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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第13話 決着の時5(キャラ名版)

ミツキ「うわぁ~お! こちらのバアチャンは誰わぅか?!」


 突然現れるミツキ。絶対に述べてはならない事を語る姿に、周りの女性陣は超絶的に青褪めだした。あのシルフィアでさえ顔を青褪めている。


スミエ「・・・物凄い千里眼で、私の実年齢からの様相を当てるのは見事です。」

ナツミA「すみません。ですがスミエさんから感じられるオーラは、Tさんのそれと全く同じで。Tさんもそうですが、見様には歳相応の様相が見て取れます。」

ミスターT「ミツキもナツミAも、ばあさまの本当の姿を見抜いた訳か。」


 ごく自然体で接するミツキとナツミAに、元祖警護者たるスミエも驚いていた。と言うか本人の素体を見抜くのは、姉妹以外には恩師しかできないだろう。ただ恩師は恩人たるスミエの手前、畏まっている感じが見て取れる。同じ素体で飾らない姉妹だからこそ、ドストレートな発言をしたのだろうな。


ミツキ「巫山戯すぎました、すみません。でもスミエさんがTさんのお祖母さんなのには驚きです。実際に遠縁の方で?」

スミエ「物凄い薄いですが、同じ血が流れているのは確かです。」

ナツミA「実際に血縁があるのは感じます。シュームさんが述べていた、恐怖と安心を兼ね備えた部分が正に証拠でしょうし。」

ミツキ「Tさんと同じ黒と紫が好きなのも見事なものですよ。」


 ミツキがスミエの衣服を指摘する。唯一違う点はスカートである部分と、黒を強調している俺とは異なり彼女は紫を強調している部分だ。それ以外ではスカート・ロング・ジャケット・コートと俺と殆ど変わらない出で立ちである。


ミツキ「アレわぅ、例のペンダントで性転換して並ぶと良いわぅよ。」

スミエ「ほほ、ギガンテス一族の力ですね。以前私も潜入捜査で男性化した事がありましたので。」

シューム「・・・何から何まで似てるわねぇ。」


 慣れてしまえば誰でもフレンドリーに接するシューム。この部分は彼女の長所だろう。対してナツミYUは今もエラい緊張した面持ちをしている。警護者としての実力はシュームを遥かに超えるため、その潜在能力の凄まじさに当てられている感じになるか。


ミツキ「ところで、スミエちゃんの得物は何わぅ?」

スミエ「“何者をも魅了する美貌”・“全てを威圧する恐怖”・“何事にも屈しない誇り”です。」

ミツキ「・・・本気で言ってるわぅ?」


 スミエが語るそれは、往年の名作ゲーム“開拓の場”の妖魔と言う種族の3つの概念だ。俺もプレイした事があるから分かるが、今もバリバリ現役のミツキやナツミAにも意味は通じているようである。他の女性陣には元ネタを知らない故に強烈過ぎたのか、今まで以上に顔を青褪めているのは何とも・・・。


ミスターT「それ、“何者をも魅了する美貌”はミツキ・“全てを威圧する恐怖”はシルフィア・“何事にも屈しない誇り”はナツミAじゃないかね。」

ナツミA「あー、まあそうとも言えますねぇ。」

ミツキ「シルフィアちゃんの恐怖度は流石のスミエちゃんも勝てないわぅね!」

シルフィア「ご・・ご冗談を・・・。」

スミエ「またまたご謙遜を。かなり前にTちゃんを馬鹿にする輩に、殺気と闘気だけで半殺しにしてましたよね。貴方が本気になった場合の怒りと憎しみは、私は到底敵いませんよ。」


 あのスミエが幾分か恐々と語る姿に、恩師の本気度が垣間見れた。シルフィアの怒りの淵源、それは俺と同じく大切な者を貶された時に帰結する。スミエが言うそれとは別だが、俺もその場面に遭遇した事がある。確かに強烈過ぎて以後の見方が変わったのも事実だ。


スミエ「かなり前にTちゃんが、その3要素の元ネタとなる作品をやっていた時。これは言わば全ての人に当てはまるのではと思った次第です。Tちゃんは3つとも備わっている感じになりますけど。」

シューム「彼は極端すぎるほど、その場その場でエラい雰囲気が変わりますし。」

スミエ「フフッ、よく観察されてますね。滅多な事では表に出さない感情なだけに、それを察知する貴方は見事なものですよ。」


 スミエの褒め言葉に恐縮気味になるシューム。確かに彼女は対面する相手の深層心理や性格を見事に読む特技がある。同じレベルの猛者たるナツミYUですら不可能な荒業だ。


ミスターT「俺の見解だが、シュームの観察力は身内で最強だと思う。やはり思うのは、人それぞれ得手不得手があるという事だの。」

ミツキ「ぬぅーん、Tちゃんが高所・水・セミが嫌いなのと同じわぅね!」

ミスターT「・・・事実だから反論できん。」


 彼女の言葉で周りの女性陣が笑い合う。実際に高所と水が苦手なのは何度も見てきた女傑達である。その場面を思い起こしてのものだろう。


スミエ「数多くの警護者が乗る飛行機を、墜落から救ったあの事変。あれ以来から高い所がダメになったそうで。」

ナツミYU「そうですね。ただその事変があったからこそ、私達はこうして生きていられますし。お孫様のマスターには返し切れない恩がありますから。」

スミエ「そう意固地にならなくても良いですよ。当時のTちゃんが私利私欲で動いた訳ではないのは明白です。目の前の人を助けたい、この一点に帰結したからこそ動けた。自らの記憶を犠牲にしてまでね。」

ナツミA「それは結果論になりますが、本音だと決死の覚悟で挑まれたと思いますよ。Tさんの一度決めた事を徹底的に貫く姿勢は今も健在ですから。当時も同じ決意だったと思います。」


 今ではすっかり周りの女性陣に馴染んでいるスミエ。そして周りの女性陣も普通の応対をする姿が見え出した。これはシルフィアの基礎にもなっているからだろう。今も恩師に備わる長所の1つである。ただ初対面の人物には、超強烈な印象を与えるのが事実だが。


ミスターT「ハッキリとは覚えてないが、ばあさまに人の役に立てと常々言われてきた感じがする。献身的一念から、ミツキ十八番の敬い・労い・慈しみの精神と。」

スミエ「そう、それです。ミツキ様の姿勢が、私が草創期に抱いていた一念と完全に同じ。これには本当に驚きました。むしろTちゃんの中にも内在・・・と言うか、全ての人に内在する一念に過ぎませんが。」

ミツキ「それを開花できるかどうかが人生の醍醐味になる、ですよね?」

スミエ「ですね。人は些細な事で開花も堕落もする。やはり必要なのは良いお手本になる人物に巡り逢う事。私の場合なら良き師匠に巡り逢うと言い切りますがね。」


 再びキセルを薫らせながら語る彼女。俺も常々心懸けている一念は、正にここに有りと言い切れる。本当に凄い事だとしか言えないわな。



ナツミYU「あの、私達も貴方様を師匠を言い切ってもよろしいでしょうか?」

スミエ「フフッ、もっと身近にその存在がいますよ。」


 警護者として・女性として・人としての敬意を込めた一念だろう。ナツミYUが語るそれは物凄く深いものだ。ただそれを言われたスミエは、意味深に返すだけに留まる。多分これは俺の事か・・・。


スミエ「そう、Tちゃんの事ですね。」

ミスターT「うわぁ・・・心中読み・・・。」

シルフィア「恩師のそれは更に凄まじいわよ。私の心中読みはマスタースミエの受け売りだからね。模して今の実力になったけど。」

シューム「Tちゃんの浅はかな胸中なんか直ぐに読まれるわねぇ~。特に異性をイヤラシい目線で見る部分なんかね。」

ナツミYU「・・・これだからマスターは・・・。」


 普段から気丈に振る舞うナツミYUの新鮮な姿を見た部分を返されたのだろう。その視線を色目として捉えてきた。それに顔を赤くするも、物凄く怒り出すナツミYU。自身が胸中で決意した一念を茶化されたと思ったようだ。しかも語り草に恩師の十八番を使うとは・・・。


スミエ「フフッ、Tちゃんは皆様に愛されていますね。それ即ち、Tちゃんが今までの生き様を刻み続けて来た事への裏返しとも。我ながら、遠縁の祖母としては誇らしいです。」

シューム「・・・お祖母様、今後のTちゃんの事は全てお任せ下さい。」

ナツミYU「私も同意見です。」

スミエ「その逆ですよ。色々とご迷惑をお掛けすると思いますが、何卒よろしくお願い致します。」


 一旦キセルを置き、その場で深々と頭を下げるスミエ。一連の言動から何から凄まじいものであり、畏まった姿にすら気品を感じさせるのは見事としか言い様がない。


シルフィア「ミツキさんスタイルの、持ちつ持たれつ投げ飛ばすよね。」

ミツキ「ウッシッシッ♪」

ナツミA「それがスミエさんにも内在しているのが何とも。」


 根底の一念が据われば、無双の如き力を発揮しだす。それを恩師やナツミツキ姉妹を通して痛感していた。ナツミYUやシュームもしかりだ。その淵源がスミエとなると、この一連の定石的な気質は自然体と言うしかない。全ての人に内在する力、だな。



 その後も雑談は続くも、スミエの存在感は凄まじいものである。ただし、シュームと同じく一度慣れだすと親しみを感じ出すのは見事なものだが。


 噂を聞き付け、地下工房からナツミツキ四天王とミュティ・シスターズも登場。会話には参加してなかったルビナと共に、スミエの存在感に驚きを示していた。そして口を揃えて言うのは、彼女がナツミツキ姉妹とシルフィアにクリソツである点だろう。


 そしてこの出逢いが、後の大きな事変への布石になる。それを俺を含め、この時誰も知る由もなかった。


    第14話へ続く。

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