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異世界で始まる英雄伝説  作者: 松原太陽
魔女の爪痕
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決着とありがとう

 二対一、ウンディーネが完全にサポートに回っているお陰で防御のことを気にせず戦えるがそれでもリアンユに一撃がはいることがなかった。

 「ハァァア!」

 スピードを活かし何度も背後を取った攻撃をするがリアンユは落ち着いて鎌で全てを防いでくる。

 防がれる度に距離を一度取るがスピードがほぼ同じため中々距離を取ることができずさらにリーチの長さで懐に飛び込みにくい。

 「“全てを切り裂け風の刃(ウィングカッター)”」

 風の流れが変わるのを感じ見えない攻撃を何とか避ける。

 「“水よ集い彼の者を守れ水の盾(ヴァッサーシールド)”」

 避けきれず当たりそうな時はウンディーネがすかさず防御魔法で守ってくれる。

 「ありがとうウンディーネ」

 だがさすがにこれの繰り返しだとこちらが負ける可能性の方が高い。

 「もうこれしかないか。ウンディーネ十秒だけ時間を稼いでくれる」

 「十秒でいいんですね。分かりました」

 地面を蹴り砂埃で一瞬の目眩ましをした直後、星華は後ろに下がりウンディーネが前に出る。

 「十秒程度ならこれで十分です。“全ての災厄から我らを護れ保護障壁(プロテクトバリア)”」

 ウンディーネの目の前に巨大な光の壁が展開する。

 「小癪な真似を」

 鎌を大きく降り下ろすが光の壁はカキーンと甲高い音をたてただけで壊れることはなかった。

 「そう簡単にこのバリアを破壊できると思わないことね」

 「・・・・・・くっ!」

 乱暴に鎌を振り回すが光の壁は全て弾く。

 「ここだ!」

 バリアの破壊に気をとられていたリアンユは背後からの星華の攻撃に気づくことが出来ずミドルキックが腹部に命中する。

 「ようやく当たった」

 「何故だ何故スピードとパワーが先程よりも上がってるんだ」

 顔は無表情のままだが明らかに動揺はしていた。

 「星華、貴女は何処まで属性解放術を使いこなせれているんですか」

 星華の足を見てウンディーネが驚いていた。

 「まさか纏いの力を使うとはな」

 さっきまで星華の周りを漂っていたダイヤモンドダストは消えていたが星華の神器を中心として両足が凍っていた。

 「貴女だって出来るでしょ。これはリアお姉ちゃんが教えたんだから」

 「何度言えばわかる、私はお前のことを知らないと」

 リアンユに吹き荒れていた風が全て鎌に集まっていく。

 「やっと使ってきたね纏いの力を」

 「ウンディーネここからは私一人でやるから手出ししないで!」

 「待って星華! さすがに貴女一人では・・・・・・」

 ウンディーネの言葉を聞かず星華はリアンユに向かい突進する。

 纏いの力を使っているためリアンユの遠距離攻撃は無くなっていたがそれでもリーチの差だけは変わらない。

 鎌の一閃を掻い潜り強烈な連撃を繰り出すも紙一重でかわされる。

 「もう貴女の攻撃は当たらない!」

 地面に思いっきり鎌を突き立てるとそこから突風が発生し星華を吹き飛ばす。

 「きゃぁぁあ!」

「星華!」 

 何とか空中でリカバリングし体勢を立て直す。

 ダメージはなかったがまたリアンユと距離が空いてしまう。

 「何度やっても同じだ。諦めて大人しく死ね!」

 ついにはリアンユから攻撃を仕掛けてくる。だがこれは星華が待ちに待ったチャンスだった。

 トドメと言わんばかりに鎌を降り下ろすがそれをわざとギリギリで避けた星華は鎌の柄を掴む。

 「な!?」

 「やっと捕まえた!」

 纏いの力を解除した星華は自分が使える最大級の属性魔法を唱える。

 「“全てを凍てつかす絶対なる氷河よアブソリュート・ゼロ”!」 

 漂うダイヤモンドダストがリアンユに襲いかかる。ダイヤモンドダストはリアンユにまとわりつき鎌や手足を凍らしていく。

 体が徐々に凍っていくのにリアンユは顔色一つ変えていなかった。

 「・・・・・・強くなったね」

 「っ!」

 リアンユの顔を見ると今までの感情のない無表情な顔でなく優しく微笑むあのリアお姉ちゃんの顔だった。

 「・・・・・・これも全部リアお姉ちゃんのお陰だよ。私を助けてくれてありがとう。さよならリアお姉ちゃん」

 既に顔以外が凍ったリアンユは最後に優しく微笑むと何かを呟いた。

 「ありが・・・・・・とう・・・・・星・・・・・・華」

 そう言うとリアンユの体は全て凍りつきガラス細工のように砕け散った。

 砕け散った氷はイルミネーションのようにキラキラ輝きながら星華の周りに舞い落ちた。

 「星華・・・・・・貴女は一体・・・・・・」

 困惑した表情でウンディーネが近づいてくる。

 「お願いウンディーネ。この事はみんなに黙っといてくれる」

 「・・・・・・それはいずれ自分から話すということですか」 

 「うん」

 「・・・・・・分かりました。この件についてはみなさんには黙っておきます」

 「ありがとうウンディ・・・・・・」

 言葉を飲み込んで了承してくれたウンディーネにお礼を言う瞬間地響きが襲う。

 「何、地震!?」

 「いいえ、この感じは地下で何か爆発したものだと思うわ」

 地響きはすぐ治まったがどうにも嫌な予感がして堪らない。

 「地下ってことはショウ達に何かあったということよね」

 「はい。地下から彩姫の気配がするので間違いないわ」

 「なら急いで助けに行くわよ」

 「勿論そのつもりよ」 

 不安な気持ちを抑え星華とウンディーネは研究所の地下に向かう。

 

 


 

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