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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第14話 最終話・新たな火種4(キャラ名版)

ミスターT(ミュセナさんや、聞こえるかな?)

ミュセナ(あ、はい。何でしょう?)

ミスターT(この連中は例の軍服連中とは異なると取って良いのかね?)

ミュセナ(それが・・・分からないのです。今も人型機械兵器が出た場所のサーチをして回っているのですが、まだ出所を掴めていません。)


 ミュセナに意思の疎通による念話で話し掛ける。直ぐに応じてくれた事から、こちらの行動は読めているようだ。しかし相手の出所に関しては掴めていないようである。


ルビナ(私達の船からも地球全体にサーチを試みていますが、今の所目立ったものはありません。相手が生体兵器ではないため、超広範囲生体レーダーでの索敵ができないもありますが。)

シューム(案外、これは地球人の仕業かもね。)


 シュームの一言で一同黙ってしまう。先の軍服連中事変を考えると、十分在り得る話になる。ただそうすると、一体誰が放った刺客なのかが気になるが・・・。


スミエ(今は詮索は要りませんよ。私の時は今ほど情報網が整っていなかったため、迫り来る愚物をその都度潰して回っていました。攻撃されるなら反撃を、です。)

ミュセナ(アッハッハッ! 流石スミエ小母様ですね!)

ミスターT(はぁ・・・淑女が無邪気に・・・。)


 スミエの声を聞いたミュセナが一段と湧き上がっている。淑女を体現したかの様な彼女が、その声色はミュティヌやリュリアに近い無邪気さを醸し出している。そう言えばミュティナから伺えたが、ミュセナは幼少の頃にスミエに世話になっていたとの事だ。


ミュセナ(裏方の行動は全てお任せをば。皆様方は目の前の迫る愚物を叩き潰して下さいな。)

ミュティナ(・・・こんな母を初めて見ましたよ・・・。)

ミツキ(猫被っていたわぅね!)

ナツミA(貴方はクマの着ぐるみを被っているけどね。)

ミツキ(クマの着ぐるみでやったるわぅ!)

シルフィア(はぁ・・・賑やかでいいわねぇ。)


 相変わらずミツキのボケで爆笑してしまうのは見事なものだわ。周りの面々も笑っている。しかしどの様な戦場であれ、心のゆとりを失ってしまっては負けは確定だ。ミツキの気質は全てにおいての勝利の方程式を体現していると言って良いわな。



スミエ(Tちゃんは幸せですね。ミツキ様方の様な素晴らしい人物と巡り逢えています。警護者の世界は仲間の存在は足枷になりかねません。特に家族を持てば、人質に利用されるのが通例ですから。)

ミスターT(それを真っ向勝負で否定し、捻じ曲げるのが警護者というのがね・・・。)

スミエ(フフッ、良いではありませんか。力とは限りない勇気と希望、プラスの力が正にそれです。起爆剤とするならマイナスの力も必要となりますけど。)

ナツミYU(それ、以前お孫様から伺いましたよ。)


 本当にそう思う。俺が彼らに何度か語った内容を、スミエの口から語られた事に驚いた。いや、恐らく凄腕の警護者が必ず回帰する概念なのだろう。超絶的な戦闘力と兵器を有するがために、最終的には己自身が最大の敵に至ってくる。一歩間違えば堕落してしまうのは言うまでもない。


ミツキ(恐怖は暗黒面に通じておるのだよ。)

エリシェ(ハハッ。恐怖は怒り・怒りは憎しみ・憎しみは苦痛に通じている、でしたね。)

ミツキ(うむぬ。シメは、お前には怖れがある。これわぅね。偉大なマスターの名言わぅ。)

スミエ(某宇宙戦争のダークサイドもライトサイドも、生命に内在する善悪の象徴を言い換えたものですからね。私達の様な警護者にも重々当てはまりますし。)


 絶大な戦闘力を持つ故に、堕落した場合は超絶的な愚者となりかねない。某宇宙戦争は正義の騎士が正にそれで、ダークサイドに落ちた先が暗黒卿となるのだから。


ミスターT(正義と暗黒、か。人間の根幹の概念を表した様相だわな。)

スミエ(ですね。まあそこは各々が思った回帰先に委ねますが。)


 物凄い意味深な例えで締めるスミエ。その意味合いは今の俺にも十分理解できる。先も言ったものだが、力を持つ故に最後は己自身との対決に帰結してくる。


スミエ(それに、どちらの勢力も師弟関係は存在します。ですが悪は戒める存在が欠落している。だから悪道に陥ってしまう。Tちゃんの周りには、叱咤激励を超えた戒めをしてくれる存在が数多くいてくれる。これがどれだけ有難いか、肝に銘じておきなさいな?)

ミスターT(委細承知。腐っても伝説の警護者の遠縁だ、間違った道など絶対に進まんよ。それに周りには素晴らしい盟友達がいる。これほどまでに心強い事は他にはないわ。)


 心の底から感謝する一念、それが念話を通して全員に伝わったのだろう。彼らの表情が何時になく穏やかなのが窺えた。利他の一念、誠意ある対応。ミツキが根幹とする、敬い・労い・慈しみの精神。これが今の俺達の大切な概念である。


シューム(くぅ~・・・念話は本当に素晴らしいわねぇ~。T君の深層心理まで窺えられた。まるでその胸の中で抱かれているような感覚、一段と惚れてしまった感じよね・・・。)

エリシェ(す・・素で仰られますか・・・。)

シューム(あら、この場にいる大多数の女性陣はそうじゃないかしら?)


 シュームの念話に該当する女性陣がソワソワしい。意思の疎通・念話自体が言わば心と心の会話そのものであるからか、その深層の一念が強く伝わってくる。それだけ俺の事を想ってくれているのだ。そして同時に何が何でも彼らを守らねばならない、この一念に自然と回帰するのだから凄いものだわ。


シルフィア(そうね、T君の思った通り。どの様な流れであっても、必ず回帰できる先があるのは幸せな事よね。それができないのが人型機械兵器群を放った愚者よ。)


 何を思ったのか、十八番の携帯式重火器を地面に置く。すると今まで以上の動きで人型機械兵器に接近し、何と右手正拳突きで胸を貫通させたのだ。これには驚愕してしまう。彼女はどう考えても人間の領域を超えていない。それがギガンテス一族の様な堅固な筐体を持ちえているのか・・・。


ミツキ(ウッシッシッ♪ 正に人型機械兵器なんざ素手で、わぅ!)

ミュティナ(実はペンダントのバリア効果は外面からの物質を防ぐのと同時に、ご自身の身体の強度も増させるのです。だからと言って鋼鉄の人型機械兵器を貫けるとは限りませんが。)

ルビナ(それだけシルフィア様の技術力が素晴らしい証拠ですよね。)

スミエ(一点集中突破で撃破、ですよ。)


 弟子に負けられないと取ったのか、地面に長刀を置くと同じ様に体術で戦いだすスミエ。右腕から繰り出される正拳突きで人型機械兵器を破壊していくのだ。開いた口が塞がらないというのは、正にこの事である・・・。


ナツミA(ポチもそうだけど、シルフィアさんもスミエさんもあの力の出せる加減を熟知されていると思います。だから一点集中突破で破壊できる。しかもミュティナさんが仰るバリア効果で身体が金剛の様に堅固に至っていますし。)

ミツキ(ま・・まさか・・・体術で一掃可能わぅか?! うぉー! やったるわぅー!)


 何ともまあ、クマの着ぐるみ状態のミツキが暴走しだした。得物を地面に置くと、迫り来る人型機械兵器に向かってシャイニングウィザードを繰り出したのだ。ただその一撃で破壊は不可能だが、金属に対して肉体で殴っても痛みは訪れないようである。それを知った彼女の動きは更に増していった。


 地面にダウンした人型機械兵器にヘッドロックを放ち、強引に首元から圧し折ったのだ。これには周りの面々は驚愕するしかない。しかし感化される事も忘れないようだ。特に近場にいたナツミツキ四天王が同調し、得物を置いて体術勝負を仕掛けだしたのだ。


 そしてこの流れにトラガンの女性陣が同調しだす。彼らに修行を施されていた経緯からか、その同調性は自然的なもののようだ。まるで師匠と弟子が組むかのような様相での大乱闘に至りだしている。


ミスターT(はぁ・・・何と言うかまあ・・・。)

エリシェ(フフッ、良いじゃないですか。全てにおいて回帰できる先がある事は。)

ビアリナ(ですね。しかも私達は無力ではありません。絶大な戦闘力を誇る警護者ですし。)

ミスターT(常識の範疇を通り越した感じだがな・・・。)


 周辺への警護面が疎かになりだしたので、今度は俺や周りの面々が別棟に退避中の一般人を守る側に着いた。ナツミツキ四天王が最前線で暴れてしまっているからだ。大多数の面々が正に喧嘩大乱闘状態で人型機械兵器を破壊していく。


ミスターT(・・・悪党郡でも、最後はリスペクトし合えれば良いんだがね・・・。)

エリシェ(問題ありませんよ。先日の特殊部隊の傭兵の方々は、軍服連中側から人として扱われていなかった事に不快感を抱いていました。そこを私達が本来の人間的行動で目覚めさせていった。一見すると烏滸がましい行動ですが、誰かがその役を担わねばならないのです。それが偶々私達だったという事ですから。)

ミスターT(そうだな・・・。)


 殆どの特殊部隊の傭兵群は、軍服連中に見切りを付けて離れていった。それに俺達に感化されたのだろう、各方面で人としての生き様を根幹に活動しているという。


 本来ならあの戦いで死亡していたであろう流れが、活人技で制された事により生き延びた。当時の戦いからでは、端から見れば馬鹿げたもののようだった。しかしそれは遥か先を見越した行動である。彼らの生き様すらも変革させていく、そこに集約されているとも言えた。


 エリシェが言う通り、本当に烏滸がましいかも知れない。しかし、その役割を誰かが担わなければならないのも確かである。それが偶々俺達だったという事だ。


 それに人を助ける行動ができるのは、警護者冥利に尽きる。警護者の理はここにあると確信もしている。悪道に進まなければ、俺は何でも用いてやるわ。


    第14話・5へ続く。

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