魔女の完全復活
「一体何のまねなんだセバス!」
アルナールが属性解放術を発動しようとしたとき後ろから龍太の叫び声が聞こえた。
僕らは後を振り向くとそこにはミカとミエを魔女に渡しているセバスの姿があった。
「な、なんで魔女があそこに」
彩姫が驚くのも無理のないことだ。まさか魔女が二人いたことに。
「くそっ、やられた。おい龍太! 今すぐセバスをぶん殴れそいつ洗脳されているぞ!」
忘れていたアストロギアが得意とする技の存在を。
「洗脳だと・・・・・・」
アルナールの言われた通りにすぐさま槍の柄でセバスの後頭部を殴り気絶させる。だがミカとミエを捕らえた魔女は一気に距離をとる。
「ミカ!」
「イヒ、イヒヒヒ、イヒャヒャヒャヒャ!」
アストロギアの気味の悪い笑い声が部屋中に響き渡る。
「アストロギア!」
「イヒヒ、ホントに愚かな人達ですね~。私達がこの瞬間を狙っていたことに全く気づかないなんて~」
彩姫と星華と戦っていた方の魔女は黒い霧に四散しミカとミエを捕らえてる魔女の方に向かう。
「もしかして私達が戦っていたのって・・・・・・」
「そうだ我の分身だ」
恐らく今、彩姫の精神はショックでボロボロだろう。彩姫は正義感が強い分こういう状況ほど自分自身を責める。
「くそっ、ミエを返せ!」
龍太の怒りの一振りは魔女に届くことはなく黒い霧に四散しアストロギアの横に現れる。
「さぁ~その二人を取り込み完全な姿に戻るのです!」
「そんなことさせない」
今にも二人を取り込みそうな魔女をなんとか止めるべく一斉攻撃を仕掛けたがアストロギアの障壁がまた行く手を阻む。
「またこの壁・・・・・・ウンディーネお願い」
「ええ分かってるわ」
ウンディーネは同じように障壁を壊したがまた目の前に新たな壁が現れていた。
「嘘」
「イヒャヒャヒャさすがに二度も同じへまはしませんよ~」
「くっ!」
何度も何度も壁を破壊していくが次々と新たな壁がでてくる。
「さぁ! 今度こそ見るのです魔女の完全復活する様を!」
そう叫ぶと魔女の体の中心に黒い渦が生まれた。それはまるで小さなブラックホールだった。
「やめろー!」
僕は力の限りに壁を叩くがびくともしない。
「ホント人間は無駄なことをする者が多いですね~」
狂ったように壁を叩くがひび一つも入らない。
そんな僕の無駄な行為を嘲笑うかのように魔女は小さなブラックホールにミカとミエを放り込んだ。
「やめろー!」
僕らの行いは全て無駄に終わり魔女は完全復活を果たした。