いつもの四人
僕らが帰った時には辺りは真っ暗になっていた。どうやら別動隊の偵察班が僕らが捕まってる所を目撃したらしくそれを報告し今、救出部隊が出撃するところだった。みんなかなり心配してたらしく僕らが帰ってきたことにとても驚いていたがすぐにみんなは「よかった。」「無事で何よりだ。」と泣きながら言ってくれた。
みんなにかなり迷惑をかけたなと思い僕らは報告のため会議室にいるフレデリカの所に向かっていた。
「みんな仲間思いで優しいのね」
僕達を心配してくれた仲間の様子を見て彩姫は想像してたよりも優しかったみんなに対して驚いていた。
「そうでしょ! みんなとても優しいんだよ!」
仲間を誉められて星華はとても嬉しそうだったが僕はそんなことよりもフレデリカ師匠に何て言われるかそればかり気になっていた。
「大丈夫だって。フレデリカもきっとショウのことが心配で無事戻ってきたことに喜んで怒らないと思うぞ」
龍太とは一番長い付き合いだからこの程度の悩み事はすぐに分かってしまう。
「お前はそう思うか?」
「あぁ。だってショウのことを一番に考えているのはフレデリカだと俺は思うな」
そうだといいんだけどなと思いつつ歩いていたらいつの間にか会議室の前まで来ていた。
緊張をほぐすため一回深呼吸をして部屋に入った。
「心配かけてすみませんフレデリカ師匠ただいま戻りましたああぁぁぁ!?」
いきなり、フレデリカ師匠がタックル気味に抱きついてきびっくりした僕は情けない声をあげてしまった。
「よかった、本当によかった。敵に捕まったと聞いた時は、もう帰ってこないんじゃないかと思ってた。でもこうして無事に帰ってきてよかった・・・・・・よかった・・・・・・本当によかった」
初めてこんなに慌てる師匠を見たかも知れない。普段はクールで怒ると怖い師匠だが、今はわずかに肩が震え目尻には涙を浮かべていた。
「すみません。こんなに心配をかけるようなことになってしまって」
それでもまだ師匠の肩が震えていたがしばらくしてだいぶ治まってきたようだった。
「落ち着きましたか、フレデリカ師匠。そのよろしければそろそろ離してもらえると嬉しいのですが・・・・・・」
やっと今自分が何をしているのか気づいたフレデリカ師匠はバッと僕を離しいつものクールな感じに戻ったが顔は少し照れていた。
「すまんみんな、見苦しいものを見せてしまったな」
そんなフレデリカ師匠に後ろの三人は笑いを堪えていた。
「それで・・・・・・その・・・・・・お前達はどうやって敵から逃れたんだ」
さっきまでとは裏腹にいつも通り話しているフレデリカ師匠に可愛いと思った自分を殴りたかった。
「あ、あぁ彩姫が敵の拠点を潰してくれたおかげでこうやって帰ってくることができたのです」
自分の名前が出たので彩姫が僕の後ろから前に出てきた。
「はじめまして私が一ノ宮彩姫です」
深々と頭を下げて挨拶する彩姫に対してフレデリカ師匠も挨拶した。
「ありがとう。君のおかげで大切な仲間が助かったよ」
彩姫はお礼を言われて嬉しそうにしていた。
「立ち話もなんだしみんな部屋に入って話をしよう」
フレデリカ師匠の誘導のもと僕らは会議室に入り適当な席に座った。
「では、翔天疲れているところ悪いが任務の結果はどうだった四人目の神器使いに会うことができたか」
「「「えっ!!」」」
僕と龍太と星華の反応を見てフレデリカ師匠はどうしたんだと首をかしげていたが、僕らが彩姫がその四人目の神器使いだと説明したら今度はフレデリカ師匠が驚いていた。
「ほ、本当に、彼女が、四人目の神器使いだと言うのか」
僕らが縦に首をふるとフレデリカ師匠は、彩姫に失礼をもうしたと謝っていた。
「まさか君が四人目の神器使いだとは思わなかったよ・・・・・・でもどうやって一人で敵の拠点を潰していたんだ?」
この質問は僕らも聞きたかった。
五十人ぐらいなら僕でもいけるかもしれないけど、今回は三百人近くもいたのに一瞬で倒していた。
彩姫の発言に一同は静まり返っていた。
「えーと別に私一人で倒していませんけど」
まさかの返答に誰も口を開かなかった。
「あれ? 何でみんな黙ってんの?」
逆になんで黙っている理由に気づかないんだろうと全員が思った。
「ア、アヤちゃん一人で倒してないならどうやって倒したの?」
やっと僕らが黙っていた理由に気づいたようだ。
「そうだよね、あれだけじゃ意味がわからないよね・・・・・・えっと正確に言うなら私と精霊の二人で倒したの」
「「「「・・・・・・えっーーーーーー!!!」」」」
僕達が急に声をあげて彩姫はびっくりしていた。
「えっ、ちょっと何でそんなに驚いているの?」
ついに我慢の限界にきた龍太の怒りが爆発した。
「そりゃぁ驚くだろ!!普通に精霊と一緒に倒したって言われてはいそうですかと納得できるわけないだろ!! お前は頭いいくせに何でそんなにぬけているんだよ!!」
流石に今の言い方には彩姫も腹が立ったらしく、かなり怒っているようだ。
「そんな言い方はないでしょ!! 確かに私の言い方が悪かったかもしれないけどそんなに怒ることないじゃん!!」
二人の口論はどんどんヒートアップしていき今にも取っ組み合いになりそうな雰囲気だった。
「ま、まてお前ら!」
ついにフレデリカ師匠が口を開き事態が好転すると思っていたが。
「もしかしてお前達は彩姫と知り合いなのか!」
えーーーーそこかよ。
「そうだよフレデリカ、私たちとアヤちゃんは前の世界で一緒にいた友達だよ」
この瞬間もうまともに話し合うのは無理だということがわかってしまう。
ケンカの声と懐かしい話で盛り上がってる声を止める方法を翔天は一つしか知らなかった。
「あぁーーーもう、みんな一回黙れーーー!」
急な叫び声に先程までうるさかった会議室が静かになった。
「ショウ急におらぶなよ、みんなに迷惑だぞ」
「そんな風に言うとみんなが不機嫌になるから気を付けた方がいいよショウ」
「ショウ、悩みがあるなら相談にのるよ」
まさかの返しに開いた口が塞がらなかった。
「何で僕が悪いみたいな雰囲気になっているんだよ!」
昔からそうだった。龍太と彩姫は意見がなかなか合わずケンカばかりしていたのに僕に文句を言うときだけは意見が合い、星華にいたってはいつも何か勘違いしているし、みんなこういうところは変わっていなかった。
そんな光景を見てフレデリカは、笑っていた。
「フフフ、君たちは本当に仲がいいんだな」
今僕らのせいでかなり話が脱線してしまったことに気づき申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「まぁ今日は色々あったから話は明日にしよう」
確かに今の状態では、話をすることは無理だろうからフレデリカ師匠の言うとうり明日にすることにした。
「なら私はどうしたらいいんですか?」
彩姫はまだ革命軍に入ったわけでもないので今日寝るところがなかった。
「フレデリカ、私の部屋二人部屋で私一人しかいないから大丈夫だよ」
彩姫もそれでよく、フレデリカも断る理由もなかったので星華の部屋に泊まることになった。
明日の集合時間を九時にして解散することにした。