勇者、元の世界に帰る
「よし、準備は完了!」
俺はミナト・ユウキ。
名前が日本名ポイって?
まあそりゃ、俺は正真正銘の日本人だからな。
本名は結城 湊
勇者召喚によってこの世界に来て2年。
魔王も倒したし、もうこの世界にいる必要もない。
この日のために、俺は〔異世界転生〕を開発したんだからな。
異世界の異世界は、元の世界のはず…。
別の世界でも、記憶は受け継がれるから、もう一度転生すればいいだけだ。
まあ、要はリセマラだな。
何故元の世界に帰ろうとするのか、だって?
確かに、俺だって楽しくなかったと言えば嘘になる。
魔法が使えてRPGみたいだし、勇者だからと、なにかと優遇されてたしな。
だがしかし、この世界は飯が不味い!
肉は固いし、缶詰やカップ麺、そして、生魚がない。
どこぞの小説の中では自分で料理を教えられているが、俺は高校生だ。
そんな知識、持ってるわけがない。
そして、考えた結果、日本に帰ればいい、という結論になった。
海外に転生する可能性もあるが、やってみないことには分からないからな。
俺がいなくなってパニックにならないよう、置き手紙も用意した。
[元の世界に帰ります。探さないで下さい。]
とりあえず、発動してみよう。
「〔異世界転生〕」
そうして俺の視界は暗転した。