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異世界で始まる英雄伝説  作者: 松原太陽
封印の扉と鍵
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星華の過去~リアお姉ちゃんの出生~

 どれだけ私はお腹を空かせていたのだろうかと疑うぐらい私はリアお姉ちゃんが作ってくれた昼食をきれいさっぱりに食べきっていた。

 「よかった。それだけ食べれるんだったら体調のほうは大丈夫そうね」

 まぁどこか体調が悪かったわけではないのだが自分でも驚くぐらい食べたものだ。いつもならこの量の半分も食べれないのに・・・・・・エルフになったことと関係があるのだろうか。

 「ねぇリアお姉ちゃん」

 「ん、なぁに?」

 私は食べながら一つだけどうしても気になることが一時、頭の中でぐるぐる回っていた。

 「何でリアお姉ちゃんはこんなところで一人で暮らしてるの?」

 見た感じリアお姉ちゃんの年齢は十代後半から二十代前半でかなり若く見える。

 だからこそ一人でこんな見るからに怖くて危なそうな場所に住んでいるのが気になるのだ。

 「・・・・・・実はね、私・・・・・・ハーフエルフなの」

 「ハーフ・・・・・・エルフ?」

 聞いたことない言葉だと思っていたがこの前、ショウと龍太がゲームの話をしていてハーフエルフがどうのこうのと話たのを聞いていた。その内容からして確かハーフエルフは・・・・・・。

 「私はねエルフの母親と人間の父親の間に産まれた混血児なの」

 混血児。それを聞いた瞬間、私が頭の中に浮かんだ言葉、それは・・・・・・迫害。

 「この近くにねエルフ達が暮らす集落があるんだけど・・・・・・お母さんもそこで暮らしてたの」

 「うん」

 「それである日お母さんが森の中を散歩しているときに人殺しの罪で逃げているお父さんと出会ったらしいの」

 この話を聞いていると何故か嫌な予感がして堪らない。 

 「二人は互いを一目惚れしたらしくてお父さんがお母さんを連れて駆け落ちしたらしいの」

 「駆け落ちした理由って・・・・・・」

 「うん、お母さんはお父さんが何をしたかを知った上で好きになったらしいんだけど親は絶対に許してくれないと思っていたから・・・・・・」

 じゃあリアお姉ちゃんが住んでいるこの家は。

 「駆け落ちした二人はここに家を建てて幸せに暮らしていたらしいの。それから五年後ぐらいに私が産まれたんだって」

 両親のことを話すリアお姉ちゃんの顔を優しい顔をしていたが徐々にその顔は悲しみの顔になっていく。

 「でもそれは長くは続かなかったわ。私が十歳になった頃、お父さんは捕まりお母さんはエルフの人達に殺されたの」

 悲しみを必死に堪えるかのようにリアお姉ちゃんは俯き肩を震わせていた。

 「エルフの人達は私も殺そうとしたわ。でも醜い生き物だから関わらない方がいいだろうって・・・・・・」

 「だからリアお姉ちゃんは一人でここに住んでるの?」

 「・・・・・・そうよ。だからね本当は貴女はここに連れてくるよりもこっそりエルフ達の集落に連れていけばよかったんだけど・・・・・・あいつらよそ者って理由だけで星華に酷いことするかも知れないと思って・・・・・・」

 今までの話を聞く限りこの世界のエルフは非情で心の狭い人達だと分かる。そう思うと私を見つけてくれたのがリアお姉ちゃんで良かったと心から思える。

 「リアお姉ちゃん、私に一緒に暮らさないか聞いたよね」

 「えっ、ええ言ったけど・・・・・・」

 話を聞いていた私はリアお姉ちゃんの本心を少し知り、リアお姉ちゃんの優しさに触れた。おかげで死にたいと思っていた私の心は生きたいと思っている。たとえ普通の人達よりも長く生きるとなっても。

 「私、リアお姉ちゃんと一緒に暮らしたいの!」

 「・・・・・・! いいの? あんな話を聞いてい私と一緒に暮らしたいの?」

 「うん。だってリアお姉ちゃんは何一つ悪いことなんてしてないでしょ」

 たとえリアお姉ちゃんが混血児や犯罪者の子供だとしてもそれはリアお姉ちゃんには関係のないことだ。

 「ありがとう。これからよろしくね星華」

 席を立ち笑顔で私に握手を求めるリアお姉ちゃんに私も椅子の上に膝立ちして握手に応える。

 「私の方こそよろしくお願いしますリアお姉ちゃん」

 「フフ、何でいきなり敬語なのよ」

 「さぁ何でだろうね」

 部屋中に二人の笑い声が響くなか私とリアお姉ちゃんの共同生活が始まるのだった。


 

 

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