が補って余りありますし。」
ヘシュア「私達では考えもしない戦闘艦ですよ。」
超レプリカ大和ですら1315mを超える巨体だ。その船体がレプリカヴァルキュリアの下部戦闘艦に至る。上部の気球部分はその3倍以上の様相、もはや規格外の飛行戦艦だわ。それでも宇宙種族の戦闘艦にすら匹敵しない。ヘシュナのあの宇宙船ですら13kmを超えるのだから。
エリシェ「地球規模としては最大最強の戦闘艦でも、宇宙種族からすれば戦闘機にも至らない感じになりますかね。」
ヘシュア「そうですね。ただ先程も述べましたが、私達では考えもしない超武装です。レールガンやスーパーレールガンなどを除けば、その武装は私達に引けを取りません。」
ミスT「このレプリカヴァルキュリアにも230cm主砲が搭載されているしな。超レプリカ大和をそのまま浮かせたようなものだし。」
大企業連合の資金群と3大宇宙種族のテクノロジーが合わさると、地球人では想像を絶する超武装戦闘艦が構築できるのは見事だわ。現行兵器など嵐の前のロウソクと言った感じだ。
ミツキ「例の宇宙戦艦はどうなったわぅ?」
エリシェ「あー、今も建造中です。あちらは超レプリカ大和をベースに、その規模を2倍以上にまで拡大した戦闘艦になりますね。」
ミスT「2630m・・・レプリカ大和の10倍とか・・・。」
エリシェ「そのぐらいじゃないと舐められますよ。ヘシュナ様の宇宙船にすら匹敵していませんし。私達の行動理念から反れますが、力を持たねば虐げられるのもまた事実。ならば徹底的に力を示すしかありません。」
ミスT「だがなぁ・・・。」
全長2630mの宇宙戦艦とは・・・。レプリカ大和の10倍の規模だ。羽田空港の3km滑走路にスッポリと収まる。ただそれでも滑走路に収まる規模なのだ。ヘシュナが駆っている宇宙船がどれだけデカいかが十分肯けるわ。
デュリシラ「お・・・向こう側に動きがありましたよ。流石にこの飛行戦艦は看過できないようで、色々と横槍を入れて来だしてます。」
ミスT「はぁ・・・横槍を入れる方を間違ってるわ。」
ナツミA「まあこの規模の戦闘力だと、流石に入れて来るかも知れませんね。」
飛行甲板でノートPCを展開し、各国の様相を見入るデュリシラ。最近は彼女にブレイン役を任せ切りである。ナツミAも同等かそれ以上の力を持つが、彼女は実働部隊に近い。ここはデュリシラに任せた方が良いだろう。
デュリシラ「アレですよね、日本がかつての大戦の敗戦国だという部分の揶揄でしょう。そこにこの超大な軍事力を持ち出した。核兵器こそありませんが、むしろバリア・シールド・各種兵装はそれ以上の力を誇りますし。」
エリシェ「やはり怖いのでしょうね。相手が自分達以上の力を持つ事を。その最もたるものが核兵器の保持でしょうから。まあミュセナ様から提供されているテクノロジーを使えば、その絶対悪すら無力化できますが。細菌兵器や生物兵器すらも無力化しますし。」
ミスT「人類から核兵器・生物兵器・細菌兵器を除いたら、もはや嵐の前のロウソクな感じだわな。陸海空の全ての兵器を持ち出してきても、俺達には全く以て歯が立たない。」
ヘシュア「恐らくですが、皆様が抱く概念にも怖れを抱いていると思います。これだけの超大な兵力を以てしても、生命哲学の理を礎とした生き様を根幹にしている。つまり間違った方向に進まないというもので。」
エリシェ「そこは私達大企業連合や警護者軍団に徹底的に戒めている概念ですから。少しでも曲がるようだったら、それ相応の怖さを思い知らせますよ。」
エラい不気味な笑みを浮かべるエリシェ。それを見たミツキも同じく不気味に微笑んでいる。まあそのぐらいの怖さがなければ、間違った方向に進まないようにするのは非常に難しい。
第8話・2へ続く。




