第6話 再来のカーチェイス・後編2(キャラ名版)
凄まじい衝撃で目が覚める。目を開けると既に葛西臨海公園へ到着していた。更には四方から銃撃を浴びせられている。幸いにもバリアやシールドの恩恵により無傷ではあるが。
一切の攻撃が無力化しているため、堂々と車外へと出て行く。ただし、戦闘準備は整えている状態だが。そして相手を確認すると、何と無人飛行兵器が多数襲来していたのだ。
ミスターT(・・・窃盗団は不明軍団とも手を結んだのか。)
ナツミYU(いえ、この場合は別の勢力と取るのが無難でしょう。現に窃盗団はまだ環七をこちらに向かって進んでいますし。)
ミツキ(前門の無人飛行兵器、後門の窃盗団わぅね!)
それぞれの兵装で応戦する。最低限の武装しか持参しなかったため、かなり消極的な戦いになってしまうが。ナツミYUは隠し武器の黄金拳銃を取り出し、2丁拳銃で大暴れしている。ミツキは同じく持参のマグナムで暴れていた。ただ弾薬が非常に心許ない。
すると、遠方から弾丸が飛来してくる。しかもそれは有線で誘導されているかのように、無人飛行兵器に着弾するのだ。まさかと思い、その射線軸上を見るとハリアーⅡ改が。
そうなのだ、マデュースから発射された弾丸がルビナの超能力で誘導着弾をしていたのだ。これには驚愕するしかない。従来の弾丸は直進しかできないのを、物理的に捻じ曲げた感じになる。何という荒業だろうか・・・。
ミスターT(はぁ・・・発射された弾丸を誘導させるねぇ・・・。)
ビアリナ(あー、ルビナ様には超遠距離射撃支援を行って頂いてます。)
ルビナ(フフッ、このぐらい朝飯前ですよ。レプリカ大和の46cm主砲も誘導着弾可能ですし。)
ミツキ(正にフォースワンコわぅ!)
ハリアーⅡ改の位置を見る限り、かなり遠方に位置している。そこから発射された弾丸の正確無比な一撃は、ルビナの超能力の強さを思い知らされた感じだ。
ビアリナ(窃盗団の位置からして、数十分後にはそちらに到着すると思います。ルビナ様には引き続き援護射撃をして頂いて、私は窃盗団の監視を続けますね。)
シューム(これ、私達も現地に赴いた方が良さそうかもね。)
エリシェ(ですね。身支度を済ませて、直ぐに向かいましょう。)
シューム(移動は私の出番ね。ナツミAちゃん・エリシェちゃん・デュリシラちゃんを引っ提げて、直ぐにそちらに向かうわ。)
ミツキ(正にデッドマン・ウォーキングわぅ?!)
シューム(ほほ、お見事な推測で。)
ミツキ(でっとん・でっどん・ごぉ~ん・でぇ~っどまんうぉ~きん♪)
“デッドマン・ウォーキング”、アメリカの有名プロレス団体の墓堀人氏が役割で演じていた時の専用BGMだ。俗に言う“単車墓堀人”の時のものである。つまりシュームの移動手段は、間違いなくハーレーという事だ。
その後も無人飛行兵器の襲撃を撃退していく俺達。弾薬は全てミツキとナツミYUに託し、俺は格納式方天画戟を取り出して肉弾戦を展開しだした。
それを知ったのかどうか分からんが、無人飛行兵器の他に人型兵器も出現しだしてきた。つまりこれら無人兵器は遠方で当事者とリンクしている形になる。一部始終見られている感じになるだろう。それか発見次第増援を送り撃滅する、こうインプットされているのだろうな。
ミスターT(地上の獲物は任せろ。2人は空中の獲物を潰してくれ。)
ミツキ(ラジャラジャ。)
エリシェ(アハハッ、某宇宙戦争のドロイドの音声ですか。)
ミツキ(ム、コイツラハジンガイブツ・・・ハイジョスル!)
ナツミA(はぁ・・・。)
何でもかんでもネタにするミツキの姿勢には感嘆するしかない。方々で笑いつつ、それぞれの行動をこなしていく。またコミケで襲撃された際、ペンダント効果で肉体が超強化されていたのを思い出した様子。目の前に迫る地上群の無人兵器を格闘術で破壊していくミツキ。
ミツキ(ワンコを学べ、我が弟子よ。)
ナツミA(ワンコを学んでどうするのよ。)
ミツキ(一撃でモッフモフにしてやんよ!)
ナツミA(つまり懐かせるという事ね。)
ミツキ(ワワン・ワン・ワワン!)
・・・この美丈夫は・・・。しかしその言葉とは裏腹に行動は切れを増している。マグナム一式をナツミYUに託し、俺と一緒に肉弾戦を演じだしたのだ。しかも武器を使わず、格闘術で破壊していく。俺が方天画戟で破壊していく様が馬鹿馬鹿しく思えてくるわ・・・。
ミツキ(というか、今の流れからカーチェイスには発展しなかったわぅね。)
ナツミYU(ですねぇ~。もう少し暴れられると思いましたが。)
シューム(むしろ窃盗団は馬鹿よね。今暴れる事ないだろうに。)
デュリシラ(漁夫の利を狙った感じだと思いますよ。それが裏目に出た感じで。)
今の混沌とした世上に乗っての犯罪を狙った形、だな。しかしそれ以上の現状はそれら愚物すらも蹴散らす形になっている。ヘシュナ率いるカルダオス一族の悪行が正にそれだ。
ミツキ(Tさんが以前、人は何故争いから離れられないのかと言ってましたよね。)
ミスターT(ああ、前に言ってたな。)
ミツキ(人は相手を知らないと、怖がるのと同じ流れなのでしょうね。だから必要以上の武力を維持して身を守る。それが相対的に相手に恐怖感を抱かせ、要らぬ争いを引き起こしてしまう。笑顔でいれば幸せになると以前言いましたが、はたしてそれが正しいのかどうか。)
真剣言葉で彼女には似合わないマイナス面の内容を語り出す。何時もはイケイケゴーゴーなミツキには、とても似合わない言葉である。しかし、その内情は痛烈に理解できた。
ミスターT(・・・誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要だ、だな。お前さんの今の言葉は、自分の行動が本当に正しいのかどうかという事になるだろう。だが俺からすれば、お前の一念と生き様は誰よりも誇れるものだ。それに人を不幸にする一念では断じてない。)
ミツキ(そうであればいいのですが・・・。)
ミスターT(だからこそ、手前の恩師の名言をお前に捧げる。最終的には己自身に帰結してくる。己の生き様を貪欲なまでに貫き通してこそ、その一念や思想が生きてくる。お前はお前の持ち前の明るさを活かし続けるんだ。そのお前に同調し賛同できる。俺は心からお前を敬愛しているよ。)
ミツキ(・・・ありがとうございます。)
これがミツキの本音なのだろう。上辺のノホホンの生き様は、己の胸中の不安や恐怖を強制的に押し殺すかのようにも思える。しかし彼女が貫く生き様は、間違いなく今の混沌とした世上には特効薬極まりない。その彼女を支えてこその、俺の生き様に帰結してくる。
スミエ(ミツキ様はまだ幸せな方ですよ。私の時と比較すると、当時はそうして内情を打ち明ける存在すらいなかった。自分で自分の生き様を貫き続けるしかないのが現状。そして自分が折れれば、3大宇宙種族の方々が虐げられる。絶対に退く事はできない。)
ミツキ(すみません。スミエさんは今以上の過酷な環境を、たった1人で戦われていたのですよね。それを考えると私なんか足元にも及びません。)
ミスターT(ミツキはミツキ・スミエはスミエ、俺はそう思うがね。)
ルビナより託されている超能力ペンダントの効果を発動。意識で迫り来る弾丸類を全て止め叩き落しつつ、静かに一服しながら2人に語った。スミエの時代はスミエの生き様が合っていたと思う。しかし今はミツキの生き様の方が合っているのだ。そこに色々な要因が重なってくるが、決して2人が全く異なるというものではないのは確信できた。
ミスターT(人が多ければ多いほど、生き様も千差万別になってくる。ただ、ミツキもスミエも根底の帰結する部分は全く同じだとも確信している。難しく考える必要もない。)
シルフィア(そうね、T君の言う通りね。マスターの時代はマスターの生き様、ミツキさんの時代はミツキさんの生き様。その時に合った生き方が求められてくる。むしろ己自身が押し潰されそうな時ほど、T君の生き様が輝く時はないけどね。)
ミスターT(烏滸がましい感じだが、それが起爆剤になるなら万々歳だ。今後も俺は貫き続ける。無論、一生涯な。)
目の前に迫る複数の人型機械兵器。それを右手をかざし押し留める。そこに猛襲するミツキ。正拳突きで一撃の元に粉砕するのだから怖ろしい。更にはシャイニングウィザードで破壊していく姿は、レスラーの領域を超えたモンスターとしか言い様がない。
ミュティナ(お姉様の生き様は、私達宇宙種族の根底概念に通じる部分があります。お姉様方は地球に住まわれる人類を、私達は宇宙全体に住まわれる生命体の安寧を望んでいますので。まあ実際には多勢に無勢と言いますか、前途多難で厳しいものですが。)
ルビナ(私達の超寿命を駆使しても、大宇宙は広過ぎます。ただ、マスターが根幹の目の前の人物を支え抜く。それだけは必ず成し遂げて行きたいものですね。)
エリシェ(心から同意致します。私達大企業連合もその一念を根幹に突き進んでいますから。)
ミスターT(生きるって難しいわな・・・。)
何度も帰結する先はここに至る。人として何を定め、そして突き進んで行くのか。それを毎回考え悩み続ける。永遠に答えが出ない難問を解くかのようである。しかし実際には答えは出ており、それに向けて進んでいるに過ぎない。
ミスターT(・・・まあ今は、人としての道を外れたカスどもを叩き潰しますかね。その積み重ねが安寧に繋がるしな。全ての人が安心して過ごせるなら、俺は鬼にでも悪魔にでもなってやるわ。)
シルフィア(はぁ・・・君らしいというか何というか・・・。)
ミツキ(ウッシッシッ♪)
一服を終え、地面に置いてあった携帯式方天画戟を持つ。既に俺達は弾薬が尽きている現状、肉弾戦で人型機械兵器や飛行兵器を破壊していくしかない。人型機械兵器ならペンダントなどの恩恵で破壊できるが、飛行兵器に関しては届く範囲内でしか撃退できない。
遠方から超遠距離射撃を行っていたビアリナとルビナだが、弾薬が枯渇したようで支援が途絶えた。2挺のマデュースも試験的運用だったようで、最低限の弾薬しか積んでいなかったようである。後はガトリング砲・ミサイルランチャー・レールガンのみになるが、空中での監視の目を疎かにはできないため動けず仕舞いな感じだ。
第6話・3へ続く。




