仲間になる条件
生い茂る木々の中、翔天は湖を目指した歩いている。
「なんでここの森はこんなに複雑で歩きにくいんだよ」
ぶつぶつと文句を言いながら歩いてたらいつのまにか太陽が真上まで昇っていた。
「もう昼かー。よかったー早めに出といて」
道がだいぶ開け、湖が見えてき、翔天は走って湖まで行った。
「よっしゃーついたー!」
歓喜の声を上げている翔天を先についていたアルナールが変な目で見ていた。
「もう来てたんだ」
「・・・・・・お前は何やってんだか」
かなり呆れた様子のようだ。
「それで言われた通り一人で来たけど」
「そのようだな。まさか本当に一人で来るとはな、罠かもしれないとは考えないのか?」
彩姫とほぼ同じことを言っていたのが何だか面白くて笑いがでそうになった。
「お前がそれを言うか?」
「だが、普通は他の奴等をそこら辺に待機させて来るだろ。はぁさっきの星華といいおまえらは警戒心が無さすぎる」
星華の言う通り、アルナールと話していて前とは違うような気がする。
「まぁそれだけ僕らがアルナールのことを信頼してるってことだよ」
「・・・・・・っ! ハハッ、可笑しな奴だぜホント。こんな奴には初めて会ったよ」
アルナールの笑いは前と違い狂気に満ちた笑いではなくごく自然に笑っている。
「まあいいとっとと話をするぞ」
どうやらアルナールは何か話すことがあるため呼んだらしい。
「で話って・・・・・・もしかして僕達と一緒に戦ってくれるってこと」
「悪いがそれはない」
即刻否定され肩を落としたがアルナールがまだ一緒に戦えないだけだと言った。
「それってどういうこと?」
「理由は言えねーけどお前がこの国をどうするか見てみたい」
言ってることがあまり理解できなかった。
「俺には絶対に逆らえない奴がいる。そいつが俺よりも強いからだ」
信じられなかった。アルナールと戦った翔天だからこそわかることだ、アルナールがどれほど強いのかを。
「だからそいつとお前を見比べてどちらについた方がいいか判断したい」
やっとアルナールの言いたいことが分かった。
「分かったけどそのお前よりも強いやつって何処にいるんだ?」
「そいつはこの国の研究所で所長という立場にいる」
まさかここで研究所の所長の正体を少し知ることになるとは思わなかった。
「お前がこの国の闇を取り払うかそれともあいつの闇がこの国全体を滅ぼすか、俺はそれを見るからな」
それだけ言うとアルナールはおそらく研究所に戻るのだろうか森の中に入ろうとしたが一度立ち止まり振り返った。
「一つだけアドバイスしといてやる。あいつはピンク髪の姉妹を使って何かするつもりだ」
「ピンク髪ってもしかしてミカのこたか」
「後は自分の頭で考えな」
「あっおい!」
再び森の中に入ろうとするアルナールに呼び掛けたがアルナールは最後にこう言った。
「忘れるなよ俺達はまだ敵同士だということをな」
まるで今の会話を無かったことのように言っていた。
「後、俺のことを同じ人間だって言ってくれてありがとな」
「えっ?」
それだけ言うと森の中に姿を消した。
「素直にこっちの顔を見て言ったらいいのに」
だが今回の話でアルナールとはうまくやっていけるそう思えるのに十分な内容だった。
「さっ帰って今のことを彩姫達に話すか」
翔天も再び森の中に入り三人のいる宿屋に向かって歩き出す。
「絶対にこの国を救ってやる」
新たな決意を胸に翔天は歩き続けた。