第2話 深海調査依頼3(キャラ名版)
ミスターT「う~む、ナツミYUに押し付けられた形だわな。」
メルア「まあそう仰らずに。」
粗方の雑務を終えて総合職員室に戻る。中では全ての学園の校長として奔走するメルアの姿があった。しかも彼女、お腹がかなり大きい。身篭った状態での総合学園校長か・・・。これは後でナツミYUに問わねばならんな。
ミュティナL「ほむ、お腹のお子様は双子で女の子ですね。しかも臨月が近いと。」
ミスターT「は? お前、そこまで分かるのか?」
ミュティナL「私達の種族は新たな生命には敏感に反応しますよ。ほぼ透視できるぐらいに判別可能ですし。」
新たな生命に喜びを表しているミュティナ。外見はペンダント効果で変化しているが、その言動は従来の彼女そのものだ。ギガンテス一族もドラゴンハート一族も、新たな生命は大いに歓迎するという。
ミスターT「そう言えば、メルアにはターリュとミュックという双子姉妹がいたよな。」
メルア「はい。今は大学に進学しています。ただ・・・。」
ミスターT「遊び呆けている、か。」
娘達の話になると、穏やかな表情と苦悩に満ちた表情を浮かべるのは母親の特権か。これは男児の場合も当てはまるが、どちらかと言うと娘の方が苦労しそうだ。またメルアのその表情を見ると、そこにシュームがいるかの様な感じになる。
メルア「それでも、ナツミYU先輩が仰る通りですよ。」
ミスターT「己が使命を全うせよ、だな。」
メルア「ええ、その通りで。まあ殆どが流れるままに進むしかありませんけど。」
ミュティナL「暗中模索が世の常ですからね。」
清涼菓子をガリガリしながら思う。メルアは警護者ではないが、相当の肝っ玉が据わった女傑の1人だ。しかもその度合いはかなりのものである。ナツミYUが全権を彼女に委ねた理由も痛感できる。しかし・・・メルアは身重の状態なのによくぞまあ・・・。
ミスターT「臨月になったら、どうするんだ?」
メルア「教え子の何人かが臨時で担ってくれます。ナツミYU先輩は忙しそうですし。」
ミスターT「いや、その場合は俺からしっかり言う。大事な後輩のメルアが産休で休むなら、己の責務を全うしろと。彼女も双子の母親だ、そのぐらいは弁えると確信している。」
確かに警護者の役割は大切だが、後輩のメルアが産休で離脱するなら話は別だ。足元を磐石にしないと、そこから全ての綻びが生じてくる。
ミュティナL「母に相談してみましょうか? 何も諸々の指揮は宇宙船で行う事はありませんし。それに不動明王の如く鎮座する父もいますから。」
ミスターT「う~む・・・それで良いのか俺には分からんが・・・。」
この場合は代理を出せば済むという事ではなくなりそうだが・・・。しかし実際は不測の事態というのが存在する。それらに柔軟に対応してこそ全てが成り立ってくるしな。それに先のエリシェ事変で敵側の動きも活発になっている。ナツミYUの手腕が離脱するのは正直痛い。
ミスターT「・・・分かった、そのプランで済むなら済ませよう。とにかく今はメルアの母親たる責務を全うすべきだわ。」
メルア「大丈夫ですよ。こう見えても双子のじゃじゃ馬娘を生んでいる身。そう簡単には負けませんから。」
ミスターT「・・・お前さん、シュームに似てるわ。」
自分を見縊るなと笑顔で語る。親は子供で変わると言うが、この場合は逆のパターンだろう。
シュームはじゃじゃ馬娘たるリュリアの子育てで、あそこまでの肝っ玉母さんに至った。メルアもターリュとミュックという双子のじゃじゃ馬娘の子育てで、ここまでの肝っ玉母さんに至ったのだろうな。しかもシュームと違うのは、メルアの方は双子だ。心労の種も倍以上である。
ナツミツキ姉妹や四天王は孤児だという事だが、それを物ともしない様相は見事である。それだけ育ててくれた孤児院の方々が素晴らしかったという現れだ。子供は育てられた環境で激変していくしな。
メルアは第2の正念場を迎えている感じだ。新たに生まれ来る双子の娘の母親として、己の責務を十二分に全うして貰いたいものである。
シューム「おけり~。」
ミスターT「ただいま・・・って、殆どフルメンバー・・・。」
今日の雑務を終えて、ミュティナと共に喫茶店に戻った。店内に入ると一際賑やかなのに驚いた。凄腕の警護者の面々が勢揃いしていた。しかもエルシェナ率いるトラガンの精鋭中の精鋭も一緒だ。俺を見るなり会釈してくる。
ミスターT「ナツミYUも一緒か。少々尋ねたい事が・・・。」
ナツミYU「あー・・・メルアさんの事ですね。彼女自身が担いたいと仰ったのですよ。確かに重荷の手前、無理強いはさせたくありませんでした。しかし・・・。」
ミスターT「・・・なるほど、ターリュとミュックの気質か。」
カウンターに座るも、煙草を吸わず清涼菓子をガリガリかじる。先刻のメルアの重荷の部分をナツミYUに問い質そうとした。しかしこちらの内情を直ぐに読まれ、その経緯を詳しく語り出す。そして何故その生き様を貫いているかを痛感させられた。
ミスターT「う~む・・・双子に当てられた感じか。」
ナツミYU「ですです。以前の彼女は無理無茶をしない生き様でしたが、双子が生まれてからは激変されまして。どの様な状況であれ、己の責務を全うしだしたのです。」
シューム「なるほどねぇ、ターリュちゃんとミュックちゃんがメルアさんを変えた訳ね。」
ナツミYU「間違いなくそうですね。」
実際に双子とは会っていないから分からない。しかし、あそこまで肝っ玉が据わった母親を変革さたのだ。その力強さは否が応でも認識させられる。実際にここに良い例があるしな。
シューム「へぇ~・・・そうよねぇ、私もリュリアに影響受けたクチだしねぇ・・・。」
ミスターT「・・・すまん。」
シューム「フフッ、冗談よ。でも両親は子供から多大な影響を受けるからね。外部では子供が両親の影響を受けると言うけど、この場合は間違いなく相互に影響し合っている。」
ナツミYU「育児と言うのはそれだけ大変なのですよ。」
カウンターに座るシュームとナツミYUが同時に一服しだす。そして同時に深い溜め息を付く所に、子供は大変だと言動で示していた。ただそれが苦悩であれど、苦痛ではないというのは俺でも分かる。
シューム「そうね、苦痛と思っては子供に失礼よね。」
ミスターT「あら、見事な読み。」
ナツミYU「貴方の事ですから、私達の言動で察知されたのだと思います。」
シューム「それでも・・・この生き様が好きなのよ。でなければ貫く事などできやしないわ。」
メルアもそうだったが、この2人も自然と笑みを浮かべだす。つまり自分を見縊るなという雰囲気だ。それにメルアと違うのは、シュームもナツミYUも凄腕の警護者である。メルアには失礼だが、2人の方が格が違うのだ。
デュリシラ「子供は親で変わる、親も子供で変わる。それが生きるという事。家族を得るという事は凄い事なのですよ。」
何時の間にか厨房で作業をする彼女。デュリシラもデュシアEとデュシアLという双子の兄妹の母親だ。メルア・シューム・ナツミYUの心情は手に取るように分かるのだろうな。
デュリシラ「ただ1つだけ怖いのは、私達の生き様への足枷にならないかですが・・・。」
ミスターT「以前言ってたな。警護者には要らぬ足枷は付けたくないと。その最もたるものが、大切な存在とも。」
デュリシラ「はい。明日がどうなるか分からない身、子供達には不幸な目には遭わせたくないのが本音です。しかし、この警護者の生き様も貫きたいのも本音で。」
ナツミYU「複雑な心境ですよね・・・。」
シューム「幸か不幸かは紙一重、か・・・。」
この3人の母親は、子供達という家族で悩んでいるのだろう。警護者という殺伐とした世界を生きる手前、何時何処で倒れるか分からない。それに人質にされる怖れも十分ある。警護者が独り身を貫くのは、正にこれへの最低限の対処だろうな。
警護者の厳しさに思い耽る。直後、俺達の身体が少し浮かぶではないか。それに驚くも、近場では食器類を洗うルビナの姿があった。彼女の超能力の力である。しかも彼女、何食わぬ顔で俺達を浮かせているのだ。
ルビナ「確かに今までは、その概念は死活問題だったのでしょう。しかし、私達がいる限り絶対に不幸なんかにはさせませんよ。ありとあらゆる力を駆使してでも、皆様方を守り通します。ナッツ様の名言しかりです。」
ミュティナL「ですね。」
ルビナの超能力の力が終わった頃、カウンターに座るシュームとナツミYUの襟元を摘むように掴むミュティナL。そのまま何気なく持ち上げるのだから恐ろしい。ホンの少しの力で持ち上げている感じだ。
ミュティナL「力は使ってこそ真価を発揮する、以前お兄様が仰っていました。確かに地球上の力を覆す様相になりますが、それで救われる方がいるなら安いものですよ。」
ルビナ「それに、私達はスミエ様に大変お世話になりました。全ての苦悩や苦痛を、矢面立って受けられていた。私達の一族はスミエ様あっての今の様相なのです。」
ミュティナL「受けた恩には報恩で返す、この一念も地球人と全く変わりませんよ。ルビナお姉様も根幹の生き様に至りますから。」
先程のメルア・シューム・ナツミYUが自然体で現していた、自分を見縊るなという部分。それを今度はルビナとミュティナが超越した力を以て表現している。
ミスターT「・・・分かった、悩む事自体失礼だわな。」
ルビナ「いえ、悩み自体は良いのです。問題はそれで周りに迷惑を掛けるか否かで。」
ミスターT「メルアが実践している“我武者羅に突き進め”、これしかない訳だな。」
ルビナ「諸々の悩みは後々考えましょう。今はとにかく先に進む事のみ考えるべきです。」
ミスターT「そうだな。」
本来は自分達で解決しなければいけない事を、偉大な地球外生命体のルビナやミュティナに諭された。しかしそれだけ彼女達が数多く辿ってきた道であるのは間違いない。そして彼女達を支えるに至ったのが、遠い祖母たるスミエであるのには驚くしかないが。
となると、スミエはたった1人で突き進んできたのだろう。地球上での活動は何とかなるかと思うが、ギガンテス一族やドラゴンハート一族をも守り続けたのだ。どれだけの苦節を経たのか想像すらできない。
それでも、その結果がルビナとミュティナ達だな。彼女達が無事誕生した事自体、スミエが勝ち切った何よりの実証である。恩師シルフィアもそうだが、その師匠たるスミエも本当に偉大な女傑だわ。
第2話・4へ続く。




