第2話 深海調査依頼2(キャラ名版)
ミスターT「本来なら、エリシェの元に居たいのが本音だろう?」
ミュティナL「あ・・・ま・・まあ・・・。」
今はナツミYUが開学に一役買った総合学園にいる。教師免許を持っていない以上、教鞭を握る事はできない。その事を副校長のメルアは既に知っており、雑用係として動いて欲しいと述べてきた。言わば主事さんである。
ミスターT「あの事変は俺にも非がある。最初からバリアやシールドを張っていれば、何の問題もなかった。むしろお前の決意を知れず、逆に苦しめるに至ってしまって申し訳ない。」
ミュティナL「そ・・そんな、お兄様は全く悪くありません。」
ミスターT「それにエリシェ自身は問題なかった。と言うかあの銃弾、あれは特殊仕様だったのよ。彼女自身は拳銃程度の銃弾なら弾く衣服を身に着けていた。しかしそれを貫通する程の威力だった。逆を言えば彼女だけで済んだのは本当に幸運だと思う。」
サンプルとして、当時の銃弾の検証結果が出た資料を見せる。それを見たミュティナは驚愕した。そこに使われていたテクノロジーはギガンテス一族のも含まれていたからだ。
ミスターT「言っておくが、お前達のテクノロジーが使われていた部分には負い目を感じるなよ。それを使った奴等に非がある。それにあの依頼は当初からどうも信用ならなかった。ただ結果として、エリシェ自身の負傷を除けば一段と結束力と団結力が備わったしな。災い転じて福と成す、正にこれだよ。」
落ち込んでいるミュティナの頭を優しく撫でる。と言うか体躯変換をしているため、今はナツミYUに近い長身だ。幾分か撫で辛い状態ではあるが。
ミスターT「エリシェも言ってたが、詫びは行動で返せ。これで行くべ。今度は同じ失態は絶対に起こさない気概でな。」
ミュティナL「はい・・・。」
ミスターT「まあ何だ、この特殊ペンダントがそれを許さないだろうけど。」
ここに来る前に預かったペンダントが2つある。任意的範囲拡大縮小可能バリア発生装置と、敵味方識別可能バリア発生装置。まあ俺にはとてもじゃないが理解できない代物だが、これがあればエリシェ事変は絶対に起こらないわ。そのためのキラー要素だしな。
ミスターT「しかしまあ・・・これで6つのペンダントか・・・。」
ミュティナL「重力制御ペンダント・バリアペンダント・性転換ペンダント・超能力ペンダント、そして今仰られた2つと。」
ミスターT「本来なら有ってはならない得物だろうが、これで助かる人がいるなら使うべきだな。」
胸に6つものペンダントをぶら下げているため、何か変なパンク的ファッションのようだ。しかし地球上では作れない傑作なため、その輝きはダイヤモンド以上のものである。
ミスターT「なーに、大丈夫さ。俺達がいれば不測の事態をも喰らい尽くしてやるわ。」
ミュティナL「ですね。」
最後の最後で漸く彼女の表情に笑顔が戻りだした。元来から明るい性格なため、直ぐに戻ったのだろう。と言うか先程挙げていたエリシェ事変は本当に不測の事態だったしな。今後は絶対に同じ事は起こさせないわ。
会話しつつ雑用を繰り返す。主事という事で周辺のゴミ拾いや清掃が多く、教師の方々にお願いされた事をこなして回った。本当に雑用である。
しかしこれは1年前に喫茶店で行っていた、初期の頃の警護者の依頼に非常に似ている。言わば万屋である。まあこうしたコツコツと地道な行動を積み重ねる事にこそ意味はある。
躯屡聖堕チームも暴走族が発端で、その後は悔い改めて万屋家業で今の流れに至っている。仕舞いには名実共に最強クラスのボランティアチーム、躯屡聖堕フリーランスにまで至るのだから恐ろしい。人は何処でどう化けるのか分からないものだわ。
何にせよ、物事の出だしは順風満帆ではない。波乱万丈の流れが相応しいだろう。そこから這い上がり力を掴む、それが生き様なのだから。
女子学生「ありがとう、ミュナ先生!」
サッカーボール格納カートが転倒してしまい、起こすのに悪戦苦闘する女子学生さん達。そこで活躍するはミュティナだ。自慢の怪力を生かし、簡単にカートを元に戻すのだ。その間に俺は散乱したサッカーボールを彼女達と一緒に回収している。
礼を述べると、カートを引いてグラウンドへと向かう女子学生さん達。一区切り付こうと懐から煙草セットを出すが、ここは学園なので思い留まった。ミツキから分けて貰っている清涼菓子で我慢するしかない・・・。
ミュティナL「先生ですか・・・悪くない感じです。」
ミスターT「お前はミュティラやミュティヌと違い、頭を使う方が向いているしな。案外、教師の方が合うのかも知れないわ。」
清涼菓子をガリガリと食しながら一服する。自分はアメ玉を舐め続けるのではなく、砕く方が非常に多い。この清涼菓子も同じ感じである。その中で思うのが、ミュティナは教師に向いているというものだ。
ミュティナL「実は父も母もギガンテス一族としては教師の位置付けなのです。」
ミスターT「ほぉ、それは初耳だわ。」
ミュティナL「ただし、私達には教員免許という概念がありません。言わば過去の一族から受け継がれる歴史などを語るという類ですが。」
ミスターT「それでも十分だと思うが。何から何まで免許免許とする地球人に問題があるしな。まあ責任問題の部分から、この免許云々の概念が出たのだろうけど。」
殆ど当たっているだろう。責任の問題と知識の問題で各種免許が必要になったのだと思う。顕著なのがバイクの免許だ。自転車が乗れれば免許など要らない感じがするが・・・。ただ公道を走る以上、法規に則る必要はある。そのための学びの免許でもあろう。
ミスターT「まあ何だ、お前の生き様からすれば何でもできるわな。常に学ぼうとする姿勢は、俺も見習わなければならない。」
ミュティナL「以前はいい加減な感じだったのですけどね。ですが皆様の、特にお兄様の生き様に感化させられ今に至った感じです。」
ミスターT「変革とは、己が強く思い実践する事で変わっていく。まあ外的要因はあるだろうが、最後は己自身に帰結するからな。ミュティナが変わりたいと思って動いた結果だの。」
人一倍向上心が強いミュティナの事、常に学ぼうとする姿勢は全く失われていない。むしろ約1年前よりも強くなった感じか。やはり思うが、人は外的要因より自身の一念次第で全て変わってくる。俺も精進し続けねばな。
しかしこの総合学園は変わっている。小学校・中学校は共学だが、高校だけは女子高という流れなのだ。大学は再び共学になっている。どうやらこの地域の全学校を1つに纏めたのがナツミYUらしい。
ちなみに女子高とは言うが、男女の割合は1対9になる。決して男子禁制の花園ではない。まあ女子高の学年だけは、明らかに女性の力の方が強い。まるでナツミYUの生き様がそこにあるかのようである。
どうもこの女子高はかなりレベルが高く、共学にしたが編入してくる男子学生は少ないとの事だ。それでもいるにはいるが、相当のレベルがないと入れないらしい。俺の学力程度なら、正に高嶺の花になるわな。
第2話・3へ続く。




