第5話 再来のカーチェイス・前編4(キャラ名版)
ミスターT「・・・エリシェ、超レプリカ大和と同クラスの宇宙戦艦建造を。先を見越した動きをするしかない。全て終わった後の運用は面々に任せる。」
エリシェ「了解です。と言うか、実案は既に出ているので後は動き出すだけですけど。」
ミツキ「さらば~ちきゅうよ~たびだ~つふねは~♪」
ミスターT「はぁ・・・。」
ミツキのネタに笑ってしまうが、実際にそれが実行されるというのは驚愕するしかない。そして短期間で建造してしまう大企業連合の力、この姿も常識を逸脱しているわな。だが連中の最終目標が宇宙船団なら動くしかない。
ナツミA「宇宙で運用可能な超弩級戦艦、クレイジーとしか言い様がないわね。」
ミスターT「それが連中には特効薬になるんだから、実に皮肉な話だわな。」
ルビナ「ですが、私達の母船は簡易的武装しか搭載していません。例えそれがレールガンやスーパーレールガンであっても、戦闘を考慮した船体ではありませんから。」
ミュティナ「実際に戦闘を想定した超弩級戦艦は、今後の私達の抑止力の1つになりますね。」
ミスターT「あまり軍事力云々は出したくないがな・・・。」
前にも挙げられたが、もはや警護者の次元を超越した形に至っている。個人の戦闘力どころの話ではない。
レプリカTa152Hはまだ黙認できたのだが、レプリカ大和やレプリカ伊400から逸脱しだした。仕舞いには超レプリカ大和に超レプリカ伊400だ。最終的にはマンガやアニメで有名な宇宙戦艦にまで発展しだしている。
しかし、このどれもが暗躍する連中には超絶的に特効薬になっている。実に皮肉な話だわ。海上運用に限定されるガンシップたる4大艦船だけでも、地球上では最強の戦闘艦になる。現行兵器をも超越する様相は、第2次大戦時の遺物であれ凄まじいという現われだろう。
そしてそれら兵器群を地球上で最強と言わしめるのが、例のバリアやシールドの要因だ。現行兵器が全く役に立たなくなる。人類史上最強最悪の核兵器ですら防ぐのだから恐ろしい。更にはギガンテス一族には核兵器を無力化させる術もある。後聞きだが、ドラゴンハート一族も同じ術があるとも言う。
人類から最強最悪の核兵器や細菌兵器を取ったとしたら、もはや為す術はない。現行兵器も役に立たないのなら、白旗を揚げて降参するのが関の山だわ。だからこそ、連中はこれらのオーバーテクノロジーを欲している訳になる。そこに付け入ったのがカルダオス一族であり、強いてはヘシュナになる。
まあ最強最悪の核兵器や細菌兵器を使われないのならまだいい。細かい抗争は虱潰しに殲滅していけば問題ない。昔はスミエがたった1人でそれを遂行してきたのだから。今の俺達にも同じ事が十分できるわな。
数日後、蒔いた餌に見事に喰い付いた窃盗団。喫茶店の駐車場に鎮座していた、デロリアンとダッジ・チャージャーが盗難にあったのだ。それだけ連中の目は広範囲に鋭く光らせている証拠だろう。
ただし、タダで盗ませる訳にはいかない。同車両には連中には探知不能な追跡装置を搭載してある。それを辿れば連中の元に辿り着けるという算段だ。
ミツキ「あんにゃろ~・・・見てろわぅ!」
デュリシラ「まあまあ・・・。」
肩越しから強引に探索をするミツキにタジタジのデュリシラ。しかし流石はプログラミングの覇者か、二人羽織的な感じで凄まじいものだ。お互いに別の操作を行うも、それが意思の疎通から物凄い作業効率を叩き出している。
ビアリナ「このシグナルの行き先を踏まえると、今回は漠然と動いているようには思えませんね。色々と場所を変えつつ、目的地に向かっている感じで。」
ミスターT「前回の流れを覆す様相だわな。」
エリシェ「ただ、先を見越した動きをしないと読まれる可能性もあります。私達の方も動き出した方が良さそうですね。」
何時でも動けると意気込みを顕にしている一同。特にミツキの気迫は凄まじい。何れ愛車になるデロリアンを盗まれたのだ、怒りを顕にするのは言うまでもない。
デュリシラ「・・・お、動き出しましたね。この動きは、品川埠頭経由ですか。」
ミスターT「また同じルートか。いや・・・これはお台場辺りに向かいそうか。」
デュリシラ「でしょう。先の窃盗事変を踏まえて、態と前と同じ動きと見せかけて別の場所に移動すると。」
ミツキ「とっ捕まえてやるわぅ! 逐一位置情報の報告を頼むわぅ!」
粗方の情報を得たミツキが暴走し出した。軽装を施すと、そのまま喫茶店を飛び出して行くではないか。慌てて俺も手短な装備を持ち後を追った。
喫茶店の表に出た瞬間、入店してきたナツミYUとぶつかりそうになる。倒れ込みそうな彼女を抱きかかえつつ、先に飛び出したミツキが何処に行ったかを尋ねた。すると喫茶店の駐車場に止めてあるウアイラに向かったとの事。彼女が定期メンテナンスを終えた同車両で、ミツキはそれを使って追走するようだ。
慌てて2人して同車両に追い付くと、今正にウアイラに乗り込む彼女の姿が。俺達に気付くミツキが手招きしてくる所を見ると、どうやら単独では心許ない感じか。ただその気迫は自分が運転するのだと断固として譲らない様相である。
そこでナツミYUと一緒に強引に乗り込む事にした。先に座席に座り、その膝の上に彼女を座らせる感じである。ウアイラは2人乗り用で、かなり窮屈だが仕方がない。それに不測の事態ではナツミYUの力は大いに助かる。この場合は強引に進めるしかない。
俺達が乗り込んだのを確認したミツキは、ウアイラのエンジンを始動。身内でミュティナ達に近い小柄な彼女だが、それを覆すかのように車両を運転しだした。何時学んだのか全く以て不明だが、彼女のパワフルなテクニックには感嘆するしかない。
ナツミA(お3方、相手は前回と同じく品川埠頭側に一応向かっているわ。)
ミツキ(アレわぅか。向こうに行くと見せ掛けて、途中でルート変更するわぅね。)
エリシェ(大凡その筋だと思われます。)
ウアイラが疾走しだして数分後、念話でナツミAの声が聞こえてきた。前回は意思の疎通による念話はなかったが、今回は遺憾なく発揮されている感じだ。しかも既存の通信機器群と違って、どんなに距離が離れていてもリアルタイムで伝わるのだから恐ろしい。
ナツミA(で・・・今はポチが運転している訳ね。ナツミYUさんは同席です?)
ナツミYU(い・・一応・・・。)
ミスターT(ミツキのテクニックに驚愕しているわ。)
俺の膝の上で抱き付くようにいるナツミYU。エラい赤面しているも、ミツキのドライバーテクニックに驚愕していた。しかも自身も凄腕のドライバーなため、進むべき場所を的確にアドバイスしている。まるで自分が運転しているかの様な感じだ。
シューム(へぇ・・・膝枕ならぬ、膝の上でノホホンねぇ・・・。)
デュリシラ(妬けますよねぇ・・・。)
ミスターT(言ってろ、じゃじゃ馬娘達め。)
ミツキ(ウッシッシッ♪)
本来ならタッグで追撃する所を、トリオで暴れている部分に茶化しが入る。特にナツミYUが俺の膝の上にいる事を、シュームとデュリシラからエラい反感を喰らう。シュームなら分かるのだが、最近はデュリシラからも嫉妬の一念をぶつけられていた。
ビアリナ(マスター、数十分後にそちらに支援に入ります。)
ミスターT(上空からハリアーⅡで探索か、有難い。)
茶化しの念話以外に、ビアリナからの支援の声が入ってきた。前回は途中でハリアー隊が加勢してくれたが、今回は最初から加勢してくれるようである。
ルビナ(今回は私も相席しますよ。)
ミスターT(あら、ハリアーⅡって単座じゃなかったのか?)
ビアリナ(このハリアーⅡ改は単座から複座に改造してあります。更に後方の上側と下側に旋回式のマデュースを搭載してあるので、後方の憂いは消えますよ。)
ミスターT(マデュースねぇ・・・。)
オリジナルのハリアーⅡは30mmバルカン砲を2門搭載している。他には各種ミサイル群が装備されているが、どれも機体前方にしか射出できない。機体の後方・左右・上下には死角が存在する。それを補う形のマデュース搭載だろう。
ビアリナ(これらの特殊兵装は実際の軍備の発展系のもので、言わばテスト導入な感じでしょう。)
ミスターT(悪く言えば実験台だわな。それに俺達警護者に提供すれば、その能力を試せるとある。どちらも恩恵に与れるが、どうもパッとしないわ。)
表向きの支援はできないも、こうした裏側からの支援はされているようだ。ハリアーⅡ改の提供は一個人では絶対に成し得ない。警護者という特殊な要因があるからこそ、提供されるというものだろうな。
エリシェ(以前も言いましたよね。これら軍備は戦乱を助長させかねないと。しかし何も持たずにいれば虐げられるのもまた事実。私達は大企業連合の抵抗力を持ちますが、それ以外では軍事力には敵いませんし。)
ミスターT(それを黙殺するのが警護者という概念、か。だから平然と兵器を投入できる。)
ミツキ(実に皮肉な話ですよ。)
念話だと通常の会話ではなく脳裏に思った事が透写できる。華麗なまでにウアイラを運転するミツキが、ハンズフリーで会話できるのは強みだろう。前回は携帯による会話だった。
ミスターT(だからと言って歩みは止めん。俺は俺の生き様を貫くのみ、だ。)
エリシェ(そうですね。この手の細かい上辺の要因に直面すると、最終的には己自身の生き様に帰結してきます。貴方のその姿勢が警護者たる何よりの証ですよ。)
ミスターT(複雑な心境だわな。)
一服しようとするが、両手はナツミYUを抱きかかえているため身動きが取れない。それを知ったのか彼女も一服し、俺の口元に運んでくれた。そう言えば過去のカーチェイス時も、同じ様に運転中の彼女の口に煙草を運んだ事があったな。
ナツミYU(貴方はあの時もこうしてくれましたよね。)
ミツキ(ウッシッシッ♪ 正に二人羽織わぅ。)
シューム(へぇ・・・。)
デュリシラ(念話だと全て分かるのですねぇ・・・。)
ミスターT(はぁ・・・。)
念話は会話以外にも視覚や胸中の一念すらも共有できる事から、ナツミYUがしてくれた事が遠方のシュームやデュリシラにも伝わったのだろう。そして同時に物凄い殺気に満ちた一念を抱いているのも感じ取れた。嫉妬の部分はさておき、この意思の疎通による念話は本当に恐ろしいものだ。
第5話・5へ続く。




