王様と謁見ニャ
昼頃になり翔天達は王様に会うために城に向かっていた。
「一体どんな王様なんだろな」
「この国の争いを止めたぐらいなんだからきっと屈強な大男じゃないかな」
彩姫はこれから王様に会うというのに緊張感のない会話をしている翔天と星華に呆れていた。
「二人とも分かってるのこれから王様に会うんだから失礼のないようにしてよ」
「分かってる分かってる大丈夫だって」
本当に大丈夫か心配だがそうこうしているうちに城の目の前まで来ていた。
「みんな少し待っててね」
そう言うと星華は門の前に立つ兵士のとこまで行き何かを話していたが恐らく王様に謁見したいと言っているのだろう。話が終わるとすぐにこちらに戻ってきた。
「みんな通っていいって」
「サンキュー。よしじゃあ行くか」
兵士の案内のもと翔天達は城の中を歩いている。
「ミカさっきから黙ってるけどどうしたの?」
今日ほとんど話していないミカを心配して彩姫は話しかける。
「えっ、あっすみません。少し緊張してしまって」
「あっそうなんだ。たしかに王様に会うのって緊張するよね」
「はい。それに話を聞いてくれるかどうか心配なので」
ミカが心配する気持ちは分かる。今回の話し合いで研究所にいるみんなを助けれるかどうかが決まるからだ。
「大丈夫だよ。あんなんだけどショウはやるときはやる人だから安心していいよ」
「そうですよね。はい私はショウのことを信じます」
やっと元気になってきたミカに微笑みながら歩いていたら大きな扉の前まで着いた。
「ここが謁見の間だがくれぐれも粗相のないようにな」
兵士が念を押すように言うと謁見の間の扉の前に立つ二人の兵士が扉を開ける。
「いよいよこの国の王様とご対面か」
ここまでくるとさすがに緊張してしまうが後ろには自分を信じてくれている仲間がいる。そう思うと不思議と緊張がとける。
扉が完全に開き中に入ると変な声が聞こえてきた。
「君らが昨日あたしに会いたいと言った人かニャ」
威厳のある声が聞こえてくると思ってた謁見の間で幼女の声が聞こえる。
「さっ、そんなとこに突っ立てニャいで速くこっちに来るニャ」
言われるがままに謁見の間の中心まで歩いた翔天達は目の前の玉座に座る人に驚きを隠せなかった。
女の子だろうか身長は百四十ぐらいだろか淡い黄色の短めの髪に生える二つの猫耳が特徴的で時々見せる尻尾がなんだか愛らしい。猫らしいつり目だが無邪気な目をしており、清楚な感じの白い服とズボンを着ているがブカブカの赤いマントが清楚な感じを消していた。
「えっとー、失礼なことを聞きますが貴女がこの国の王様ですか?」
「そうニャ、あたしがこの国の王のレオンニャルトニャ。長いからニャルトと呼ぶニャ」
何処から突っ込んでいいか分からなかった。
王様だから男性だと思っていたのが女性しかも猫耳幼女なのにどう反応していいのか分からない。
「旅の人よ。驚かれるのも無理ないがこれでも成人なんだ」
ニャルトの隣に立つ犬の姿をした長身の女性は側近なのだろうかかなりニャルトと親しい仲のようだ。
「そ、そうなんですか。あ、後一つ聞いてもいいですか」
「なんニャ?」
「そのなぜニャルト様は他の獣人とは違い私達と同じ様な姿をしているのですか」
獣人族は動物がそのまま人になった感じなのだがニャルトは完全な猫人間ではなく人が猫の格好をしただけの姿なのだ。
「あたいのこと様つけなくていいからニャ。それであたいがニャんで他の獣人族と違うかと言うとあたいが人間と獣人族のハーフだからニャ」
「なるほどハーフだとそんな姿になるのか」
ニャルトに聞こえない声で呟くと後ろから彩姫の文句の声が聞こえてくる。
「ねぇそんなことよりも早く本題にはいりなさいよ」
「ごめん。でも王様がどんな人なのか確認しときたかったんだ」
「それで王様が嘘も言えない正直な人だと分かりましたか旅の人よ」
聞こえない声で話していたはずなのに側近の人は翔天の考えを見抜いていたようだ。
「すみません。無礼な真似をお許しください」
「いいニャいいニャ。人を疑うのは仕方のないことニャ。それにあたいは心が広いからニャ」
どうやら本当に嘘のつけない人なのだろう。もしかしたらこの心の広さが国をまとめあげてる理由なのだろうか。
「それでは本題に入ってよろしいでしょうか」
「あぁいいよ」
側近の人が大方のことを仕切るのだろうニャルトは完全に任せきりだ。
「まず旅の人よ。名前を教えていただけますか」
「はい。ぼ、私は翔天と言います。それとこちらの人達は彩姫、星華、ミカと言います」
名前を呼ばれ彩姫と星華が一礼するとそれに倣うようにミカも一礼する。
「ショウニャにアヤニャ、ホノニャとミカニャ、とてもいい名前ニャ」
少し名前を変えられたような気がするが取り合えず無視しておく。
「では、今日はどのような御用で来たのですか」
「はい、実は・・・・・・」
そして翔天は研究所のことをミカと一緒に説明した。