第14話 最終話・新たな火種2(キャラ名版)
ルビナ「その思いを覆す形で大変申し訳ありませんが、私達の目が黒いうちは絶対に不幸になどさせませんよ。」
ミュティナ「そうですよ。本来なら有り得ない様相ですが、力とは使ってこそのもの。私達種族の超絶的な力を以て、目の前の大切な人を守り通ります。」
割り入って来るルビナとミュティナ。先程は挙げなかったのだが、2人とも秋葉原で有名なメイドの出で立ちをしている。小柄なミュティナはロリ系の様相だが、巨女のルビナはメイド長な感じだろうか。それでもその姿をモノにする様は凄いとしか言えない。
ミスターT「言わば死ねない警護者、か。」
ルビナ「いえ、絶対に死なせません。スミエ様があの壮絶な大戦とその後の中、私達を死に物狂いで守って頂いた。その恩を孫の貴方や縁の方々を守り通してこそ発揮できる。」
ミュティナ「以前シューム小母様が仰られましたよね。私達の時間は地球上では同じだと。しかし私達の流れからすると、10万年という途方もない長い間のものなのですよ。それがスミエ様に守って頂いた事にも繋がる。」
シューム「こちらが5年だとしても、ミュティナちゃん達にとっては5万年という事よね。」
ミュティナ「です。皆様からすれば5年の恩だとしても、私達からすれば5万年の恩になる訳で。」
ミスターT「正に人外レベルだわ。」
一服しながら思う。地球と宇宙とでの時の流れは全く違う。ミュティナ達ギガンテス一族とルビナ達ドラゴンハート一族は、地球人からすれば超絶的な時間を生き抜いてきた存在だ。それだけ長く深い生き様が刻まれていると言える。
ミスターT「・・・纏めて守り通せば済む、か。」
ナツミYU「ナッツさんの名言ですね。」
ミスターT「ああ。ビアリナもそうだが、お前達からの思いに守り通す事で応えたい。それが俺の唯一無二の生き様だ。今はそれが精一杯だわ。」
俺の力の及ぶ限りでの厳守を徹底する、それが彼女達への報恩感謝だろう。もし俺に超絶的な力が備わっているのなら、何振り構わず全力を以て守り通すのだが。人間という脆弱な種族の枷の範囲内ではこれが限界だな。
宇宙人たるミュティナやルビナの力の前に、遣る瀬無さが募る。そんな俺の心中を察したのだろう、ビアリナが俺の右手を優しく掴み胸に抱いてくれた。
シューム「そうね、ビアリナちゃんのその一念は私達の名代と取って頂戴な。」
ナツミYU「思いは時として時間と空間を超越する、ですよ。」
ミスターT「ますます以て頑張らねばな。」
目の前の女性陣に誓って思う。如何なる流れであれ、必ず乗り越えて行くと。ミツキ流の敬い・労い・慈しみの精神、そして持ちつ持たれつ投げ飛ばすの気概。それは全ての人間に内在する正に誓願そのものである。そう、自分自身の生命に誓った願いだ。
雑談をしている最中、とんでもない事が起きた。突然の爆発が起きたと思ったら、人型の機械兵器らしきものが出現。コミケの会場は一瞬にして修羅場へと変貌していく。
しかし流石はプロフェッショナル揃い踏みだ。先の爆発の規模をバリアで縮小したのは、ルビナが十八番の超能力によるものか。そこにミュティナが重力制御の理から至るバリアを放った形である。幸運な事に今現在の負傷者は誰1人としていない。
そして有事の仲間の手際の良さも一塩だ。クマの着ぐるみを着用するミツキだが、混乱している人達を迅速に近場の建物へと避難させている。西洋の騎士風の出で立ちのナツミAも一緒に行動していた。全員がバトラー風の出で立ちのナツミツキ四天王もしかり。
更に驚くはスミエだ。吸い終わったキセルを丁寧に専用のケースに仕舞うと、一変したかの様に動き出した。背中に右手を遣ると、何とそこに絶対仕舞われていない様な長さの刀を取り出し始めたではないか。それを目の前に迫る人型機械兵器に一閃し、まるでバターのように一刀両断するのである。
ミスターT「・・・格納式の刀か?」
スミエ「空間を捻じ曲げての格納手法、ギガンテス一族のテクノロジーの1つですよ。」
エリシェ「以前は同じ方法でレプリカ大和やレプリカ伊400を建造しましたよ。」
手持ちの得物で何とか対処するしかないため、背中に格納してある携帯式方天画戟を取り出し展開。それで目の前に迫る人型機械兵器を破壊していく。スミエが華麗に一刀両断するのとは異なり、俺のは力任せに叩き潰す感じだ。技量の差が見せ付けられる形だわ。
ルビナ「会場にいらっしゃった方々の安全は、ミュティナ様方と私とで守り通します。皆様は現れた兵器郡の破壊に走って下さい。」
ミスターT「有難い。だがこの流れからして重火器は使用不可能か。鈍器で叩くしかないわな。」
一応拳銃群は持参しているが、流れ弾が何処に飛んでいくか分からない。ここは肉弾戦での撃滅を行うしかなさそうだ。
ふと見ると、近場の会場には多くの来場者さんがこちらを伺っている。スマホやら携帯やらカメラで撮影しているのが何とも。ただ今の様相が演技ではなく本当の実戦だと痛感しているようで、誰もこちらに近寄っては来ない。
ちなみに会場周辺を守るはナツミツキ四天王で、迫り来る人型機械兵器を掴んで豪快に地面へと投げ付けている。重力制御のペンダント効果だろう。おそらくこの人型機械兵器の重量は相当あると思われる。
俺は背中をエリシェに預け、タッグで人型機械兵器を破壊していく。シュームとナツミYUはビアリナと共にトリオで暴れていた。スミエは弟子のシルフィアと一緒に共闘中である。瞬時に的確な動きを展開できる点は、流石は警護者だと痛感せざろう得ない。
他の女性陣はタッグかトリオでナツミツキ四天王と共に会場周辺を守っている。最低限の目標は、一般人側に被害を及ばせないためだ。
エリシェ「・・・了解しました、ありがとうございます。マスター、近々トラガンの戦闘部隊が応援に駆け付けてくれるとの事です。」
ミスターT「ほほ、正に今回が初陣という事になるか。」
ヘッドセットでのやり取りをするエリシェ。通信先はトライアングルガンナーのリーダー・エルシェナか。確かに国内での切り込みは、警察群や自衛隊よりはこちらの方が良いだろう。それ以上の厳しい展開に至った時は、彼らの力を借りるのが無難だな。国内ではこれが良い流れになると思う。
エリシェ「思われた通り、国内事情から警察群と自衛隊を導入するのは要らぬ火種をばら撒きかねません。対してトラガンなら警護者群の公認下請け部隊ですから、要らぬ考えを黙殺する事もできますので。」
ミスターT「警護者の存在で戦争云々のボヤキすらも一蹴させる、か。」
エリシェ「それだけ時代は警護者に期待を寄せているのですよ。」
本当にそう思う。先の軍服連中との一戦で起こった、東京湾への無差別襲撃事件。あの時はこちらが警護者という事から黙殺できた形である。
今の世上からして、軍関連を動かすのは自国や他国に要らぬ懸念を沸かせかねない。特に自衛隊の出動は今もなお毛嫌いされている。特に日本国内ではそのボヤキが一段と強い。
しかし警護者は周りを黙殺させる力を兼ね備えている。顕著なのがレプリカ大和とレプリカ伊400だろう。第2次大戦の軍事物を新たに建造して送り出したのだ。日本自体がそれを行った場合は、間違いなく無駄な税金云々や軍事力強化云々のボヤキが出てくるわな。
だが実際は三島ジェネカン及び大企業連合が建造した、警護者専用ガンシップそのものだ。以前エリシェがそう位置付けていたのは、要らぬボヤキを黙殺させる意味合いも兼ねていると語っていた。今正にそれが現れている感じである。
それに大企業連合の力は海外の方が冷静に分析と判断をしてくれている。日本国内だけだ、要らぬ嫉妬などを顕にしているのは。だからこそ、警護者の力が必要になったのだが。それを考えると実に皮肉な話だわ。
第14話・3へ続く。




