赤毛の少女「アリス」
「ん…ここ…は…?」
加瀬は目を覚ますと知らない部屋で寝かされていた。目の前には木造の屋根が見える。
イテテと微かに痛みを感じて見れば、身体は包帯でぐるぐる巻きだ。どことなく全身が熱く感じる。
「あっ!気づいたのね!良かった…!」
声のする方へ顔を向けると、隣に赤毛の少女が座っていた。
「ここは…?何が何だか…?」
「ここは街外れにある私の家よ。勝手に連れてきてごめんね。」
(街…!そうか、俺はあのとき火事の中それで誰かを助けようとして、それで…)
自分の身に何が起こったのかを思い出し、加瀬は
敷き布団に肘をつきゆっくりと体を起こす。
「あ、まだ手当中だから動かない方が…」
「いや、大丈夫だよ。ありがとう。」
支えようと伸ばした少女の白く細い両腕を加瀬は包帯だらけの手で制して、加瀬は少女と向かい合う。
「えと…どうしたの?」
首をかしげると共に肩まで伸びた赤毛が小さくフワッと揺れる。翡翠の瞳からは安堵と少し戸惑いの色が見える。
「もしかしてあなたがずっと俺を看てくれたのか?」
ごめん、と少女の目の下に隈が出来ていることに気づいて慌てて謝罪する。
見たところほぼ同じくらいの年齢の異性をつきっきり(おそらくだが)で看病してくれていたのだからきっとかなりの負担だったはずである。
「お医者さんもさっきまでいてくれたし、私の事なら全然心配ナッシングだから大丈夫よ?でもキミが無事そうで本当に良かった。全身すごい怪我だったんだから…」
そう言って赤毛の少女は立ち上がり、加瀬に向かって手を差し伸べた。
「はじめまして、私はアリス!キミの名前のは?」
「俺は加瀬シンヤ。助けてくれてありがとう、アリス。」
そう言って少女と握手を交わす。
「シンヤね、これから大変だと思うけどパートナーとしてお互い力を合わせて頑張ろ!」
そう言ってアリスは太陽のようにっこりと笑う。
その笑顔に、思わず加瀬は頬を紅潮させるが今のアリスの言葉を聞き逃すほど愚直というかキョドってはいなかった。
「え?パートナー?」
加瀬がそう言ったのと同時に戸が開く音がした。