反撃の一撃
「あれが魔女?」
魔女はおもむろに左手を前に出すや三つの火の玉を放つ。
「翔天、彩姫来たぞ!」
襲いかかる火の玉をそれぞれが一つずつ処理をするが思っていたよりも威力が高く腕が少し痺れてしまった。
ハッと意識を戻し次の攻撃に備えるが魔女は攻撃することなく自分の左手をじっと見つめ開いては握ってを繰り返している。
「ん~どうしたのですか~?」
「どうやらまだ完全ではないようだ」
「やはり不完全でしたか~。でもあの二人さえ取り込めば完全体になるので問題ないですよ~」
どうやらまだ本調子ではないらしい。それならまだ倒せるチャンスはあるということだ。
「よしならとっととあいつらをぶっ飛ばすぞ!」
「「属性解放・炎神!」」
「属性解放!」
僕とアルナールは紅蓮の炎を彩姫は両拳に光を纏い魔女とアストロギアに突進する。
あの二人は魔術師のはずだから接近戦に持ち込めばまだ勝機はある。
だが見えない壁に阻まれアストロギアの所まで行くことができなかった。
「忘れましたか~。私にはこの障壁があることを~」
「ちっまだあったのか」
魔女の登場によりすっかり忘れていた。僕らはどうにかしてあの壁を壊さなければ勝ち目がない。
「では攻めの方は任せましたよ~」
アストロギアがそう言うと魔女は両手を突きだす。数秒後右手に炎の塊が左手には氷の塊が現れる。
「喰らえ!」
両手から放たれる無数の炎と氷の弾丸をこちらに目掛けて打ち出す。
威力が低く何とか弾いていくが数が多く全て捌ききれない。
「どうするこれじゃ近づくことも出来ないぞ」
確かにこの弾丸をくぐり抜けた所であの壁が邪魔で近づけない。
「イヒャヒャヒャヒャさあ速く諦めて死になさい!」
アストロギアが勝利を確信していたとき急にアストロギアのいる所の天井が崩れた。
「何?」
崩れる天井に紛れて一つのの人影が見えた。
「あ、あれは・・・・・・」
「ホノちゃん! それにウンディーネ!」
降下する星華に続くような形で後からウンディーネの姿も見えた。
「はあぁぁぁぁあ!」
空中でバランスを保った星華はアストロギアの顔面を狙い回し蹴りをする。
「何だとぉぉぉー!」
完全に顔面を捉えた星華の蹴りによりアストロギアは左側の壁まで吹き飛ぶ。
「そこだ!」
着地時を魔女に狙われ至近距離で炎と氷の弾丸を放たれたが星華はそれをあっさりと交わし魔女の腹部に横蹴りを行う。
アストロギアと同じように吹き飛ぶ魔女だが空中で体勢を立て直し着地する。
「みんな助けに来たよ!」
「ナイスタイミングだよ星華!」
星華が二人を吹き飛ばしている間にウンディーネはアストロギアの作った障壁を解除していた。
勢いよく僕らのいる方までジャンプした星華はみんなが無事だったことでホッとしているようだった。
「星華、リアンユは!」
「リアお姉ちゃ・・・・・・リアンユは殺したわ」
余程辛かったのだろうか哀しい表情をしていた。
「ホノちゃん・・・・・・」
「星華、辛いだろうけど今は・・・・・・」
「分かってる。それにリアンユとはちゃんとお別れを言ったから大丈夫だよ」
気丈に振る舞っているが取り込めば問題は無いようだ。
「よし。星華とウンディーネがいればあいつらの魔術は怖くないぜ」
アルナールの言う通りだ。星華の武器、海瀧リヴァイアの魔力を跳ね返す力とウンディーネの障壁を解除できる力があれば何とか勝てるかもしれない。
「みんな反撃開始だ!」