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人質姫と忘れんぼ王子  作者: 雪野 結莉
4章 ランバラルドへ到着
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隣国の知識

 あと一日で、ランバラルド城に到着するという。


 本当は、少し急げば今夜には到着したらしいのだが、夜半の到着を失礼と思い、ジュディが予定通りもう一泊することを提案したのだ。

 元々、その日程だったのだし。

 王都近くでは、ホテルという宿泊所に泊まることとなった。

 ここは、お金を払えば誰でも泊まることができ、お姫様気分を味わえるところで、裕福な商家の娘達がよく使っているという。

 確かに、装飾品は立派で、小さなお城のようだった。


 ホテルの中には図書館もあり、早めにホテルに入った私達は、暇つぶしに図書館を訪れた。



「すごいわね。ボナールのお城にある図書館みたい。難しい本がたくさんあるわ」


 私は、きちんとした教育を受けてはいない。

 一応、基本的なことはマリーが直談判して連れてきた家庭教師が教えてくれたが、何しろ私に割く予算はほとんどなかったため、読み書きと計算、少しの経済だけマスターしたところで、家庭教師はいなくなった。

 いい人だったんだけどな。

 空き時間はダンスも教えてくれて。

 おかげで恥をかかずに済んでいる。


 あとは、独学で図書館で本を借りてきて、自分で勉強するしかなかった。

 でも、本の中には私の知らない世界がたくさんあり、本を読むことは楽しかった。


 一冊を手に取り、パラパラとめくる。


 ランバラルドの成り立ちやマナーについて書かれている。

 司書さんの話によれば、旅行者も宿泊することがあるため、ランバラルドで他国の旅行者が困らないようにと、揃えられたものらしい。


 ここで私の思考が止まる。

 他国の旅行者が困らないように……。


 えっ、待って。

 私、ランバラルドのマナーとか常識とか、勉強してきてない…。

 あれ?カーテシーって、全国共通よね?

 そういえば、国によってはお食事を左手で食べちゃいけない国があるって前に本で読んだ…。

 嘘でしょう。人質になることを嘆くのに費やして、そんな大事な事を忘れるなんて!


 わたわたと、ランバラルド初級編なる本を数冊借りる手続きをし、出入り口で控えていたジュディに、早く部屋に戻りたいと告げて、スタコラと泊まっている部屋に戻った。


「どうかなさったんですか?」

「ジュディ、私、大変なことを忘れていたの。ランバラルドに行くっていうのに、何も調べて来なかったのよ!他国は違うマナーがあったりするし、今から勉強するわ!」

「…今からですか?5日もあったのに、明日にはお城に着く今からやるんですか…?」

「もぉっ!やるったらやるの!」

「いいですけど、すぐ隣の国ですし、そんなにボナールと変わりませんよ?きっと」


 無責任なこと言わないで~!


 呆れて私を見るジュディだったが、私の熱意に負けて紅茶を入れたりしてくれた。


「姫様、もう寝ますよ~」

 ふと、時計を見ると、もう真夜中だ。

「あとちょっとで終わるの。ジュディは先に寝ててちょうだい」

「はーい。では、おやすみなさいませ。ふぁ~」

 大きな欠伸をして、ジュディは下がって行った。

 主人の前で大欠伸なんて!

 寝れない私に向かって失礼にも程があるわ!


 自分の不手際を棚上げし、ランプの灯で必死に本を読んでいるうちに、夜は更けて行った。

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