私のミス
四対一、アストロギアの障壁を壊せるウンディーネがいる以上それほどアストロギアに苦戦することはなかった。
遠距離で魔法の攻撃を行っても星華の武器により全て跳ね返され今はアルナールと彩姫の連続攻撃で手が一杯のようだ。
「ぐぅ、まさか私がここまで圧されるなんて」
「さすがのお前でもこれを対処するのは難しいか」
一緒に戦って思うが何故今までアルナールがアストロギアに勝てなかったのが分からなかった。
別にアルナール一人でも互角以上に戦えるのに。もしかしたらアストロギアの魔法をウンディーネと星華が防いでるのが大きいのかもしれない。
「この力は想定外ですよ。まさか今の英雄の強さがここまでとは」
焦っているのだろうかだいぶアストロギアのキレも悪くなり何発か当たりだす。
一瞬何かを狙っているのかと思ったが見た感じそんな様子もなく本当に打つ手がないようだ。
しばらく一進一退の攻防を続けていると遠くから聞こえてきた戦う音が聞こえなくなった。
「どうやら向こうの方は片付いたようだな」
チラッと様子を見るとショウと龍太がハイタッチをしているのが見えた。
「なら私達もそろそろ終わらせましょうか」
「おのれ調子に乗りよって~!」
「うるせー! お前はここで終わんだよ」
サポートに回ってた星華もこちらに加勢しついにアストロギアは反撃すら出来なくなった。
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なあ!!」
出会ってからずっと余裕な態度で挑発していたアストロギアの面影はもう消えていた。
「私は・・・・・・私はまだここで終わるわけには!」
苦し紛れに放った手のひらサイズの火の玉は星華の方に向かったが星華はそれを前髪をかすらせて避ける。
この一手はもうアストロギアには何も打つ手がないことを示したのと同じだった。けど私は見てしまった。焼けて消えた前髪により今まで隠されていた星華の左目を。
「ホノちゃん・・・・・・その目は」
今思えば何故この時、攻撃の手を止めてまで星華に聞いてしまったのかは分からなかった。
「目? ・・・・・・っ!!」
ようやく今まで隠していた前髪がなくなっていることに気づき星華は左目を押さえたまま動かなくなった。
「もしかして・・・・・・見たの」
私は黙って頷くことしか出来なかった。
「おい何をしているんだ!」
アルナールの声を聞いて振り返ったとき私の視界に入ったのはアストロギアから出る黒い触手がアルナールの腹部を貫く光景だ。
「アルナール!」
まだアルナールには息があるようで何とか触手を切り落としていた。
「相変わらずタフですね~。でももうそんなことはどうでもいい!」
完全に息を吹き返したアストロギアは黒い触手で私と星華を拘束した。
「な、何これ」
「全く動けない」
「彩姫! 星華!」
ウンディーネが助けに入ろうとしても黒い触手が邪魔をして近づけない。
「ついに見つけましたよ~。これで魔女がいなくてもマーラ様を復活させることができる~!」
この時アストロギアが何故、星華に向かってこのようなことを言ったのか今は分からなかった。