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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

裏切り者系魔法使いの独白

作者:

西野真王(にしのまおう)です。まおと呼んで下さい。」


「その名前、誰も止める人居なかったの?」


「産院の先生含む関わった人達全てが止めたそうです。最終的に役所の人も止めました。それで魔という漢字を真に変えて提出した様です。私も祖父母も役所の方には感謝してます。」


「それは悪い事を聞いたね……。」


「いえ、こんなに突っ込んで聞いてくれた人居なかったから、嬉しいです。この名前はきっと私の宿命なんです。でも悪いと思ってくれているなら、一つお願いしてもいいですか?」


「いいよ、俺で出来る事なら何でも。」


「もし私が異世界転移して魔王にされていたら助けに来て下さい。」


「はは、分かったよ。助けに行くから、勇者にやられない様に頑張って待ってて。」


 そんな冗談を真顔の彼女と交わしたことを、ふと、思い出す。


 同じクラスになった春の日、隣同士になった彼女と初めて交わした会話だ。


 物凄い美少女の彼女と隣同士になれて浮かれて自己紹介していたら、名前のインパクトの強さに世紀末の王様のモリモリな肉体美が脳裏を過ぎって一気にクールダウンした。懐かしい思い出だ。


 彼女もこの異世界の何処かに居るのだろうか。魔王として……。


 そんな俺は勇者のお供の魔法使いとして彼等の旅に同行している。


 メンバーは、勇者、姫聖女、女戦士、女盗賊、魔法使い(俺)の5人。正直に言うと、魔王軍相手にこの5人、俺は裏切る予定だから実質4人で挑むとか、無茶もいいとこな気がするんだが。


 しかも、魔王になっているかもしれない彼女まおは、学年主席、頭脳明晰、勇猛果敢、容姿端麗、エトセトラ。彼女が魔王やってるとは限らないが、もし彼女だった場合、凝り性である彼女の性格が出ていないといいなと、思う。彼女の前まで辿り着けないかもしれないからね。


 ふと気付いたら異世界に居たというパニックを起こしかねない現状でなんとか息をして活動して居られるのは、異世界に来る直前に西野真王と放課後の教室で会話していた事があるかもしれない。

 彼女を囲む光の輪に思わず手を出してしまった瞬間の出来事だったからだ。こちらへ来て、何とか人の住む街へたどり着き、色々と生きて行く算段をつけてほっと一息ついた頃、魔王召喚を魔族が行ったという噂を聞いた。やはり、と思った。俺はどうやら彼女の召喚に巻き込まれたらしい、と。


 と、いうことは、彼女は魔王として呼ばれた可能性が高い。しかし魔王の下へ行くには、レベルの低い俺には厳しい。そんな時、魔王を退治する為に勇者が都を発ったと噂が流れた。俺は勇者パーティに合流する事を目標にレベルを上げて行き、勇者が通りかかるであろう街へ移動し、彼等の仲間入りを果たした。勇者なら魔王の下へ行くのが確実だろうと思ったからだ。


 だが、勇者一行は、俺の想像とかけ離れていた。


 頭の痛い事に、勇者と姫聖女は出来ている。勇者と女戦士も出来ている。勇者と女盗賊も出来ている。


 そんな勇者ハーレムの横にぽつんとひとり立ってるフツメンの俺。


 何故、俺はこんな所にいるのだろうか……。


「勇者さまぁ〜」


「どうしたの姫。」


「魔法使いのあの者が変な目でこちらを見ていますの。」


「君、姫をそんないやらしい目で見ないでくれないか。仲間としてやって行きたいなら。良いんだよ、いつでも出て行ってくれて、こちらはね。」


「すみません。」


「ほら、姫、彼も反省したって。」


「あんな気持ち悪い人、必要なんですの?追い出してしまえば良いのでは?」


 好き勝手な事を言っている彼等から目を逸らし、杖を目の前の魔物に向ける。


「フレイムバースト」


 呆気ない程に数匹の魔物達が燃え尽きた。


 正直、俺も彼等と行動を共にする必要はあるのか、と度々疑問に襲われる。


 奴らがいちゃいちゃしている横で淡々と魔物を屠っていく俺。


 伝説の剣とやらを抜いて勇者になったらしき奴は、ハーレムメンバーとの交流に忙しく、中々攻略に進んでくれないので、焦れた俺がほぼ一人でこれまでの攻略を進めてきた。


 そして、その全てが「流石勇者様」のひと言で終わる。


 俺が進め、勇者が手柄を自分の物にするというパターンも決まってきた。


 呆れた目を隠せず、チラリと奴らへ目を向ければ先程のセリフだ。


 しかし、俺には西野真王と交わした約束がある。


 彼女を助けに行くには、魔王城まで向かわなければならない。だが、其処に彼女が居るという保証はない。なので、例え魔王の部下を名乗る魔物が俺をヘッドハンティングしに来たとしても、断らざるを得ない。魔王が別の人物(魔物?)だった場合、困った事になるからだ。


 一人で行くという案も、現実には難しい。魔王城を探し出すには、勇者の名前を使って情報収集をする必要が有り、勇者の仲間であるという肩書きは非常に便利なのだ。民家に押し入って壺やタンスの中を覗いてヘソクリやアイテム貰って行っても文句言われないしね。


 なので、勇者と共に魔王城を目指しているという風を装って、一歩一歩進んで行くしかない現状には不満しかないが仕方ない。


 魔王城へ辿り着き魔王を確認次第、全力で裏切らせて頂こうと思っていますが、何か。






魔法使い

 仄かな恋心を抱いていたクラスメイトとの約束を守る為に、魔王の下へ向かった。初めは利用する勇者一行へ罪悪感を抱いていたが、勇者と一緒に行動する内に罪悪感は皆無になった。無事に真王まおと再会を果たし、勇者にはこれまでのお礼(名前を使っての情報収集やアイテム収集など)に始まりの王都へ転移させる。


勇者

 ハーレムでの恋愛に忙しく攻略が進まなかったので、流石にヤバイと思い、攻略を進めてくれる人を仲間にしたいと、魔法使いを一行に加えた。お蔭で魔王城へはサクサク進み、楽勝だぜと、魔王の姿を見た途端に一目惚れしたが、直後魔王にぶっ飛ばされる。その後魔法使いに裏切られて「おお、勇者よ情けない。始まりの王都からニューゲームな」と王都へ転移させられる。魔王討伐が失敗したのは魔法使いの所為だと言いふらすが、便利だった魔法使いが居ない状態でのやり直しはうまく行かず、無能さを世間に知らしめる事になる。


魔王

 仄かな恋心を抱いていたクラスメイトを巻き込んでの魔王召喚で、彼に助けに来てと冗談半分で言ってしまった事を後悔し、彼だけでも元の世界へ帰したいと、魔王の権力を使い調べていた。勇者と戦い殺される時のエネルギーで召喚陣を起動させて送り帰すという計画までは作っていたが、魔法使いが助けに来てくれた事に嬉しいやら申し訳ないやらの感情が爆発し勇者を吹き飛ばしてしまう。あっと思っていたら、魔法使いが勇者を転移させてしまい、計画は失敗に終わった。ガックリする魔王から事情を聞き取った魔法使いが、「お前が殺される位なら帰らなくてもいい」と「二人で生きて行こう」のプロポーズ紛いの言葉に、嬉し泣き。魔王と王配としてラブラブしつつ魔族を調教して人類との平和を模索する日々を送っている。


伝説の剣

 剣が差してある岩がある場所にイタズラで入り込んだ子供がうっかり引っこ抜いたが、そっと元に戻して逃げた。その後、騎士団に所属するチャラ男騎士がたまたまこの村を訪れた際にふざけて抜こうとしたら抜けてしまって彼が勇者認定に。その後本来の力を発揮すること無くチャラ男騎士の腰で揺れている。



作者

 恋愛を行動の軸にしているものの本編に恋する二人が出てこないという内容ではたして恋愛カテゴリーに入れても良いものかと悩んでいる。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 偽勇者:真面目にレベル上げしてたのは序盤だけ。魔法使いに出会ってからはレベル停滞。後述の理由により素手の女聖女にフル装備で負ける。 女騎士:いちおう近衛騎士。他は偽勇者と一緒。 女…
[一言] すっげー面白そうです。 連載希望。 真王ちゃん視点、カス勇者視点も欲しいです。 後、他のパーティーの顛末も同じですか? 仔細込み、長編で読んでみたい。 駄文失礼いたしました~
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