表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

第4話「支配される快楽」(スノウ)

「イーヴァルディ」


 アドルフィーネ様が呼びかけると、ぬっと醜悪な小人ドヴェルグが現れた。

 驚き、怯える私に、アドルフィーネ様がなだめるように笑いかける。


「この子は私の使い魔だから。ベッカー公爵家の血筋が持つ魔物使い、モンスターテイマーの力で支配されているから、襲ってきたりなんかしないわ」


 凄い、と思うと同時に、


「まぁ、その力でスノウ様、貴女もこれから支配されちゃうんだけれど」


 そうささやかれる事実に戦慄する。


「ほら、手に取って」


 私の手に押し付けられる銀に光る首輪。


「自分で首に巻いてみてちょうだい」


 アドルフィーネ様はその素晴らしい声で、機嫌よく歌うかのように言う。


「ううっ……」


 自分で自分の首に首輪を着ける屈辱。

 震える手を回して、


 パチン


「あっ、あぁっ!」


 は、ハメちゃった。

 自分の手で首輪を着けちゃった。

 ぞくぞくっ、と背筋に戦慄が走る。


「さぁ、その首輪をミスリル銀のリベットで、鋲で止めてあげるわ。二度と、死んでも外れないように」


 アドルフィーネ様は上機嫌で小人ドヴェルグに命じる。


「イーヴァルディ」


 その指示に従って、小人ドヴェルグは鍛冶に使う金床を運んできた。


「あ、ああ……」


 私は金床の横に、あおむけに横たわらせられた。

 首輪の端にミスリル銀のリベットが差し込まれる。

 そして小人ドヴェルグがその手に持ったハンマーを振り上げた。


「あああああああ!」


 振り下ろされるハンマー!


「ひぃっ!」


 首筋ぎりぎりを通過してハンマーがリベットの頭を叩く。

 ガン、という振動が首輪を通して身体に突き通った。


「あーっ!」


 何度も、何度も振り下ろされるハンマー。


「あーっ! あーっ!」


 それに合わせて私の喉からは繰り返し絶叫が絞り出される。


 涙でにじむ視界の隅に、私をのぞき込んでいるアドルフィーネ様のお顔が映り込む。

 その表情は、まるで天上の音楽に聞き惚れるかのように上気していた。


「これでスノウ様は私のペットとしてずっと繋がったままですわ」

「あ、あぅ……」


 無限とも思える繰り返しの果てに、ぐったりと脱力して横たわる私。

 もうダメなのね。

 人としての私はもうお終い。

 動け…… ない……


「スノウ様? 仕方がありませんね」


 強引に引き起こされる。

 首に強い圧迫感。


「あぐっ!」

「ペットのしつけは調教師テイマーの私がしてあげないと」


 隷属の首輪につながれたリード。

 その先はアドルフィーネ様の、ご主人様の手に握られていた。


「それでは仕上げですわ」

「あがっ!?」


 何が起こったか分からなかった。


「魔力吸収、です」

「アヒィィィィ!?」


 全身から力が搾り取られる。

 こっ、これは……


「テイマーとペットの間にはパスがつながれ、お互いの魔力を融通しあえるようになるわけですけど」


 耳元にささやかれる言葉。


「それを応用すれば、こんな真似もできます。魔力を抜かれ、絞りカスにされていく気分はどうですか?」


 あぁっ! あぁっ!


「それにしても素晴らしい魔力ですわ。さすが伝説の雪狼の血筋を引く聖女様」


 魔力を根こそぎ奪われて、身体をわななかせる私。

 その無防備になった身体に、さらにハードな責めが施されようとしていた。


「これなら最高強度の絶対拘束ギアスの行使も可能ですわね。グレイプニル!」


 高密度に編まれた魔力の鎖が私の身体を、精神を、いいえ、魂をギチギチに縛り上げ、拘束していく!


「はぐーーーーーーっっっ!!」


 絶叫が絞り出された。


「いかがです? 魔力を奪われ、抵抗できなくなったところに、自分の魔力を利用して編まれた術式を叩きこまれ、拘束されていく気分は」

「うぁぁぁぁぁ!!」


 鎖がひときわ絞り込まれ、身体に食い込み、そしてずぶずぶと皮膚に埋め込まれていく。

 私の身体が、精神が、魂が、二度と戻れないよう作り替えられていく!


「これであなたは指一本、いいえ、髪の毛の一本に至るまで私のもの」


 そして私は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ