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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第13話 決着の時4(キャラ名版)

エリシェ「世界最強の大財閥の力を甘く見ない事ですよ。」

ミスターT「うわぁ! お・・驚かせるなよ・・・。」

エリシェ「ヘヘッ、すみませんです。」


 突然背後から声が聞こえて驚愕した。しかもそれは今正に話題で挙げたエリシェ本人だから性質が悪い。また近場にはラフィナやナツミYUにシュームもいる。何時入店してきたか、全く分からなかった。


シューム「T君さ、今のが奇襲だったら撃たれてるわよ。」

ミスターT「確かに・・・。」

ルビナ「あら、実はお4方に狙いは付けていたのですけど。」


 そう言いつつ、左手の小指以外に電撃を纏わせている。先程の煙草の着火を考えると、その大火力の電撃は相手を麻痺させるか気絶させる威力はあるだろう。それを窺った4人は顔を青褪めている。


ラフィナ「ま・・正に“暗黒卿”の電撃・・・。」

ルビナ「フフッ・・・。」

ミスターT「ならこの一撃はどうよ?」


 そう言いつつ、ルビナの右手を優しく掴み口づけをした。それを見た彼女は大赤面をしだす。マイナス面などの行動には即座に先読みできるようだが、プラス面などの行動には若干の疎さがあるようだ。この大赤面が結果である。


シューム「あらぁ~、そのぐらいでシドロモドロになるのは甘い証拠ねぇ。」

ナツミYU「ですねぇ~。私達はマスターからココにその一撃を頂いていますから。」


 2人して唇を指し示すと、更に顔を真っ赤にするルビナだった。ミュティナ達ですら簡単な赤面をする程度だったが、彼女の場合は恋愛関連の免疫力がないのだろう。普段は非常に気丈な姿を醸し出しているだけに、この姿は実に新鮮である。


エリシェ「まあ何にせよ、こうして和気藹々といられるのは幸せですよね。」

ミスターT「本当にそう思うわ・・・。」


 今も顔を赤くしているルビナを尻目に、カウンターに座る4人。その中でエプロン片手に厨房に入り込むシュームとナツミYU。それに小さく頭を下げて引き上げるビアリナ。ここの運営は料理ができる面々が担当するようになったようで、こうして交代が繰り返されている。


ミスターT「あれ、ナツミYUも調理師免許を持ってたのか。」

ナツミYU「実績はあったので、日本にいる間に取っておきました。」

シューム「丁度君が海上で激闘を演じていた頃よ。」

エリシェ「私達の大多数も調理師免許を取得しましたよ。何時でも手料理を披露できます。」

ミスターT「こりゃあ・・・お客さん増えるわな。」


 数ヶ月振りに喫茶店に戻ってから、常連さん以外に新規のお客さんが多い事に気が付いた。それは今正に語った内容であろう。特に自分が知る女性陣の誰もが手料理に定評があるのだ。その彼女達が交代で厨房を担当するなら、手料理愛好家が増えるのは間違いない。


ミスターT「まあ何だ、この日常が続けばいいがね・・・。」

シューム「それは今後の私達次第という事よ。幸いにも超絶的な力も加勢してくれている。ならば後は我武者羅に突き進むだけ。」

ナツミYU「以前貴方が私達全体の技術力の弱体化になるのではと危惧されていましたが、それに甘んじるかどうかも私達次第。力があるなら使ってこそのもの、そうですよね?」

ミスターT「そりゃあねぇ・・・。」


 一服しつつ思う。ギガンテス一族とドラゴンハート一族の力が凝縮した2つのペンダント。これがあれば個人戦闘力は正に最強である。しかしそれに溺れれば己自身が堕落しかねない。何処までを用いて、何処まで用いないか。それを見極めるのもまたプロたる所以だろうな。




シルフィア「力とは勇気、君が記憶を失う前にも言っていた事よ。」


 物思いに耽っていると、恩師シルフィアの声がした。入り口を見ると彼女が入店している。更に見掛けない女性が3人いたのだが、その中の1人にエラい懐かしい雰囲気を感じる。更に厨房にいるシュームがエラい恐縮した雰囲気になってもいる。


エリシェ「お帰りなさいませ。諸々は順調に進んでおいでで?」

シルフィア「ミュセナさんが後始末に追われているわ。ギガンテス一族のテクノロジーの流出が発覚しただけに、血眼になって追跡している感じだけど。」

ビアリナ「やはり軍服連中の力はギガンテス一族のものでしたか。」

ミスターT「・・・となると、連中はもっと前に地球で暗躍していたという事か。カーチェイス事変や他の諸々も淵源はそれだったのかも知れない。」

シルフィア「それを彼女が躍起になって追跡している訳よ。ギガンテス一族の王族側以外からの技術流出とあるから、それは即ち自分達に原因があるとね。」


 これは後々の火種になりかねないものか。まあだとしても、俺達が加勢するのはミュセナ側の勢力なのは間違いない。先の軍服連中事変で受けた恩は必ず返していかねば。


ミスターT「ところで、そちらのお3方は?」

シルフィア「・・・やっぱ忘れちゃってるか。シュームさんはご存知よね?」

シューム「ご存知も何も、孤児院の覇者ヴァルシェヴラームと魔王セルディムカルダートで。」

ミスターT「む? つまり俺が幼少の頃にお世話になっていたという事か。」


 シュームの言葉に慌ててその場に立ち上がり、女傑2人に頭を下げた。今の俺自身には全く記憶がないが、記憶を失う前の自分が大変お世話になった偉人である。


ヴァルシェヴラーム「畏まらなくてもいいですよ。貴方がここまで偉大になった事が何よりの誇り。シルフィア様には本当に言い尽せない感謝がありますし。」

セルディムカルダート「貴方をこちらの師匠に託したのは正解でした。更に貴方の遠い血縁がある方が、まさか私達の共通の恩師だったのも見事なものですよ。」


 ヴァルシェヴラームとセルディムカルダートの孤児院の母以外に、シルフィアすらも恐縮している女性。黒髪に黒と紫色の衣服を纏ったその姿は、今の俺の姿に全く以て酷使している。そして失った記憶の欠片が過去の記憶を呼び起こしたのか、ある言葉が脳裏に浮かんだ。


ミスターT「・・・スミエばあさまか?」

スミエ「ほほっ、まさか名前で呼んでくれるとは。」

ナツミYU「ば・・ばあさまって・・・どう見ても私に近い年齢なのですが・・・。」

シルフィア「マスタースミエはT君と同じく、老化が訪れない特異体質よ。ただ実年齢は・・・。」


 両手を駆使してジェスチャーするシルフィア。それに驚愕する周りの女性陣だった。かく言う俺も正確な年齢は窺ってなかったので、これには同じく驚愕するしかない。


シューム「なるほど、血縁があるのが雰囲気で分かります。この恐怖と安心を兼ね備えた様相は、他の人物じゃ出せません。」

ナツミYU「そして恐らくですが・・・スミエ様も警護者で?」

スミエ「警護者・・・懐かしい響きです。もう70年以上前の話ですが。」

シルフィア「警護者も警護者、私が今の実力に至ったのはマスタースミエが淵源よ。」

ミスターT「はぁ・・・。」


 とんでもない事も分かった。恩師シルフィアが警護者界最強の闘士だと思っていたが、実は他にもとてつもない実力者がいたようだ。しかもそれが俺の遠い血縁の者だったとは・・・。



ミスターT「と言うか、何たって今頃登場で?」

スミエ「雲行きが怪しくなりましてね、シルフィア様から直々にオファーがあったのですよ。」

エリシェ「・・・例の後始末の一件ですか。」


 スミエの登場は後の火種への対策となる様子。更にその淵源を見事に読むエリシェ。それに小さく驚く彼女だが、見事な推理だと頷いている。


スミエ「実は私が警護者全盛期時にも、今回と同じくギガンテス一族とドラゴンハート一族には大変お世話になっていまして。今の方々が生まれる前の話なので分からないと思いますが、今回の事変よりも厄介な戦いがありました。」

ミスターT「ミュティ・シスターズやルビナすらも生まれていない時・・・。というか、彼女達の実年齢からすると・・・。」

シルフィア「前にも言ったよね、地球上の年齢と宇宙での年齢は全く違うと。この地球上での時の流れは物凄く速く、宇宙に出ればそれだけ遅くなる。つまりマスタースミエを彼女達の概念に乗せれば、それプラス万歳加算になるわね。」


 再び両手を使ったジェスチャーで年齢を示す。どうやら口に出そうものなら、とんでもない事になる表れか・・・。それを無意識に感じ取った周りの女性陣は、エラい強張った表情で頷いている。というか頷くしか手段がなさそうだ・・・。


シルフィア「今回の事変で燻っていた火種が再発した感じですね。」

スミエ「それだけで済めば良いのですが・・・。」


 会話しつつ懐を漁るスミエ。何と骨董品とも言えるキセルを取り出したではないか。それに火を着けて一服しだすのだ。大正時代の貴婦人を思い起こすような仕草に、俺はおろか周りの女性陣も顔を赤くして魅入ってしまった。


スミエ「今時キセルは場違いでしょう?」

ナツミYU「と・・と・とんでもない・・・。物凄くお綺麗です・・・。」

シューム「シルフィアさんだけが逸脱した女性像を醸し出していると思いましたが、スミエ様はその遥か先・・・いや次元が違います。」

シルフィア「私はマスタースミエの姿を何度も見てるからねぇ~。今の私の言動などは、殆ど受け売りに近いし。」

ミスターT「へぇ・・・素じゃなかったんですか。」

シルフィア「・・・これだから君は・・・。」


 恩師の俺を一蹴する言動は、普段は物凄くテキパキとした一撃を放ってくる。しかし今の彼女は怖ず怖ずといった雰囲気が強い。目の前に彼女の師匠たるスミエがいるからだろうな。


スミエ「私に対しての気遣いは不要ですよ。Tちゃんみたいに自然に接してくれる方が有難いのが本音です。」

シルフィア「い・・いや、流石にそういう訳には・・・。」

ミスターT「恩師のこの姿、何か新鮮だわ・・・。」


 同じく一服しながらやり取りを見つめる。今もキセルを薫らせる姿が物凄く格好いいスミエ。その姿に脳裏の深層にある、過去に育てて貰った記憶が呼び覚まされるようだ。しかし実際には記憶喪失により、思い巡る事は不可能だが。


    第13話・5へ続く。

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