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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第2部・激闘と死闘
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第4話 大規模襲撃1(キャラ名版)

 ケルマディック海溝から浮上した宇宙船。某アニメは神聖大要塞“赤い円盤”を彷彿とさせる、カルダオス一族の宇宙船である。その頭領はヘシュナらしい。


 しかしミュティナ達やルビナが呆れるほどの猪突猛進で、その考えは完全に戦闘種族と言うしかない。悪く言えば、要らぬ火種を撒き散らすトラブルメーカーである。


 それでも彼女達が言うには、まだヘシュナは悪道ではないとの事だ。後は俺達次第で変化していくだろう。周りは俺が彼女を説得できると言うが・・・。


 ともあれ、今はあの宇宙船がハワイなどを回っている。今後どういった行動をするのか、静かに待ち続けるしかない。




 ヘシュナと対峙してから数週間後。日本の防衛をレプリカ大和とレプリカ伊400、そして各軍団に任せた。超レプリカ大和と超レプリカ伊400は、東京湾より南の海上で鎮座中だ。あまりにもの巨大さで“今は”港に入れないのもあるが、その兵装で日本全土を防衛できるために遠方を待機場所として選んだのだ。


 今は地元の喫茶店で有事に備えて牙を研ぎ澄ませている。有事は各種移動手段で行動をする事になるが、最悪は転送装置による移動との事だ。確かに最短で目的地に向かう事ができる。あまり多用はしたくないが、力があるなら使ってこそのものだわな。


ミスターT「はぁ・・・日常が恋しい・・・。」

ルビナ「ハハッ、戦々恐々状態ですからね。」


 厨房でお客さんのオーダーを作る。ウェイトレスはルビナが担当している。カウンターにはミュティナが色々な機器を使って情報収集に明け暮れていた。彼女の真骨頂はこうした機器群強さにあるとの事だ。


ミスターT「ヘシュナ自身を敵視したくはないが、最悪は直接対決しかなくなるか。」

ルビナ「ですね。まあテクノロジーのレベルでは私達は勝てません。しかしいくら宇宙戦闘種族と言われるカルダオス一族も、私達と比較しての種族自体の戦闘力だと話になりませんが。」

ミスターT「何処がどう逆転しているのか分からんわな・・・。」


 本当にそう思う。テクノロジーのレベルだとカルダオス一族が群を抜いているそうだが、種族のレベルだと遥かに低いとの事だ。それでも地球人からすれば逸脱した戦闘力なのは言うまでもない。


ミュティナ「正直な所、直接対決なら殴り飛ばすだけで完全に勝てますよ。」

ミスターT「・・・お前達の怪力の前には誰も勝てんわな・・・。」

ルビナ「本当にそう思います・・・。」


 ルビナして脱帽状態の様相。ギガンテス一族の単体戦闘力は超絶的としか言い様がない。軽くボヤキを入れると、不気味なまでにニヤケ顔になるミュティナ。最近こうした人間らしい言動ができるようになってきたわ。


ミスターT「超能力の部分ではルビナの方が強いんだろ?」

ミュティナ「それは無論・・・。」

ルビナ「私達はミュティナ様方の様な怪力とタフネス振りは無理ですが、超能力による力で補っている形になりますね。」

ミスターT「外見に騙されるクチだわな・・・。」


 ミュティナの背丈はミツキに近い様な小柄である。対してルビナは9女傑のメルデュラ達と同じ様な巨女である。それでいて力の出具合が真逆となっているのには、ただただ驚くしかない。


ミスターT「・・・となると、ヘシュナはやはり精神的力が強いと取るべきか。」

ルビナ「やはり見抜かれてましたか。」


 推測の域での答えを語ると、見事だと称えてくるルビナ。作業中のミュティナもウンウン頷いている。となると、この3大宇宙種族は1人の生命体から3つに分かれた形になるのか。ミツキ・ナツミA・シルフィアが三位一体な感じと同じだろう。


ルビナ「相手の精神を乗っ取る事は容易にできます。マインドコントロールと言いますか。まあ彼女自身はその表現を大変嫌っていますし。」

ミスターT「なるほど、絶対悪ではない証拠はそこにも出てくるか。」


 本当に悪人であるなら、力があるなら何でも使うのが筋だろう。カルダオス一族が相手の精神を乗っ取る事ができるなら、それを用いた方が遥かに有利に事が運べる。それをヘシュナ自身が相当嫌っている事から、それ以外の実力で動いている形になるか。


ミスターT「ギガンテス一族は物理力勝負で、ドラゴンハート一族は魔法力勝負かな。」

ミュティナ「そんな感じでしょう。むしろカルダオス一族は技術力勝負になるのかも。」

ルビナ「あー、確かに。単体戦闘力だと私達の足元にも及びません。しかし軽快な動きを得意としているため、数で翻弄されると厳しいものでも。」

ミスターT「へぇ・・・軽業師な訳か・・・。彼女達はオールマイティという事だな。」


 オーダーの食事を完成させ、ルビナに手渡す。それをトレイに乗せてお客さんに運んでいく。彼女達の話で、カルダオス一族の事が大体読めてきた。



 3大宇宙種族のギガンテス一族・ドラゴンハート一族・カルダオス一族。どれも一長一短の能力を持っている。しかし、その能力は人間を遥かに凌駕するものだ。


 ほぼ無限大に近い再生能力の体躯を持つギガンテス一族。自慢の超怪力と重力制御の理も合わさり、物理的パワーは完全無欠そのもの。地上であれば正に天下無双である。更に数多くの能力もある事から、実質は最強の宇宙種族に等しい。


 ギガンテス一族には一歩及ばないが、並外れた再生能力の体躯を持つドラゴンハート一族。それでも重力制御の理を得ているため、人間では有り得ない力を有している。顕著なのが物質を持ち上げ浮遊させる超能力だろう。魔法的パワーなら完全無欠だ。


 そしてカルダオス一族。まだ完全に把握し切れていないが、技術的パワーは最強という。ギガンテス一族やドラゴンハート一族をしても敵わないとの事だ。しかし種族としての能力になると最弱のようで、直接対決の場合は遠く及ばないらしい。


 この3大宇宙種族は言わば、1人の生命体が3つに分かれた形の姿と言える。どの種族も特化した能力を持っているため、決して引けを取る事がない。お互いに支え合えば、これほど最大最強と言えるものはないだろう。



 しかし、現状はカルダオス一族の様相か。技術的パワーを有していて、それでいて戦闘種族と言う事。争い事には長けていると言える。ただ直接対決が厳しいとあるから、それを超越した技術力で圧倒している。先の事変だと、ケルマディック海溝に鎮座していた宇宙船だ。


 そしてどういった因縁か分からないが、ギガンテス一族とドラゴンハート一族とは犬猿の仲に近い様子。ヘシュナ自身の問題だろうが、ミュティナ達やルビナを見るなり怒りに満ちた様相を醸し出していた。相当な因縁があると思える。


 この事から、今後の流れは大体推測できる。ギガンテス一族とドラゴンハート一族が地球上での好待遇を考えれば、こちらを好く思わない連中に加担するのは間違いない。例の無人兵器群を送り出してきている未知の軍勢だ。


 最悪の場合、3大宇宙種族をも巻き込んだ争いになるだろう。その時、地球人はどういった対応を取るのか。まあ確実に言えるのは、俺自身はギガンテス一族とドラゴンハート一族に加勢するという事だ。これだけは断言する。



ミュティナ「・・・本当に申し訳ありません。」

ミスターT「ん? ああ、心中読みか。気にするな。」


 色々な考えを巡らせていると、心中を察したミュティナが謝罪してくる。それにルビナも同じく申し訳なさそうな表情を浮かべていた。この場合は一蓮托生でもあるのに、彼女達は自分達が原因であると思っているようだ。


ミスターT「遠縁のスミエが守り抜いた一族だ、そのお前達を同じ遠縁の俺が守らないでどうする。これは俺の宿命そのもの。だからこそ使命に変える必要がある。」

ルビナ「しかし、実際に苦痛を与えてしまっているのは確かですよ。」

ミスターT「先日スミエが言っていた事を覚えているか?」

ミュティナ「苦節を糧として喰らい尽くし進むのが警護者の使命、ですか。」

ミスターT「正にそれだ。そこに帰結するなら、これらの流れには全て意味がある。今は辛いが、必ず打開していく。それが人生というものだよ。」


 休憩していたシュームが2階から降りて来た。その彼女に厨房を任せ、俺はカウンターに座り一服する。警護者の道は順風満帆ではない。波乱万丈に満ちた修羅の道そのもの。ただこの苦痛も全て己の糧になるのだと、自然と把握していくしかないのが実状である。


ミスターT「シュームさんや。灯台下暗し、は当てはまってるか?」

シューム「んー、大体合ってると思うわ。ミュティナちゃんやルビナちゃんは、遥か大宇宙を旅して来た。それにより広い視野で大局的に物事を見定めている。しかしそれが仇になって、直下が見れない時もある。」

ミスターT「だな。スミエが生き様のそれは、目の前の壁を1つずつ乗り越えてこそのもの。だから灯台下暗しには至り難い。お前達とは完全に真逆の生き様と言える。」


 2大宇宙種族たる彼女達は、物事を全て大局的に見定めている。計り知れない超寿命の中を生きるため、目の前を見る機会が非常に少ないのだ。いや、見ていても見落としている可能性も十分ある。それが今の彼女達であろう。


シューム「一歩一歩前に進んでこその人生。それが当たり前にできる事自体が何よりの幸せよね。それを根底から覆そうとしているのが連中。ヘシュナちゃんは誤った生き様をしているけど、根幹は曲がっていないと思うわ。」

ミスターT「初対面の人物を直感と洞察力で見定めるシュームが言うんだ、間違いないわ。同志のナツミYUですら成し得ない業物だしな。」


 シュームはヘシュナ自身を巨大ホログラムでしか姿を見ていない。しかし流石は千里眼を持つ女傑である。その一挙手一投足で彼女の内在する力を見事に読んでいた。これはシュームでしかできない技だろう。


シューム「彼女は損をしているわよ。いや、カルダオス一族自体がそうなのかも知れない。貴方達を敵視する部分は分からないけど、間違った生き様なのは明白ね。しかし、ヘシュナちゃんは一族に変革をもたらす人物になるのかも知れないけど。」

ミスターT「意固地に固まった部分を壊す存在、か。」

シューム「そう。まあその切っ掛けは君が挑んでこそだろうけどね。」


 相手の頑なな心情を和らげるのを得意としている自分。それを見抜いているシュームが太鼓判を押してくれた。最後は対話という殴り合いでしか解決ができない。今までもその流れで進み続けてきた。否、警護者自体がそのクチだろう。


    第4話・2へ続く。

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