誘拐の後で
謎の女性による襲撃により謁見の間にいる兵士達は疲弊していた。
「動けるものは直ちに救護活動を行ってください」
側近の指示のもとなんとか動ける兵士は倒れている仲間を医務室に連れていく。
「ニャルトは大丈夫ですか」
「大丈夫ニャ。セバニャンが守ってくれたから」
「私の名前はセバスだと何回言えば・・・・・・まぁ無事ならそれでいいですが」
どうやら側近の名前はセバスというようだが今はそんなことはどうでもいい。
「速く・・・・・・速くミカを助けに行かなきゃ」
ミカを助けるべく立ち上がり謁見の間を出ようとしたとき彩姫が右腕を掴んだ。
「どこに行くの?」
「ミカを助けに行くのに決まってるだろ」
強引に腕を振りほどこうとしたが彩姫の握力が恐ろしいほど強く全然降りぼどけない。
「放せよ、速く助けに行かないとミカが・・・・・・」
「助けに行くってどこに」
「研究所だよ。あいつの目的はミカならきっと研究所に連れていったはずだ」
「そうかも知れないけどまず落ち着いて。一人で行った所でどうするつもりなの、ショウ一人であの女に勝てるの」
畳み掛ける正論に言葉がでない。
「それにホノちゃんも目を覚まさないままだし」
近くで横になってる星華はまだ目を覚まさないようだ。
「でもあいつらの目的はミカとミカのお姉さんなんだ。速くしないと何されるか」
「焦る気持ちは分かるけどこんな時こそ冷静にならないと」
「・・・・・・そうだよね。ごめん確かに今の僕は冷静じゃなかったね」
掴んでた翔天の右腕を放す彩姫は分かれば良いのと言わんばかりの顔をしていた。
「じゃあまずはニャルトに頼んで星華を休ませれる所に運ぼうか」
「そうだね」
彩姫に星華を任せニャルトに休めるところがないか聞こうとしたとき一人の兵士が謁見の間に慌てて入ってきた。
「た、大変です!」
「どうしたんですか」
「そ、それが剣を持つ赤い髪の男と槍を持つ眼鏡の男を先頭に白い服を着た集団がこの城に押し掛けてきました!」
「なに!」
早急にセバスが対応しようと動いたとき遠くの方から複数の足音が聞こえてきた。
「この足音、どうやらすぐそこまで来ているようですね。この場で動ける兵士は今すぐ迎え撃つ準備をしろ!」
わずか十名足らずの兵士達は剣を構え扉の前に集まる。
「今度は一体何なんだニャ」
「どうやらこの混乱に乗じた賊物のようですが安心してください私達がしっかりとお守りするので」
足音がどんどん大きくなっていくなか先程の兵士が言った人物に心当たりがある。
「ねぇショウ。多分だけど私こっちに来てる人に知り合いがいるような気がするの」
「奇遇だね実は僕もなんだよ」
まさかねと思いつつも念のため武器を構えると聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえてきた。
「おいテメーらさっさと退きやがれ! 俺は王様に用があんだよ」
「あぁやっぱり」
謁見の間に現れたのは予想通りアルナールと龍太だった。
「あぁんまた兵士かよ、しつけーなー」
「お前があんな入り方すれば当然だろ。見ろよ完全に警戒されてるじゃないか、ってあれ?」
どうやらこちらの存在に気づいたようでかなり驚いていた。
「ショウそれに彩姫までなんでここに」
「それはこっちのセリフだよ」
久々の再会がまさかこんな形になるとは思わず翔天と彩姫は深いため息をついた。