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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第2部・激闘と死闘
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第1話 高々度襲撃2(キャラ名版)

 2日後、羽田空港へと赴いた。と言うか、恐怖の何ものでもない。目の前に鎮座しているのは、かつてナツミYU達と共にアメリカに赴いた際に使った巨大ジャンボジェット機だ。


 ただこれは後方からの支援用で、護衛対象は後に空で合流する複数のジャンボジェット機を用いるという。ここはその手のプロに任せるしかない。


 にしても、大空は本当に勘弁して貰いたい・・・。これ程の恐怖など他にないわな・・・。しかし今回の依頼が今後を左右する事から、ここは何が何でも赴かなければならない。


 俺達を空輸するのなら気絶でも良いだろうが、今回は高々度での護衛というのが何とも。もはや警護者の範疇を超えている・・・。


エルシェナ「あら・・・こんにちは、“ミスT”様。」

ミスターT「あ・・ああ・・・よろしく頼むよ・・・。」


 巨大ジャンボ近くに向かうと、エルシェナ率いるトラガンの精鋭が待っていた。今回は彼女達と一緒のようだ。案の定、茶化しの一言が加えられる。が・・・今はそれ所ではない。


エルシェナ「ど・・・どうなされたので?」

ビアリナ「実はマスターは空が大の苦手でして。」

エルシェナ「へ・・へぇ・・・。」


 俺の意外な側面を見たのか、エルシェナ達はエラい呆れ顔になっている。しかし俺の怖がり方が度を過ぎている事から、逆に心配になってきているようだ。


エリシェ「先日も拒否気味だったのですが、今回の依頼の重要度が気になる様子で。」

ミスターT「はぁ・・・何とでも言ってくれ・・・。」


 ふら付きながらも巨大ジャンボに搭乗しようとすると、颯爽と両脇を抱えてくれるビアリナとエリシェ。何だかんだ言うものの、しっかり支えてくれるのは本当に有難い。しかし俺の自重が相当なもので、支えるのに苦労しているのが表情で分かる。


 海上時の依頼の際のふら付きは、力の出せる加減を熟知しているミツキやナツミAが支えてくれた。よってホンの最低限の力で支えるだけで良い。だがビアリナもエリシェもその感覚は全く理解できていないようだ。それがこの表情だろう。何だか申し訳なくなってきた。


 ふら付く身体に鞭を打って、両脇の2人を一気に肩に担ぐ。突然の行動に驚愕するのだが、直ぐに大人しくなるのは通例なのか。ちなみに俺はナツミツキ姉妹に力の出せる加減の触りを伝授して貰った。完全には出せないが、ある程度の力なら出せる。


 そう言えば以前、ナツミYUやシュームは俺の何気ない行動でも嬉しがるという。それはビアリナとエリシェも同じ様で、一瞬にして大人しくなったのは正にこれだろう。2人を肩に担いだまま、巨大ジャンボに乗り込む事にした。


 当然ながら、タラップ先の搭乗口は狭い。そこは2人を降ろして搭乗した。もしそのままなら、外面にぶつかってしまうのは言うまでもない。




 安定感だけは大したものである。離陸を開始して大空に飛び上がるも、この区画だけは地表と水平に維持できる特殊な装置を用いているのだとか。俺が航空機を苦手としている事から、かなり前に特設したものらしい。


 まあそれ以外にも重要物資を不安定にさせる事なく空輸する目的もある。まさかその部分に俺自身が恩恵に肖るとは何とも言い難い・・・。


ミスターT「・・・ビアリナさ。今更ながら、何でお前もいるんだ?」

ビアリナ「ああ、ハリアーⅡの件ですか。この機体の後方格納庫に搭載してあります。」

エリシェ「通常のジャンボジェット機の3倍近い機体なので、戦車などの重量級車両でも問題なく搭載できますよ。」

ミスターT「はぁ・・・。」


 何ともまあ・・・。確かにこの巨大ジャンボのサイズは、通常のジャンボの3倍以上の規模を誇っている。先程の羽田空港の滑走路もギリギリ着陸できるぐらいのものだったが。その機内格納庫にまさかハリアーⅡを搭載できるとは・・・。


エリシェ「あと以前仰っていたプランも実現しました。レプリカ伊400の密閉棟にハリアーⅡを2機搭載できました。この場合はハリアーⅡ改になりますが。」

ミスターT「やりおるわ・・・。それに改と言ったが、胴体は入るとして翼が格納できない。上手い具合に折り畳めるようにしたんだろうな。」

エリシェ「その通りで。またレプリカ大和には5機のハリアーⅡ改を搭載しました。こちらも同じ様に改良を加えたものです。」

ミスターT「なるほど。有事の戦闘力に関しては問題なし、か。」


 第2次大戦時の遺物たるレプリカ大和とレプリカ伊400。それに現行兵器のハリアーⅡを搭載する部分は見事なものだ。しかも搭載し易いように改良を加えた特殊仕様のようである。特にレプリカ伊400にハリアーⅡ改を搭載する意味は非常に大きい。


エリシェ「一応ですが、この作戦時の近海ではレプリカ伊400が警備に就いています。従来の原潜をも凌ぐスペックを持つに至ったので、地球上のどの海域にも赴けますよ。」

ミスターT「帰りはレプリカ伊400で戻るわ・・・。」

ビアリナ「は・・はぁ・・・。」


 これ朗報との感じで応えると、呆れ顔になる女性陣。それだけこの大空は本当に苦手だ。問題はどうやって高々度から海面に降りるかだが・・・。


エリシェ「と言うか・・・レプリカ伊400は苦手の1つの海ですよ?」

ミスターT「遺物自体に乗れる興奮度の方が強いからねぇ。レプリカ大和での洋上生活時も苦ではなかったよ。」

ビアリナ「何というかまあ・・・。」


 そんなに空と水が苦手なのかと、一段と呆れ顔になる彼女達。確かに水の方も苦手だ。しかし先も言った通り、遺物に乗れる事でほぼ相殺できている。対して空の方はどうしようもないぐらい怖いしな・・・。もしも、Ta152Hでもあれば別だが・・・。


エリシェ「フフッ、心中を読めましたよ。しっかり対策もしてます。」

ミスターT「はぁ? ・・・まさか、ここにTa152Hもあるのか?!」

エリシェ「レプリカですが、特注品の改良版を搭載しています。まあ実際に乗られるかまでは不明だったので。」

ミスターT「戦闘機のライセンスでも取っておけば良かったわ・・・。」


 俺の表情が一変した部分にも呆れ顔になっている面々。しかし同時に空への恐怖度が薄らいでいるのも分かったようで、幾分か落ち着いた雰囲気が感じられる。


ビアリナ「・・・共に乗れば操縦は可能ですけど?」

ミスターT「無理だろ、あの狭いコクピットでは。」

ビアリナ「いえ・・・貴方の膝に座れば容易で・・・。」


 エラい赤面のビアリナ。しかし語る内容に非常に魅力を感じずにはいられない。ただ相当窮屈なフライトになりそうだが・・・。


エリシェ「へぇ・・・私もライセンス取りますかね・・・。」

ミスターT「はぁ・・・。」


 そしてエリシェにより見事な殺気に満ちた目線で睨まれた。完全にヤキモチである。それでも遺物たるレプリカTa152Hに乗れるのは本当に嬉しい。レプリカ大和やレプリカ伊400には、ただ乗るだけで済んだ。しかし戦闘機たるレプリカTa152Hはライセンスがないと乗るのは厳しい。


エリシェ「まあでも、貴方が空に対して苦しまなければ良いですよ。見ているこちらも心苦しくなりますし。」

ビアリナ「本当にそう思います。」

ミスターT「そんなに悲惨な表情しているのか・・・。」


 俺の言葉にウンウン頷く女性陣。相当強烈なようで、その恐怖度が薄らぐ部分には賛成してくれているようだ。


ミスターT「まあダンデム搭乗はまだしも、俺も空でも役に立つなら申し分ない。そのためなら全ての力を使ってやるわ。」

エリシェ「フフッ、本当に頼もしいです。今回の依頼は地上とは訳が違いますから。」

ビアリナ「地上や海上なら助かる見込みはあるものの、空中となると全く変わってきますし。」


 依頼内容になると表情を曇らせるエリシェ。それだけ今回の依頼が相当厄介だという現れだ。今まで見せた事がない顔である。その彼女や周りの負担を取り除ければ、俺の存在も無駄ではない。


    第1話・3へ続く。

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