第5話 再来のカーチェイス・前編1(キャラ名版)
突然襲来した傭兵軍団と人型機械兵器の軍勢。それを地元で迎え撃った俺達。丁度総出でいる時に襲来したため、効率よく完全駆逐ができた。
ただ国内事情は俺達で済んだが、海外事情は別であった。日本に襲来する無人機械兵器群が数多くあり、それに国家を挙げて迎撃に入っている。一歩間違えば戦争そのものだが、相手が無人兵器なのが唯一の救いだろう。
ここは日本各所に派遣待機中の、超レプリカ大和・超レプリカ伊400・レプリカ大和・レプリカ伊400の4大ガンシップで対処して貰っている。バリアやシールドの恩恵から、国内には一切被害が出ていない。
例のエリシェの負傷の一件から、バリアとシールドの範囲を可能な限り拡大した。そして善悪センサーを得意とする、ギガンテス一族とドラゴンハート一族の要素も反映。日本全領土の防衛と守備は完全無欠に近いだろう。
自衛隊群や警察群は他国からの横槍を防ぐため、国内の警備を中心に動いて貰っている。表からの横槍からは、全て警護者群・大企業連合・躯屡聖堕チームのトリオで対処していた。当然、新進気鋭のトラガン群も大暴れしている。女性陣が大活躍する姿は、日本国内に広く轟き出していた。
それでも侵攻は止む気配がない。敵方にカルダオス一族が加担しているのは間違いなく、より一層激しさが増したと言える。敵の親玉は一体誰なのか、非常に気掛かりだ。
まあ何であれ、国内に住む方々・世界中の方々を苦しめる輩は徹底的に叩き潰すのみよ。それが今の俺達にできる生き様だ。今や警護者は調停者そのものだわ。
ミスターT「はぁ・・・この期に及んで、また窃盗団か・・・。」
喫茶店のカウンターで一服しつつ、ノートパソコンで世界情勢を調べて回る。方や国内事情も新聞などで調べつつ、全てにおいて目を光らせていた。そこで出たのが、かつての窃盗団が現れたというものだ。カーチェイスで激闘を繰り広げた、あの連中である。
エリシェ「国外からの横槍は、軍備的にも経済的にも完全に防げています。しかし国内では、この混乱に乗じて色々な犯罪が多発しているそうですよ。」
ビアリナ「流石に全てまで阻止して回るのは厳しいですからね。それこそ警察の方々や自衛隊の方々を派遣すれば終息できそうですけど。」
ミスターT「国外の目が今の様相を見て、日本が再び軍国主義に走るのではという妄言だわな。」
全く以て馬鹿げてる。自分の国すら守るのが精一杯なのに、何故国外へ侵略を開始するのか。第2次大戦時と今とでは全く違う。それに今までの日本の姿を見れば一目瞭然だろうに。
ミスターT「はぁ・・・ヤッカミねぇ・・・。過去の清算をせよ・被害額を払え、か・・・。」
エリシェ「まあ実際に日本が侵略戦争を行ったのは事実ですが。それでも半世紀以上前の話であり、しっかり行動を以て色々な謝罪はしている感じですがね。」
ビアリナ「そこは政治的世界になるので、私達は関与しない方が良いでしょうね。あくまで私達の位置付けは警護者であり、今では調停者の役割ですから。」
ミスターT「泣く子も黙る、だわな。今じゃ警護者・大企業連合・躯屡聖堕チームの話を聞けば、横槍は完全に黙り込むからの。まあ、ヘシュナだけは違いそうだが・・・。」
世界情勢のニュースでは、連日カルダオス一族のヘッド・ヘシュナの行動が挙げられている。彼女がどういった意図があって行動しているかは不明だ。しかし、そのリーダー力は確かなもののようである。
直径約13kmの宇宙船という強大な戦闘力を見せ付けられれば、相手は否が応でも応じるしかない。むしろギガンテス一族やドラゴンハート一族と違い、悪勢力に加担する部分が拍車を掛けている感じだろう。
各国はオーバーテクノロジー欲しさに、ここぞとばかりにカルダオス一族に加担しだした。しかしよくよく尋ねると、カルダオス一族のテクノロジーはギガンテス一族やドラゴンハート一族のそれを模写した技術との事。今のテクノロジーに至るまでは、相当の弱小種族だったそうだ。
2大宇宙種族がそれを憂い、数々の技術提供や強化を行った。しかしどうだ、カルダオス一族は感謝するどころか天狗になったという。ヘシュナの言動を見れば一目瞭然だろう。正に忘恩の輩そのものだ。
この大宇宙を流浪の旅路を続ける種族同士、お互いに支え合って来た。2大宇宙種族側は常にその姿勢を保ってきたそうだ。それでも、施しを受けた形に見える部分がどうも許せないらしい。
ミスターT「・・・これだから忘恩の輩は・・・。」
エリシェ「ヘシュナ様ですか。いえ、カルダオス一族総じてになりますね。」
ミスターT「ミュセナやルビナから詳しい事を聞くまでは、まだ救い様はあると思っていた。それがどうだ、完全に忘恩の輩じゃないか。」
ビアリナ「ま・・まあ確かに。」
俺は何時の頃からか、明らかに理不尽・不条理な対応をする阿呆には容赦ない鉄槌を下しだした。今に至る経緯の報恩感謝をせず、仇で返すカスには絶対に容赦はしない。それ相応の報いは必ず受けさせる。それが俺の生き様だ。ここは絶対に曲げはしない。
エリシェ「はぁ・・・内情が痛烈に伝わってきます。確かに忘恩の輩への戒めは必要ですが、貴方の場合は度が過ぎている感じがしてなりません。」
ミスターT「だからと言って、俺は絶対に曲げはせんよ。そもそも相手が何をしたのか、痛烈に思い知らせる必要があるわな。お前も思う戒めの一撃は必要だが、奴等は明らかに度が過ぎている。」
ビアリナ「徹底的に恐怖を叩き込む、ですか。二度と同じ過ちを繰り返さないように。」
エリシェ「一歩間違えば、ご自身も暗黒面の理に堕ちかねません。」
怪訝そうな表情を浮かべるエリシェとビアリナ。俺の考えが逸脱している証拠だろう。しかしそれを許してしまえば、再び愚者がのさばるのも確かである。誰か1人でもいい、その愚者を徹底的に戒める存在が。それが必要なら、俺はどんな事だろうが演じてやる。
シューム「根底は賛成するわ。ただエリシェちゃんやビアリナちゃんが心配するのは、君が堕落するのではという事よ。」
休憩から上がってきたシューム。エリシェと入れ替わりで厨房に立ち出した。彼女の場合は俺に気質が似ているからか、同調できる部分があるのだろう。
シューム「まあでも、明らかに逸脱した愚者は徹底的に叩き潰すのが無難ね。最終的には相手のためにもなってくるし。」
ミスターT「本来なら各国が対処すべき事なのにな。それが目の前の超絶的なテクノロジーに目が眩み、挙句の果てには加担して貪り尽くす。警護者は生粋の傭兵集団なのに、それが今では調停者そのものだ。本当にバカげてる・・・。」
シューム「目が眩めば目の前が見えなくなるからねぇ。人故の罪深き業の1つよね。」
厨房で作業をしつつ、呆れ顔のシューム。彼女の場合はナツミYUとは異なり、相手の深層を見抜く力がある。ギガンテス一族やドラゴンハート一族のそれと似ているだろう。故に今の世上の混沌とした様相には、相当堪えているようだ。
ミスターT「・・・エリシェ達の力を使って、各国の愚者を徹底的に叩き潰すのもアリだな。」
エリシェ「まあできなくはありませんけど・・・。」
ミスターT「冗談よ、俺もそこまで阿呆ではない。しかし手っ取り早く片付けるなら、それが一番楽なんだがね。」
シューム「もしそれを行ったら、恐らくヘシュナちゃんが何をするか分からないわね。あの様相だとチヤホヤされるのを好んでいる感じだから、それがなくなったら全力で潰しに掛かって来るのも推測できる。」
ミスターT「やはりその見解に至るか、流石シュームだわ。」
俺が懸念していた部分はシュームの懸念とも一致していた。それに驚くも何を今更といった感じの表情で呆れもしている。実際に先日対峙した時の様相なら、その流れは想像に難しくないわな。
ビアリナ「今は一歩ずつ攻略していくしかありませんね。」
シューム「そこも毎度ながらの戦術なんだけどね。」
エリシェ「前途多難ですよ。」
ミスターT「はぁ・・・。」
カウンターでだらけるようにすると、俺の肩を小さく叩いてくれるエリシェ。お互いに気苦労が絶えないわ。だからこそ起爆剤として進めるのだが・・・。
その後も後手は続く。不明の軍勢に進軍される日本全体。政府には他国の問題に手を出すなとも述べておいた。何でもスミエとシルフィアは政界にも非常に精通しているようで、色々な根回しをして回っている。これはかつてスミエが、たった1人で戦っていた時に築き上げた礎らしい。
それに警護者界が矢面立って撃退してくれている現状を、諸手を挙げて賛同してくれているのが幸いだろうな。本来なら国を挙げての総力戦になるのだが、今はそれが全くできない。スミエ自身が過去の大戦で日本が敗退した事を知っているからこそ、こうして色々と根回しをしていると思える。
それでも限界はある。日本全体が賛同をしてくれても、海外ではそうはいかない。実際に不明の軍事物が襲来し、俺達を良からぬと思う各国からの横槍もある。力には力で対抗するのは愚策だが、度が過ぎている場合は異なるわな。
今は警護者群・大企業連合・躯屡聖堕チーム、この3大要素が水際で抑えている状態だ。何時デカい火種になるやも知れない状況を、今の世上は大きく孕んでいた。
第5話・2へ続く。




