表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人質姫と忘れんぼ王子  作者: 雪野 結莉
14章 告白のその後で
101/180

諸外国

 忙しい日々を送っているうちに、刻々と夜会の日は近付いてくる。


 他国の令嬢たちは、夜会当日の準備もたくさんあるので、数日前からランバラルドに滞在できるように計らっている。

 パラパラと、他国から令嬢たちがランバラルド城に入場していく。

 そうすると、オレの仕事は外交一色になる。


 これで生涯の伴侶が見つかれば、婚姻の上、地ならしをして数年もしないうちに即位することになるだろう。


 各国の令嬢はそれがわかっているからか、到着して城に慣れると、与えた部屋やガゼボ、温室の使用許可を取り、お茶会を開いてオレを招待する。


 今日もオレとフレッドは、ガゼボでエルシアの第3王女とお茶を飲んでいる。


 エルシアの王女ティアナ姫は、オレより3つ年下の15歳。

 だが、さすがに王女としてきちんとした教育を受けてきたのだろう。

 落ち着いていて、15歳とは思えない。

 ロッテの方が年下と言っても納得ができるな……。


 豊かな赤みがかったブロンドの髪を縦にロールさせて、マーメイドラインのドレスを身に纏っており、薄い腰が幼さを強調する。


 テーブルには王女とオレとフレッドの3人が着いていた。

「とても素敵な庭園ですわね。ランバラルドは植物の研究にも力を入れていると聞きますわ。花は人の心を癒やすことができますし、穀物は国を豊かにいたします。さすがは大国ランバラルドですわ」

 いや、うちは大国と言われるほどではないんだけど……。

 中堅国より少し国土が広いだけだ。


 オレがうまく返せないでいると、フレッドが助け舟を出してくれる。

「エルシアでは産業に力を入れていると聞きますよ。たくさんの技術者がいるとうかがっております。先日お贈りいただいた揺れが少ない馬車は、国王も素晴らしい技術だと驚いておられましたよ」

 ティアナ姫は扇を口元にあて、ほんのり微笑む。

「あれは我が国でも最高の逸品ですわ。ですが、今はディデアの鉱山が封鎖されておりますでしょ? 鉄を輸入するのが難しくなっておりまして、早く開放していただけるのを心待ちにしておりますの」


 なるほど……。

 ボナールからディデアの鉱山をもらい受けた我が国と、手を組むとエルシアの産業が栄えると言うわけか。

 エルシアには技術者は沢山いるが、多量の鉄を使うには、鉱山が必要だ。


 ぼんやりと話に耳を傾けていると、ティアナ姫がオレに話を振る。

「わたくし、夜会当日の衣装を決めかねておりますの。ライリー王子は、どんなドレスがお好みですの?」

「えっ、あぁ、女性らしい可愛らしいドレスがいいですね」

「まあ……!」

 ティアナ姫はあきれたような表情でオレを見た。


 フレッドが慌ててフォローする。

「お、王子が言う女性らしいと言うのは、優しさを表すような、そんなドレスと言うことですよねっ! フリルがたくさん付くような、そんなドレスが王子はお好みです。ねっ、王子!」

 よくわからないが、失言をしたらしい。

 オレはフレッドに同意する。

「もちろんです。フリルのたくさん付いた、華やかなドレスがいいですね」


 やっと、ティアナ姫の表情が和らぐ。

「そうでしたの。では、フリルとレースのたくさん付いたドレスを選びましょう」


 その後は、庭園に咲く花の話をしたり、青空に白い屋根のガゼボは綺麗に映える等、他愛もないおしゃべりをして、お茶会はお開きになり、ティアナ姫を見送った。


 ティアナ姫の姿が見えなくなると、フレッドがどっと疲れたように、テーブルに突っ伏した。

「王子~、ちゃんと諸外国のマナーの勉強した?」

 オレは残った茶菓子のマドレーヌを口に入れながら返事をする。

「王太子教育でマナーは学んだぞ」

「じゃ、なんであんなこと言うの? 女性らしいドレスって言うのは、エルシアでは「性的な目で見ています」って事になるんだぞ」

「……は?」

「あそこは技術者に女性も多い。男性らしく、女性らしくと言う言葉はあんまり使っちゃいけないんだ。男女平等を謳う政党が出てきたくらいの新進国なんだから。可愛らしいって付け加えてくれてたからなんとかなったけど、オレが渡した重要項目だけでも目を通しておいてよね」


 まったく、フレッド達には頭が上がらない……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ