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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第11話 艦隊決戦5(キャラ名版)

ミスターT「・・・化け物だなこれは・・・。」


 ミュティ・シスターズの特殊能力には驚愕したが、ルビナの特殊能力にも同じく驚愕した。3姉妹の能力は重力制御の理が顕著だが、ルビナはそれに物質を自在に操る術を持っていた。つまり超能力である。物凄い重さの弾薬だが、それを超軽量化したとしても運ぶのは手作業になる。しかし今はそれらを浮かせて運ぶのだ。


ミスターT「アレか、某宇宙戦争の“力”そのものだな・・・。」

ナツミYU「念力による物質の浮遊よね。殆ど同じ様な感じがするけど・・・。」

ビアリナ「何にせよ、最短で行動できるのは好都合ですよ。敵は待ってはくれません。迅速に行動してこその戦略ですので。」


 今もイージス艦や航空兵器の猛攻を受け続けているが、レプリカ大和とレプリカ伊400はバリアに守られているため全く問題がない。ただ今はハリアーⅡ群が時間稼ぎをしてくれているため、向こうの弾薬が枯渇する前に作業を終えねばならない。


ミスターT「従来ならこの時点で敗退決定なんだけどね。戦闘中の弾薬補給なんか、誘爆して大惨事を引き起こしかねない。」

ナツミYU「ミッドウェー海戦の旧日本海軍の敗退事例よね。右往左往して急所を突かれた形と。しかし今は超絶的な能力に後押しされているし、全く以て問題ないわね。」

ルビナ「それに当時と今とでは話が異なります。皆様が対決されている軍勢は、間違いなく地球人にとって脅威そのもの。負ければ後がない、故に負けられないとなりますし。」


 手伝いとして参加したのだが、殆どルビナの超能力の前には何もする事がなかった。彼女の力で弾薬を浮かせて運び、更にはそれを彼女1人で行っている。俺達は不測の事態への対処役としているぐらいだろう。


ミスターT「連中の出所が分かれば、直接乗り込んで致命的な一撃を放つんだけどね。今は何処から沸いて出てきているのか全くの不明だ。」

ナツミYU「ギガンテス一族のテクノロジーに酷使した力なら、全く別の場所から攻撃を仕掛けている事になるわね。しかも軍事物の大量生産も可能と。」

ミスターT「まあ有人兵器じゃなく無人兵器なら徹底的に壊しまくるのみだ。日頃の警護者の戦いがどれだけ大変か、こういった形で振り返れるのは皮肉な話だわな。」


 警護者としての行動は、人間対人間の極限の戦いの繰り返し。しかも不殺生を徹底的に貫く故に、その行動は非常に神経を使う。今のこの艦隊決戦と言うのか、これ程楽なものはない。


ミスターT「無人兵器・人工知能、か。これが今後の戦いの主流になりそうだわ。」

ナツミYU「人間を長時間掛けて育成せずとも、絶大な戦闘力を有する事ができる。しかも人間は喜怒哀楽の塊だから、理不尽な行動には反感を抱く場合もある。兵士としては無駄な感情よね。」

ルビナ「それ故の感情を持たない機械兵器ですか。確かに効率的にはいいですが、非人道兵器とは正にこの事ですよね。」

ミスターT「いや、非人道兵器の極みはアレしかない。」


 俺の言葉に小さく頷くナツミYU。第2次大戦時の非人道兵器と言えば2つある。1つは日本の特攻だろう。人間自体を兵器たる航空機と共に体当たりを仕掛けるものだ。


 あの極限状態の戦況下で用いられた戦術。大切な者を守りたいという強い一念で至るのであれば・・・俺も志願するのかも知れない。そう・・・大切な者を守るために・・・。しかしそれはほぼ限定的で、なおかつ人の力があってこそのものとなる。人命尊重を軽んじたものになるが、止むに止まれぬ末の行動と取れた。俺はそう思いたい。


 実際に第2次大戦時では、大勢の貴い日本人が特攻で散っている。その英霊方を心の底から称えたい。先にも述べたが自分がその状況に置かれたら、右往左往のシドロモドロになるのは言うまでもない。


 そしてもう1つが、それをも超える究極の非人道兵器となる核兵器だ。確かに戦闘力からすれば、これ程短期間で絶大な威力を発揮する兵器は他に存在はしない。しかし、その代償は放射能汚染という最悪の結果を招く。戦闘員・非戦闘員構わず殺害するこの兵器は、究極の絶対悪そのものだ。


 実際に日本は第2次大戦末期に、広島と長崎に原子爆弾を落とされている。経緯に至るには色々なものがあるが、絶対悪を使った事には変わりはない。そしてそれ以降、如何なる紛争でも核兵器を使われた事は一度もない。こちらも先に述べたが、その後の悲惨な末路を知っているからだ。


 しかし今現在は世界中に凄まじい数の核兵器が存在している。抑止力としてのものだが、それが不測の事態で爆発しないとも限らない。人類は非常に脆い場所に住んでいると言える。



 ただ、それは地球上での話になるとは思うが・・・。


 今現在はギガンテス一族のテクノロジーや、ドラゴンハート一族のテクノロジーが際立っていた。一説によると、核兵器すら完全に無力化する事ができるとの事だ。放射能すら出さず、爆発すらもさせない奥の手があるとか。実に凄まじい究極の一手である。


 確かに宇宙空間ではそこらじゅうに核物質がゴロゴロしている。それに地球に恵みの光を放ってくれている太陽。しかし実は強烈な放射線やガンマ線を放っているのだ。地球はコアの回転による電磁場の力で、これら宇宙線から身を守っている。俺達は非常に恵まれた環境に住ませて頂いているのだ。


 話は反れるが、コアの回転が早い段階で弱まったのが火星である。それにより覆われていた大気の層は、太陽からの太陽風で引き剥がされてしまったとの事だ。あの不毛の大地は地球の別の未来の姿とも言い換えられる。


 ミュティナ達やルビナ達が人類以上に地球に拘るのは、彼らが広大な宇宙空間を旅してきた宇宙民族だからだろう。彼らの母なる惑星はあるのかと思うが、それは時が来たら尋ねたい。今は彼らが力を貸してくれているこの地球を守る事が先決である。



 話を戻すが、怖いのはこれらに対抗する手段が出る事だ。軍服連中の最終手段は核兵器を使う事が十分予想できる。その場合はかなり対処が厳しくなってくる。


 同じ力を以て対抗策とはしたくはない。しかし、連中の行動を抑えるにはそれしかなさそうだが・・・。


ミスターT「最悪の事態だけは回避したいが・・・。」

ナツミYU「私達の手腕が問われるわね。これはもう警護者の枠組を超えた、地球を守る戦いにも繋がってくる。強いては私達自身を守る事にも繋がるからね。」

ルビナ「心から同意します。私もギガンテス一族の方々と同じ地球外生命体ですが、それでも愛する星を守ろうとする心には同調しますよ。」

ミスターT「・・・お前さん、地球外生命体だったのか・・・。」


 俺の発言に何を今更と飽きれる彼女。しかし先程突然現れた事から、今正に彼女の素性を知った流れになる。ミュティ・シスターズの場合は護衛依頼から今に至るため、その経緯を時間の経過と共に認知していったが。


ビアリナ「地球外生命体だとしても、生命体には変わりありませんよ。大切な命そのものですから。それらと言っては大変失礼ですが、全てを守る戦いが今なのです。」

ミスターT「そうだな。ミツキ流で言うなら、“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”だな。」

ナツミYU「ルビナさんなら、本当に投げ飛ばしそうな感じだけど。」

ミスターT「ハハッ、違いない。」


 超能力の力からすれば、俺達を軽く投げ飛ばす事も容易だろう。それを冗談交じりに語ると、苦笑いを浮かべるも真意は理解してくれたようである。つまりはミツキの生き様そのものだ。


ビアリナ「・・・本当にミツキ様がお好きなのですね。」

ミスターT「あら、以前言わなかったか。多分お前が思っているのは恋愛感情の部分だろう。だが俺が思うその一念は、それらをも超越した純粋無垢のもの。師弟の理そのものだわ。」

ナツミYU「前にも言ってたわね。私もミツキさんを熱く語る貴方にヤキモチを妬きますが、その理を知ってからは失礼な気がしています。心から敬愛するからこそ、その一念を宣揚して語り継いでいく。いえ、実践していく方が正しいでしょうね。」


 ビアリナが語るそれは、以前ナツミYUとシュームも抱いていたものだった。俺がミツキに対する一念が恋愛感情に似ているため、それに対してヤキモチを妬いてくれている。しかし実の所は、それすらも超越する純粋無垢の一念。正に師弟の理そのものである。実に無粋な一念だと痛感せざろう得ない。


ミスターT「むしろナツミツキ姉妹の生き様こそ、今の世上に必要な姿でもあると思う。人としてのあるべき姿がそこに、ね。敬い・労い・慈しみの精神こそが、世上から悲惨や孤児を無くす最大の概念だ。これは間違ってはいないと確信している。」

ナツミYU「そうね。警護者以前に教師である手前、その一念には心から賛同するわ。特に悲惨という概念は、未来の申し子を不幸にさせる力の極み。そこから生じるのが孤児であり、結果世界が荒れていく事にも繋がってしまう。」

ミスターT「全部が全部じゃないだろうが、それでもマイナス面だとは痛感できる。そこから綻びが生じて紛争や戦乱が起きてしまうのも事実だ。警護者の道はそれらに相反する可能性もあるが、力があるならプラス面として使い続ける事の方が大切だからな。今後もこの生き様は貫き続ける。」


 今現在の警護者の戦闘能力からすれば、下手をすれば戦乱助長者になりかねない。しかし全部が全部ではない。要は誤った力の使い方をしなければ良いだけの事だ。少なくとも俺自身はプラスに働くように動いていると自負している。


ルビナ「・・・ミュティナ様方が貴方に一目を置かれる意味を痛感しました。地球人の過去の戦乱の歴史を窺った時、とても信用に値する種族ではないと思ったのが実状です。しかし貴方はその荒波の中を猛然と進んでいる。大海原で迷わないように道を示す灯台の如く。」

ミスターT「他者に道を示すとか烏滸がましい事はしたくはないし、そんな偉そうな奴でもない。しかしそれにより世上から悲惨や孤児が少なくなっていくのなら、俺はどんな事でもするわ。悪役が必要ならそれも演じてやる。全ては先の誓願を見据えてな。」


 一服しながら思う。ルビナの発言で改めて己を窺い知れた。今までは漠然とした警護者の道を進んでいたが、今ではとんでもない場所まで至っている。しかしそれが当たり前になっているのも実状だ。ならば、このまま先に突き進むのみである。


ミスターT「俺達の行動が善か悪か、それは歴史の采配に委ねる。今は俺達にできる事をし続けるまでよ。」

ナツミYU「そうね。ますます以てやり甲斐が出てくるわね。」


 同じく一服しながら頷く彼女。俺と同じ警護者の道を突き進むため、それに共感してくれているようだ。まあ生き様が酷使しているから、自然とそこに至るのは言うまでもないが。


 しかし本当に凄まじい力である。超能力か・・・人類からすれば逸脱した力そのものだ。だが今は力があるなら使い続けたい。それだけ相手の方が手数が上なのだ。何度も言うが、今では日本はおろか地球を守る戦いにまで発展しているのが実状だからな。


 ルビナの超能力のお陰で、レプリカ伊400の密閉棟に積んであった弾薬をレプリカ大和に短期間で移動できた。しかもそれらをそれぞれの弾薬庫に、である。事前にレプリカ大和の艦内地図を見せて欲しいと言ってきたのは、このためだったようだ。これにより最短で弾薬の再装填が可能になった。


 こちらの様相を察知したハリアーⅡ群は安全圏内へと離脱。一時的に攻撃を補佐してくれていたレプリカ伊400も離脱していった。レプリカ大和での再攻撃の準備を開始する。




 突然だった。艦内に戻ろうとした直後、船首の先端に超巨大な飛行物体が出現したのだ。それは正にUFOそのものに近い。


声「なるほど、地球とギガンテス一族の技術の結晶か。」

ミスターT「へぇ、軍服頭が自らお出迎えか。しかも明らかにオーバーテクノロジーを披露して。」


 声の主はハワイの海岸で対峙した軍服連中の中の1人、一同を纏め上げていた頭のものだ。これから推測すると、連中もオーバーテクノロジーによる技術で攻撃を仕掛けてきている事になる。


軍服男1「今だに抵抗を続けるつもりなのだな。大人しくこちらの要求を呑めばいいものを。」

ミスターT「先日に答えを突き付けただろうに。貴様等との交渉は断固拒否する。」

軍服男2「相変わらず腹立たしい奴だ・・・。」

ミスターT「ソックリそのままお返しするわ。負傷した兵士達を捨て駒の如く使ったカスどもめ。生命を甘く見る貴様等とは交渉の価値すらない。」


 その声を発した直後、飛行物体から超巨大なミサイルが発射される。あの短気の軍服男が独断で動いたに違いない。まあこちらにはバリアがあるから無意味だが。


 しかし直後、そのミサイルが空中で静止したのだ。驚きつつ周りを見ると、ルビナが右手を飛行物体に掲げている。超能力による物質の静止力だ。規模からして、ミュティ・シスターズのより超強力という事になる。


ルビナ「・・・なるほど、これは確かに徹底抗戦を行う価値はありますね。これ程までに愚者極まりない阿呆は見た事がありません。」

軍服男1「新手の地球外生命体か・・・。」

ルビナ「無知な阿呆はそう言いますね。こちらのマスターは調停者とも述べてくれましたが。」


 その言葉に飽きれるも、今は付き合えを目配せをしてくる。明らかに相手への揺さ振りだ。彼女自身、調停者や裁定者という概念を嫌っている。それはミュティ・シスターズもしかり。しかし力を根幹としている軍服連中には効果絶大だろう。


ルビナ「引きなさい、愚者共。それともこの場で消されたいのですか。」


 彼女がそう言うと、46cm主砲の第2砲塔・中央砲門がゆっくりと飛行物体に狙いを定めだした。彼女の声を第2砲塔内にいる躯屡聖堕メンバー達が伺い、同調しながら動いたのであろう。正に一撃必殺の一打が目を光らせている。しかも中央砲門か。それを手とするなら、正にクタバレの形である。見事だわ・・・。


軍服男2「・・・どこまでも逆らう奴等め・・・。」

ミスターT「貴様の腐り切っている物差しで物事を計るな阿呆。これは地球人・ギガンテス一族・ドラゴンハート一族総意の一念だ。特に天下無双の躯屡聖堕が一際強い一念を出しているわ。それに俺は心から同調しているがな。このまま殺り合うなら、徹底的に付き合うが?」

軍服男1「・・・今回も平行線だな、撤退しよう。」

ミスターT「残念ながら、同じ立ち位置にすら立っていない。立場を弁えるのは貴様等の方だ。」


 俺の言葉にルビナが力を示す。空中静止していたミサイルを、何とその場でグシャリと握り潰す姿を披露したのだ。超能力が為せる技だろうが、爆発させずに握り潰せるとは・・・。



 向こうもそれなりのオーバーテクノロジーで威圧を掛けたのだろうが、こちらの方が遥かに上回っているのが現状だ。それを知って怖ず怖ずな雰囲気を出しつつ去っていく飛行兵器。


 続いて周辺に展開していたイージス艦や飛行兵器郡も去っていった。と言うか消えていったと取るのが正しいか。


 騒然としていた海上が一瞬にして静まり返った。飛行兵器の騒音が凄まじかったのだが、消えていったために波の音だけが聞こえている。


 推測だが、頭が出てきたのはレプリカ大和の全力攻撃を押し留めるための策だろう。こちらとしては徹底駆逐するまで戦うつもりだったのだが。まあ助かった事には変わりない。



 最後は呆気なく終わった海上対決。しかし何時何処で襲撃される危険性は孕んだままだ。今後も油断なく動くしかないわな・・・。


    第12話へ続く。

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