奥深く
深夜。静まり返った神殿の奥深く。
年老いた神官長が、焼けただれた遺体の前で跪く。
「あぁ。なんということを…正統な後継者を殺すような真似を二度に渡りおこなうとは。かの御方はご無事ということだが、なんと、おいたわしいことか」
神官長は、遺体の手を胸で組む。
「どうか、安らかにお休みください」
そして、祈りを捧げる。
「かつて、虹の国と言われたこの国が、また正統な後継者でない者の手に渡るのか。虹の御印が二代続けて現れたというのに、運命はなんと過酷な…」
2人の神官が神官長に近付く。
1人は次期神官長候補で、もう1人は神官長補佐だ。
「神官長様。棺の用意ができました」
「うむ。では、ご遺体を棺の中へ」
「はい。こちらの物は、いかがいたしましょう」
神官長はじっとそれを見つめる。
「正統な後継者以外は、それに纏わる話を聞かされておらん。もし、万が一にも奪われることのないように、一緒に棺に入れるがいいだろう」
こうして、神殿の奥深くに、その者は埋葬された。
それは、かつて虹の国と謳われた国の真実。
豊穣の神に愛されし魂の後継者は、真実に辿りつけるのだろうか。
年老いた神官長は思う。
逆らう者が、かの御方を弑することなきよう、祈りを捧げよう。
3人の神に仕える者達と、神官にそれを知らせた者を除き、その事実は伏せられたまま、16年の月日が経つ。




