封印の扉とは
アルナールとウンディーネの話が終わったときには既に太陽は沈みかかっており赤い夕日が辺りを照らしている。
千年前の争いは思っていたよりも残酷で騒がしかったニャルトも静かだった。
「これが千年前の争いの真実だ」
「私の知らない部分をアルナールが話してたからどの文献よりも確実だと思うわ」
みんなそれぞれ思うところがあるのだろうか誰一人喋ろうとしない。
「アルナール。今の話だとあいつらの言う封印の扉は・・・・・・」
「そうだ、封印の扉とはマーラを封じ込めた場所のことだ」
「もしかして話にでた幹部魔族の生き残りの一人って・・・・・・」
彩姫がハッとした顔で言ったことは僕も考えていた。
「ああそれがアストロギアだ」
やっぱりそうだったか。ならあいつがやろうとしていることは。
「アストロギアの目的は封印の扉を見つけてマーラを復活させることか」
無言で頷くアルナールだったが分からないことがある。
「じゃあなんでアストロギアはミカとミカのお姉ちゃんを必要としているの?」
「悪いがそれに関しては俺もわからないんだ」
「そうなんだ」
二人のことが心配なのだろう星華の顔は不安で一杯に見える。
「それでこれからどうするのですか?」
話が止まり長い沈黙が続くなかセバスの声でみんなこれからどうするのか話し合う。
「ミエとミカが何処にいるのか分からないのか」
「多分だが研究所の反対側に人目のつかない施設がある。恐らくそこにいるのだろう」
場所を推測したアルナールに反応するように今まで黙っていたニャルトが声をあげた。
「セバニャン今すぐ兵の準備をするニャ」
「わかりました」
そのまま部屋を出るセバスを僕らは黙ってみていた。
「ニャルトこれはどういうことだよ」
「決まってるニャ。場所が特定したのだからすぐにでも攻め込む準備をするべきニャ」
一理ある。少人数で行くよりも大勢で行けば取り逃がすことはないだろう。
「そうだね。ニャルトの言う通りだね」
「そうニャそうニャ」
どうするか考え込むアルナールもニャルトの意見に賛成した。
「ならあいつの計画のことも考えて二日後の朝に行くことにしよう。その間は準備期間にしよう」
「それで行くニャ。後でセバニャンに伝えておくニャ」
走りながら部屋を出たニャルトだったがすぐまた戻ってきた。
「忘れてたニャ。しばらくショウニャ達はこの城に泊まるといいニャ。後で使用人に部屋を案内させるから待っててくれニャ」
そう言うとニャルトはまた部屋を出ていった。
「後で宿屋に荷物取りに行かないとな」
「そうだね」
彩姫はいつも通り振る舞っているが星華だけはまだ暗い表情をしたままだ。
「おい星華!」
「えっな、何?」
急に呼ばれあわてふためく星華にアルナールが近づいてくる。
「明日は絶対に安静にしろよ。朝走りに行くのもダメだからな」
「で、でも朝のランニングは私の日課で・・・・・・」
「それでもダメだ! お前のことだまた一人で偵察に行くつもりだったのかもしれないが何か遭ってからじゃ遅いんだ、だから明日は大人しくしとけ」
アルナールなりに星華を気遣って言ったことなのだろうが今ので完全に星華は落ち込んでしまった。
「ったく、アルナールよもう少しは言葉を選べって」
「知るか。俺は思ったことを口にしただけだ」
「けど少しは相手の気持ちをだな・・・・・・」
ーーそれ君が言います!?
龍太の言っていることは正しいが完全にブーメランにしかなってない。
龍太とアルナールがあーだこーだ言っている間に使用人が部屋に入ってきたため二人はケンカを止めた。
「なんか龍太のおかげでアルナールも随分打ち解けてきたね」
「そうだね。この調子で僕らもどんどんあいつと仲良くなれたらいいな」
「そうね」
そして僕らは使用人の案内のもと、部屋に移動し休むことにした。