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異世界で始まる英雄伝説  作者: 松原太陽
魔女の爪痕
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覚醒・風

 終わった。僕はミカを助け出すと誓ったのに助け出すことができなかった。それどころかミカにお願いされていたお姉さんの救出もできなかった。

 「くそっ! 俺があの時セバスに任せていなければ」

 龍太に自分を責めるなと言うのは無理な話かもしれない。それに龍太は研究所でミエと親しくしていたらしく、心の中ではきっと僕と同じようなことを考えているだろう。

 「ようやくようやくですよ~。さぁ早くマーラ様の復活を!」

 両手を広げ魔女に催促するアストロギアだが魔女は一向にマーラを復活させようとしない。

 「何をしているんですか~。さぁ早くするのです」

 「なんであの魔女は何もしないの?」

 「・・・・・・なるほどそういうことね」 

 「もしかしてウンディーネ何か分かったの」

 どうやらウンディーネだけが今、魔女に何が起こっているのか分かったらしい。

 「どうやらあの魔女はまだ二人を取り込めたわけではないみたいなの」

 「えっそれってどういうことなの」

 「簡単にいえば胃袋と同じよ。食べたものがすぐには消化されないように魔女もまだあの二人を消化できてないのよ」

 「フフさすがは八大精霊の一人ですね。その通りですよ私はまだあの二人を完全には取り込めてません」

 ウンディーネの言っていたことは本当のようだなら。

 「ならまだ助かる可能性があるということか!」

 「ええ、あの魔女さえ倒せばだけどあまり時間はないわ」

 助かることさえ分かればまだ希望ある。だから僕はまた身勝手な決断をする。

 「ならみんなはアストロギアの方を頼む。魔女は僕が殺るから」

 「待ってショウ貴方また・・・・・・」


 “お前はまた一人で戦おうとするのか”


 まただまたあの声が聞こえてきた。


 “お前は前回一人で戦いその結果大切な人を亡くしている。それでもお前は一人で戦うと言うのか”


 正論だ。だが今回は前とは違う。


 ーー確かにお前の言う通りだが今回は大丈夫だ


 “何故そう言いきれる”


 ーーだって今僕は全く怒りが湧いてこないんだ


 そう前だったらミカが魔女に取り込まれた時点で怒りで我を失ってはずだが今回は何故か怒りが全く湧いてこない。


 “だから大丈夫と。ふっ、浅はかな考えだな”  


 ーーお前にしてみれば確かに浅はかな考えかもしれない。けど不思議と力が沸き上がってくるようなんだよ


 “ほう”


 頭の中に直接語りかけてくるこいつは誰だか分からない。味方なのか敵なのかさえも。だからこそ僕はこの声から逃げるわけにはいかないんだ。


 “面白いなら見せてみろお前の力を”


 そう言い放つと声は聞こえなくなった。

 「おいショウ。何一人で戦うなんて言ってるんだよ」

 彩姫の言葉を遮り僕の近くまで来たのは龍太だった。

 「大丈夫だから僕を信じ、グフッ!」

 いきなり龍太に腹を思いっきり殴られとても痛い。

 「な、何するんだよ急に」

 「悪いがあの魔女には俺も用があるんでな。だからあいつは俺ら二人で倒すぞ」

 「ちょっ! 龍太も何言ってんのよ」

 そうだ僕がミカを助けたいように龍太はミエを助けたいんだ。

 「二人でも無理よ。みんなで戦えば・・・・・・」

 「悪いが無理だな。なーに心配するな今スゲー力が湧いてくるんだ」

 龍太も僕と同じで謎の自信に満ち溢れているようだ。

 「そうだね。よしっ! じゃあ僕達二人であいつを倒して二人を助けよ」

 「おう」

 二人で倒すそう決めたが彩姫と星華だけは認めてくれない。でもアルナールだけは違った。

 「彩姫、星華俺達はアストロギアを倒すぞ」

 「で、でも」

 「お前らは翔天と龍太と昔からの仲なんだろ、なら信じてやれよ。」

 そう言われると彩姫と星華はしぶしぶアルナールの意見に賛同した。

 「悪いな」

 「・・・・・・別によくよく考えたらアストロギアも倒さないといけないんだから」

 「そうだよね。でも助けると言った以上必ず二人を助けてよね」

 そう僕は一人ではない。口ではああ言っている二人だけど心ではきっといや絶対に信じてくれる。だから僕は一人じゃないんだ。

 「話し合いは終わりましたか~。ですがここで魔女を失うわけにはいきませんからね~」

 また両手を広げるとアストロギアと魔女にまたあの障壁が現れる。

 「さあこれで私達の勝ちは確実ですよ~。イヒャヒャヒャヒャ」

 「それはどうかな」

 「何?」

 あれだけ苦戦されていた障壁だが今となっては大したことのない障壁にしか感じない。

 「なぁーショウあの障壁どう思う?」

 「ん~別に何とも思わないよ」

 二人で顔を見合わせるとニイッと笑う。

 「タイミング外すなよ」

 「お前もな」

 そう言いながら僕と龍太は障壁に走る。

 「いくら虚勢を張っても無駄ですよ~」

 「なら虚勢かどうか確かめてみなよ」

 「「属性解放・風神(雷神)!」」

 龍太は強烈な雷を翔天は荒れ狂う風を纏わせる。

 「これで」

 「どうだー!」

 二人の息の合った攻撃はアストロギアの作り出した全ての障壁を簡単にぶち壊す。

 「な、何~!」

 驚きのあまりアストロギアは金魚みたいに口をパクパクしている。

 「さあ覚悟しろよ」

 「ミカ達を」

 「「返してもらう!」」

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