敵拠点で
「ここがあいつらの拠点か」
茂みに隠れつつ、龍太が拠点の場所を確認した。
「そうみたいだな。この様子だとかなり大きな拠点みたいだな。少なくとも敵の数は百人はいるはずだ」
革命軍の基地を出てからすでに六時間が経過していた。
「二人共念のためいつでも戦闘できるよう準備はしといてくれ」
剣の柄を握りながらふたりに言うと龍太もいつでも戦えるようすでに槍を構えていた。
星華は足技を主体に戦い武器もレガースみたいな形をしているため僕らの中で星華がいつでも戦える状態になっている。だが、龍太からは返事が来たけど星華から返事が来ず星華の方を見るとそこにいたはずの星華がいなかった。
「龍太、ヤバイ星華がどこにもいない」
やっと龍太も星華が居ないことに気づき辺りを見回したがどこにも星華の姿が見えなかった。
「おい翔天、星華がいつ居なくなったか分かるか」
あの様子からして龍太は星華がどのタイミングで居なくなったわからないらしい。
僕も記憶を辿っていったが星華がいつから居なくなったことも分からなかったし、どこまで一緒にいたかも分からなかった。
「全然分からない。あいつ影薄かったっけ」
ふと、視線を敵の拠点に戻すと何人かが集まっているのが見え、目を凝らすとその中心に見覚えのある人影があった。
「なぁ、龍太あそこにいる人影が星華に見えるんだけど」
龍太もそちらの方に視線をやり確認するやその表情には、驚きがあった。
「なんであいつ敵に捕まってんだよ!!」
「ちょ、声が大きい」
やはり、あの人影は星華だったらしく敵の手に捕まった星華はぐったりしてるようだった。
「どうやら星華は気を失っているようだな。けどあいつ一体どこで捕まったんだ」
星華が捕まった理由を考えたがまったく分からなかった。
「それはあとでいいだろ! まず、どうやって星華を助けるのかを考えるのが先だろ!」
たしかにその通りだった。
龍太は焦っているようだが頭のなかは冷静なようで、すぐ星華救出作戦を考え出していった。
「まず、俺が火炎魔法であいつらの目をこっちに逸らすからショウがその隙に星華を連れ戻して森の中へ逃げろ。俺も魔法発動したらすぐ森の中へ逃げるから、後で合流しよう」
この作戦ならうまくいけば三人共助かるが龍太の負うリスクが高い気がした。
僕の考えを察した龍太が「俺は大丈夫だからショウは星華を助ける事に専念しろ。」と言い、僕は龍太を信じて作戦開始の合図を待った。
龍太は火炎魔法の発動の準備が整ったらしく、五秒前でカウントしだした。
五・・・・・・四・・・・・・三・・・
もうすぐ星華救出作戦を実行するのにどうしても星華が捕まった理由が気になった。
星華はああ見えてもかなりの実力者のはずなのにあんなに簡単に捕まるわけがなかった。
なんだか嫌な予感が全身を走り龍太に一旦作戦を中止してもらおうとしたとき、
「......っ!」ドスッ...と急に背後から何者かに殴られ僕は倒れた。
薄れゆく視界のなか横を見ると同じように龍太が倒れていた。
ーーまさか、背後に敵がいたなんて。
そして翔天達は気を失った。