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人質姫と忘れんぼ王子  作者: 雪野 結莉
11章 ボナールへ再び
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ロッテの出自を考える

 ホテルに戻ったオレは、疲れ果ててベッドにダイブした。


 貴族専用高級ホテルだけあって、ベッドのスプリングはいいものを使っているようだ。

「フレッド~。一体この国はどうなってるんだ」

 寝そべったまま、顔だけフレッドに向けて愚痴る。


 フレッドはジェイミーと二人、部屋の長椅子に腰掛けて、だらんと腕を下ろした。

「オレだって知らないよ~。なんなの?あの王様」

「フレッド、今、この国が共和制を取ったらどうなると思う?」

 真剣な顔で少し考え、フレッドはオレの方を見る。

「共和制ってさ、多分、オレたちが考えるよりも難しいと思う。この国は何もしないで富を得てきた国だろう?今まで災害もなく、作物は順調に育ち、貿易は黒字続き。欲を出して戦争を仕掛けなければ、ずっと安泰だったに違いない。人間ってさ、平和だと向上心が薄れていくんだよね。ほけほけと暮らしていたところに、いきなり共和制にするから、さあ政治をやってみろって言ったって、誰がそれできると思う?」

「…まあ、無理だろうな…。宰相があの様子じゃ、今まで国王のワンマンで国を動かしてきたんだろう」

「何しろ、隣の国だからね~。ボナールが倒れたら、ランバラルドにだって被害が出るよ。明日も無茶を通すようなら、ほんとにランバラルドで吸収することも考えないとダメかもね」


 オレの親父、つまりランバラルド国王も退位を考えている。

 オレはかなり歳をとってからできた子どもなので、現ランバラルド国王は高齢の部類に入る。

 オレが国王として即位できるだけの準備ができれば、すぐにでも国王の座を明け渡したいようだ。

 オレの方もそれがわかっていたから、フレッド達と共に、今後のランバラルドを見据えて勉強してきた。

 だが、オレがもうすぐ即位というこの時期に、ランバラルドがボナールを吸収するにはかなりのリスクが伴う。

 国が大きくなると、こちらにその意思がなくとも帝国の脅威と取られる可能性があるからだ。

 そしてオレは無理に国土を広げたいとは思っていない。


 だから、なんとかボナールには自力で立ち直ってもらいたかったのだが…。


 一人で思考の輪にハマっていると、フレッドが立ち上がる。

「王子、オレ、ちょっと飲みにいってくる。このままじゃ眠れないよ。王子はどうする?」


 オレも眠れるような気分ではないが、酒は弱いので、それがストレス解消になることもない。

「オレはここに残るよ。ジェイミーも行っていいぞ。ここから出る予定もないし、貴族専用だからここに居ればそんなに危険はないだろう。何かあっても自分の身くらいなら自分で守れる」

「オッケー。じゃ、ジェイミー行こう。昨日王子と町を歩いたんだろ?オレに案内してよ」


 フレッドとジェイミーは、軽装に着替えてホテルを出て行った。


 オレは起き上がり、紅茶を入れて長椅子に座り、残っていたロッテのクッキーを出した。

 こんな疲れた日ほどロッテに会いたい。


 平民のロッテを城へ迎えることはできないのだろうか。

 願わくば、オレと同じ目線で同じ使命に向かって一緒に走って欲しい。

 きっと、彼女はそれができる。

 人のことを考えられるロッテならば、いい王妃になれるだろう。


 いくら調べてもわからないロッテの出自が問題だが…。

 マリーとアーサーはボナールからの移民であることはわかっている。

 この混乱期に何故国境通過の許可が下りたかはわからなかったが、ボナールでの戸籍は確かなものだった。

 おそらく、ロッテと出会ったあの日は、マリーとアーサーがランバラルドに移民してきた日だ。

 だから国境付近でオレたちは会うことができた。


「…明日、マリーとアーサーの住んでいた家に行ってみるか」

 誰も聞いていない部屋で、オレは呟いた。

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