第4話 大規模襲撃3(キャラ名版)
ミスターT「さて・・・どうするか。」
俺の言葉に周りの面々は小さく頷いている。先程から明確な殺気を感じていた。ただここは市街地であり、下手をすれば負傷者が出かねない。
ミュティナ「任意的範囲拡大縮小可能バリア発生装置・・・まあ長いですが、これがあればお住いの方々は守れます。それに必殺は敵味方識別可能バリア発生装置と。」
ミスターT「後方の憂いは絶てる訳だの。」
ミュセナ「むしろ、こうなると肉弾戦で挑んだ方が負傷者は最小限で済むと思いますよ。射撃武器を使うと危険性が増しますし。」
シューム「ほほっ、肉弾戦なら得意中の得意よ。」
両腕の拳を鳴らしながら臨戦体勢に入る彼女。確かにシュームは射撃やダンスアーツよりも、殴り合いやプロレス技が得意と言っていた。またここにいる大多数の面々が当てはまる。
ミスターT「俺達だけを明確に狙い続けるかね・・・。」
エリシェ「住人を人質に動く、ですか。敵方の狙いは私達になると思うので、卑怯な手を使うならそれでしょうね。」
ビアリナ「少し離れた場所で戦った方が良いでしょうか?」
シューム「大丈夫だとは思うけど。」
雑談をしながら臨戦体勢に入っていく面々。今回は護身用の拳銃のみにし、主軸は肉弾戦で戦う事にした。地元だとお住いの方々に被害が及ぶ可能性も十分ある。
ミツキ「うぃ~・・・ヒック、酔っ払っちまったぃ~・・・。」
突然ノンベエを演じ出し、そのまま店外へと出て行くミツキ。その姿に呆気に取られるも、ここは先手を打ち出した彼女に追随するしかない。彼女が表に出る事で、その後がどうなるかを注意深く探った。
ミツキ「うぃ~・・・何見てるんじゃーぼけぇー!」
ナツミA「はぁ・・・。」
ミスターT「・・・合図だな。」
店外に出て数分もしないうちに、彼女のボケの啖呵が飛び出してきた。直後、敵方の断末魔が響き渡る。それに俺達は笑いながらも、突破口を開いてくれた彼女に続いて行った。
店外に出た俺達は、既に大暴れを開始しているミツキを目の当たりにする。と言うかそれ以前に現状に驚愕した。コミケの会場で襲来してきた人型機械兵器が、夥しい数で埋め尽くしていたからだ。ただ、人型機械兵器なら殺気を感じる事はできない。
そして俺達が微力の殺気を感じたのは、特殊部隊の兵士達を凌駕する殺気に満ちた兵団が混ざっていた事だ。これは戦い自体を好む傭兵の類、完全に殺人集団と取っていい。つまり相手は何振り構わず襲撃を開始したという事だ。
ミスターT「・・・俺も地球人が嫌いになりそうだわ・・・。」
エリシェ「ハハッ、また自己嫌悪ですか。それは悪党軍団だけに済ませましょうよ。」
エルシェナ「そうですよ。全ての地球人が悪ではありません。明らかに私利私欲に溺れた愚者が該当します。マスターが思われている、世界にお住いの方々は全く別です。」
ミスターT「そうは言うがな・・・。」
喫茶店前の路地が大変な事になっている。バリアやシールドの恩恵で、周りへの建物には被害が及ばないのは確認した。しかし襲来し続ける人型機械兵器や傭兵軍団との殴り合いが凄まじいまでに発展していた。
シューム「へぇ・・・ナイフやダガーすらも通らないのねぇ。」
ナツミYU「バリアとシールドが身体を金剛の如く守護している、と言いますか。」
デュリシラ「頼もしい力ですよ。」
傭兵軍団はナイフやダガーを使っての近接戦闘を繰り出して来ている。本来ならそれで致死力は十分あるが、バリアやシールドの効果で全く以て意味をなさない。仕舞いには俺達に斬り付けた得物が砕けてもいる。2大宇宙種族のテクノロジーは恐ろしいものだわ。
エリシェ「あ・・・はい、分かりました。マスター、ウインド様とダークH様からご連絡が。日本国外に大規模な軍勢が出現したとの事です。」
ミスターT「同時襲撃か・・・敵は総力でこちらを潰しに掛かって来たという事だな。」
とんでもない事に発展したものだ。地元への局地的な襲撃ならまだしも、今度は国外からの襲撃が行われだしたという。以前は端的な流れだったが、カルダオス一族の支援を受けた事により勢いを増したのだろうな。
エリシェ「日本全体の防衛は、4大ガンシップにより何とかします。私達はこちらを集中した方が良さそうですね。」
ミュセナ「一応、衛星軌道上からのピンポイント狙撃はできるようにはしてあります。それに皆様と志を同じにする躯屡聖堕チームの方々が、“一人立つ”の精神で動かれています。国内の護衛は4大ガンシップの方に任せてくれとの事ですよ。」
ミスターT「本当に頭が下がるわ・・・。」
ほぼ単騎で戦えるほどの実力を持ちながらも、志は俺達と唯一不二の様相を抱いている彼ら。本当に脱帽するしかない。
前にも言ったが、躯屡聖堕チームの根底概念は揺ぎ無いものだ。また大企業連合に所属する社員全員も同じだ。実際に最前線で世上の悲惨さを目の当たりにしてきた。それにより、少しでも現状を変革しようと集い合ったのがここである。
力とは使ってこそ真価を発揮する。しかし一歩間違えばマイナス面へ引き込まれかねない。そこを間違えないように進むのが、お互いを戒めてくれる存在であろう。俺達も常日頃からその姿勢を貫いてきた。
誓願へ向けての異体同心の心構え。純然たる生き様を刻むには、生半可な一念では絶対に突き進む事などできはしない。彼らの姿勢が正にそれを物語っている。だからこそ、これらの戦いには意味があるのだ。
エリシェ「それに私達が戦う事で、今まで虐げられてきた女性の方々が奮起もしだしていますよ。トラガンの面々しかり、躯屡聖堕チーム・大企業連合の面々も。」
ミスターT「レプリカ大和やレプリカ伊400では男性陣が目立っていたが、実の所は女性陣が多いという事か。」
エルシェナ「司令塔を担って頂いている方々は、エリシェ様が見込んだ一騎当千の人材ですので。それ以外でのメンバーは9割以上が女性ですし。」
何度か共闘をした躯屡聖堕チームの面々は、男性陣が多いと思っていた。しかしそれは氷山の一角に過ぎなかったようだ。実際には女性陣が多く在籍しているとの事。ここで俺達と共闘している面々も、俺や四天王以外は全員女性である。
ミスターT「・・・何時の時代も、破壊と混沌をもたらすのは野郎の業か。今の時代こそ、女性が台頭すべきだわ。」
エリシェ「ハハッ、また自己嫌悪を。ですが実際にそうだったのが確かですよね。」
ミスターT「ヘシュナやカルダオス一族がどう思っているかまでは分からん。しかし彼女も女性である以上、その深層を知った時がどうなるか気になるわ。何にせよ、ここで負けたら今以上に女性方が虐げられる。俺も罪深い野郎の中の1人だが、それだけは何としても阻止してやるわ。」
この傭兵軍団の雰囲気を見ると、女性を慰めの道具にしか思っていないのが分かる。身内の女性陣を見る目が明らかに違う。それはヘシュナやカルダオス一族を除く、敵対する勢力の最もたるものだろう。
近場にいるトラガンの女性メンバーに集中攻撃が向けられる。その彼女を背後から持ち上げ空中に放り投げた。そこに俺と傍らにいたミツキと一緒にクローズラインを傭兵軍団に放つ。空中に放り投げた女性メンバーは、背後にいたミュセナが見事にキャッチしている。
ミスターT「このカスどもめ・・・。」
ミツキ「むふふっ♪ Tちゃんが女性の視点に立ってるわぅね!」
怒りが沸々と湧き上がってくる。その怒りを出せずに苦しんでいるのが女性陣だろう。数々の愚弄や陵辱も、反撃や言葉を挙げられずに苦しんでいた。痴漢など以ての外だ。しかし過去にミツキに言われた事がある。女性とは目の前の右往左往には動じず、遥か先の物事を見定めていると。野郎だけだ、目の前の右往左往に動じているのは。
シルフィア「まあ君の怒りの部分は分からないでもないけど。」
シューム「フフッ、良いではないですか。上辺では色々と色目使いの彼も、深層一念だとこの様相になるのですから。私は昔、女に生まれて後悔した事がありました。ですが今はその女に生まれて幸せだと痛感します。こうしてT君に労われる幸せを。」
スミエ「遠縁冥利に尽きます。彼が皆様のお役に立てる事自体が誉れ高いですよ。」
迫り来る傭兵軍団の首根っこを掴み、そのまま豪快に地面へと叩き付ける。スミエもプロレス技が使えるとは驚きだが、そこに明確な怒りが込められているのは確かだ。
ミスターT「エリシェが発案した、性転換してのトラガン潜入捜査が功を奏した形だわ。暫くの間、女性の目線に立って物事を見続けて来た。その集大成が今なのだろうな。」
ナツミYU「逆に、今度は私達が男性目線に立つ必要もありそうですね。」
シューム「性転換の逆バージョンかぁ・・・それはそれは。」
逆の事は考えていなかったようで、その話を聞いたシュームがエラいニヤケ顔になっている。また他の女性陣も同じくニヤケ顔になっていた。深層は分からないが、未知の体験をしたいという現われだろう。俺からすれば遣る瀬無い気分だが・・・。
ミツキ「わたが性転換したら、やんちゃ坊主まっしぐらわぅね!」
ナツミA「ゲームは最終幻想6の野生児そのものかもね。」
ミツキ「がぅがぅ! やったるがぅー!」
・・・この美丈夫達のネタの発想には、意表を突かれるのは言うまでもない。当然笑ってしまうのも術中にハマっている証拠だろう。本当に素晴らしい女傑だわ。
ミスターT「全部終わらせて、全員して数週間はハワイ辺りでバカンスをしたいものだわ。」
エリシェ「以前も仰っていましたね。まあそれは全てが終わってからにしましょう。色々と考えてありますので。」
ミツキ「食っちゃ飲んで寝ての繰り返しわぅ! 俺たちゃ山賊わぅぜぇー!」
ミスターT「・・・全部が終わったらな。」
大パーティーに大歓喜のミツキ。今まで以上に暴れ出す姿は、本当に暴走機関車としか思えてならない。しかしその力が自分達に内在しているものだとすれば、彼女の力の淵源は非常に些細な野望が活力になっているのだろうな。俺達も彼女の様な姿勢を貫きたいものである。
第4話・4へ続く。




