二人の合体技
「うっううう・・・・・・許さん許さんぞお前ら」
傷口を押さえる魔女の右手は淡く仄かに光ってる。
「あれは回復術か」
龍太の言う通りで魔女の傷が見る見るうちに治っていく。
「意外としぶといな」
「ああ決着をつけるぞ」
ミカとミエを一旦後ろに置く。
「ここで待っといてすぐにあいつを倒すから」
「うん。負けないでよショウ」
「大丈夫だよ。僕は・・・・・・僕らは負けないから」
傷が治る前にトドメをさそうとしたが既に魔女の傷は治りきっている。
「今度こそ、今度こそお前らを殺す」
魔女から溢れでる憎悪と殺気は強いが今更その程度のことで僕と龍太がビビるわけがない。
「体力の方は大丈夫か」
「大丈夫と言いたいところだけどさっきの攻撃でかなり使いきった感はあるな」
やはりか。只でさえ魔女復活のための魔法で体力を奪われてるのに神の細胞を使った属性解放術や武器に魔力を送ったりとかなり無茶をしたため龍太がこれ以上戦うのは厳しいだろう。
「ここまで来たのに悪いな」
悔しそうな顔をしていた龍太だが背後から全てを包み込むような優しい光が僕と龍太を照らす。
「こ、この光は?」
「傷が・・・・・・いや体力までもが回復されていく」
後ろを向くとその光はミエの手から出るものだった。
「これで戦える?」
「ああ充分だ」
「それなら良かった」
一瞬でここまで回復できるなんてミエの回復術の凄さに驚かされる。
「体力も戻ったことだし・・・・・・ショウ昔考えた合体技を試してみないか」
「あの技か!」
この世界に来てフレデリカ師匠に戦いかたを教わったばかりのころ僕らは自分達にしか出来ない技が欲しく編み出した技だが上手く出来なくて止めてしまった技だ。
「あの技なら確実にあいつを仕留めれるはずだ」
また昔みたいに失敗するかもしれないけど今の力量と属性解放術があれば成功するかもしれない。
「そうだねやろうあの技を」
「よし、じゃあ行くぞ。遅れるなよ」
「そっちこそな」
僕らは走りだしそのまま左右に分かれる。
「何しようと無駄だ!」
僕らに向かって無闇に氷の弾丸で攻撃してくるがそれを全て避けていく。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ねー!」
一瞬ミカ達は大丈夫かと思ったがミエの出している防御魔法で身を守っている。
「これでどうだー!」
攻撃を一旦やめると今度は足元から大量の岩でできた槍が突き上げてくる。
「おっとあぶね!」
最初はどこから出てくるか分からず被弾しかけるも出てくる前に魔方陣が見えることに気づき難なく避ける。
「ホントにイライラする。いい加減死ね!」
今までで一番長い詠唱する魔女に少しでも僕らは距離を詰める。
「“全ての物を紅蓮の業火で焼き尽くせ開け魔界の門よクリムゾン・フレア”」
魔女の周囲から現れた炎の壁がどんどん広がっている。だがかなり高位の魔法を唱えた魔女は少し疲れているようだ。
「今だ! ショウ」
「ああこのタイミングしかないよな属性解放・水神!」
溢れでた大量の水は炎の壁を全て消し去る。
「ば、馬鹿な複数の属性を持っているだと」
炎の壁を消されたのもそうだが何よりも複数の属性を使う僕に魔女は明らかに動揺していた。
「やるぞショウ」
僕らは既に充分攻撃が届く範囲におり魔女はそれに気づくのが遅かった。
「唸れ烈風!」
「轟け雷光!」
荒れ狂う風は翔天の剣に、強烈な雷は龍太の槍に纏わり風の剣、雷の槍と化す。
「それは、まさか・・・・・・纏いの力!」
「これで」
「終わりだ!」
翔天が剣を振り上げるのと同時に龍太は槍を降り下ろし最後に魔女の腹部を横一線に斬り払う高速のコンビネーションにましてやは反応することができなかった。
「これが俺達の技」
「ライトニング・ノヴァだ」
魔女の被る帽子が地面に落ち魔女の目は信じられないと言わんばかりに見開いていた。
「そんな・・・・・・私が・・・・・・こんな・・・・・・ところ、で・・・・・・」
切られたところからドクドクと血が溢れだし魔女はバタリと倒れ二度と動くことはなかった。